「さてと。じゃあ、さっきの続きよね。」
マンションに戻った僕達はデパートで買ったものを部屋の隅にまとめて置いた。
そして、僕は姉さんの部屋に入れられ、ベッドの端に座らされた。
改めて姉さんを見る。
おっぱいを取ってしまった姉さんは、元々女っ気の少ない方だったが、バストがなくなると、もう『男』にしか見えない。
姉さんが話し出した。
「あたしは今、合成臓器で得られる感覚が、より本物に近くなるように調整しているの。感覚のフィードバックが巧くいかなければ、特に心臓などでそんな事があれば、命に関わるのは直ぐにでも解るでしょう?けれど、こっちは医者でもないし、最初からそんなデリケートな部位に挑戦する程自身過剰でもないの。」
姉さんは紙袋から取り出したアレを見た。
「だから、まずはコレで実験を始めたのよ。結果はまぁ、満足の行くものだった。そして、次のステップに進んだの。」
そう言うなり、姉さんはズボンのファスナーを降ろした。
「これが、ソレよ。」
姉さんはファスナーの奥からソレを引き出した。
それは、男根=ペニス=オチンチン だった。
「これも自分自身をモニターにしたんだけど、最後の所で問題が出て来たの。」
「問題?」
「そう。コレから得られる感覚が『本物』と同じか?と言う事よ。如何せん、あたしは『女』。本物の感覚なんて知る由もないもの。」
「だから、ソレを僕に?」
「そう。望にモニターしてもらいたいの。」
「だったら、最初からそう言ってくれれば良いのに。そんな事の為にわざわざ僕を『女のコ』にしなくたって良かったんじゃないの?」
「の・ぞ・み チャン。その考えは甘いわね。合成ペニスを装着するには股間に同じモノがあってはならないのよ。あなた、そう言われて『はい、そうですか』と言ってオチンチンをちょん切れた?」
僕は首を横にブンブン振った。
「あたしは自分のバストを切除するにあたってはそれなりの覚悟があったから良いとして、何も知らない望にそんな事を頼める訳ないでしょう?幸いにも知り合いが性転換薬を持っていたので、使わせてもらう事にしたのよ。」
僕は姉さんのペッタンコの胸を見て、何も言う事が出来なくなっていた。
「じゃあ、早速実験開始と行きましょうか?」
姉さんは今度は股間からソレをベリベリと剥がし取っていた。
本物そっくりのオチンチンが机の上に置かれた。
「さぁ、望はお風呂で綺麗に身体を洗ってきてね。」
そう促されて、僕は風呂場に向かった。
ワンピースを脱ぐと、鏡に下着姿の女のコが映っていた。
いつの間にか、胸が膨らんでいた。
今朝はシワシワだったブラのカップに、小さいとはいえ、しっかりとバストが詰まっていた。
下着も全て脱ぐと、僕が女のコ以外の何者でも無い事が知らされる。
鏡に映った股間には女のコの証がある。
ソコに掌を当て、肉の合わせ目に指を這わせる。
僕が『男』であった証は完全に失われていた。
指先に力を入れる。
ソレがナカに埋もれていく。
と、同時に股間に侵入するモノを感じる。
(コレが『女のコ』の感覚?)
「アッ!!」
指の腹が敏感な所に触れ、僕は慌てて掌を離した。
そん時、僕の発した小さな叫びは、確かに『女のコ』のものだった。
ボディーシャンプーで丹念に身体を洗い、シャワーで洗い流す。
女のコになって肌が敏感になっているのか、シャワーの水滴がとても気持ち良い。
そして、湯船に浸かる。
お湯の温かさがゆっくりと浸透してくる。
「ふ〜〜〜ぅ。」と、大きく溜息をつく。
そして、再び股間に掌を当て交う。
今度は慎重に、ゆっくり、優しく指を伸ばしてゆく。
全身の感覚が股間に集中する。
僕は『女のコ』の感覚をじっくりと確かめた。
部屋に戻る。
「さぁ、そこに寝ころがって。」
長湯の理由は判っていると言っているみたいに、何事もなかったように僕をベッドの上に寝かせた。
「余分な体毛を剃り落とすから、脚を開いていて。」
そう言って泡立てた石鹸を僕の下半身に塗り込んでいった。
「そのまま膝を抱えて。脚は開いたままよ。」
なんとも恥ずかしい格好で、姉さんに僕の股間を晒した。
ナイフが下半身を撫で廻す。
蒸しタオルで拭かれると、そこには産毛も陰毛もなにも無くなっていた。
「じゃぁ、接着剤を塗るわね。」
スベスベになった肌にヒンヤリとした液体が塗られた。
「この接着剤は単に合成臓器を接合するだけではなく、接着面の感覚器を活性化させて合成臓器の合成神経との情報交換を円滑に行わせる薬も含まれているのよ。」
そして、机の上から合成オチンチンを取り上げた。
「少しくすぐったいかも知れないけど、我慢してね。動いて接合面がずれたりすると、おしっこの時変な所から染み出してきてしまうわよ。」
僕は石になったようにじっとしていた。
姉さんの手がてきぱきと合成臓器を接合してゆく。
敏感な所には時間をかけて慎重にすすめる。
そして、その時が一番くすぐったさが大きかった。
(僕は石だ。僕は石だ。僕は石だ……)
「さぁ、終わったわよ。2〜3時間は刺激を与えないようにしてね。本格的な実験は明日からになるわ。」
僕はベッドから起き上がり、股間をみた。
なくしたモノが返って来た…というような感慨はなかったが、不思議な気持ちがした。
鏡に映すと、女のコの身体にそこだけ『男』がいる。
「風邪をひくわよ。早く服を着ちゃいなさい。」
姉さんに促され、僕は部屋に戻った。
整理箪笥の引出しからショーツを取り出した。
下半身が『男』に戻ったといっても、この部屋にはトランクスを始め男物の衣類は一切置かれていないので、これまでと同じようにショーツを穿くしかない。
合成臓器の先端がショーツからはみ出してしまったが、何とか無視して残りの服を着た。
クローゼットにはふんわりと広がったスカートが多かったので、新たに生まれた下腹部の盛り上がりを誤魔化す事ができた。
時計を見るともう夕刻近い。
そろそろ晩御飯の支度をしなければ…と思い、ふと気がついた。
(デパートで食料品を買う予定だったんだ!!)
一連のドタバタでデパートの買い物が中断してしまったのだ。
姉さんに言って財布を借り、近くのスーパーに買い出しに行った。
『特売』の文字に心引かれつつも、必要な分だけをカゴに入れた。
両手いっぱいに食材を下げて、慣れない踵のあるサンダルでマンションに戻った。
フリフリのエプロンを着け、料理を開始する。
食材が揃っていれば、苦もなく片づけられる。
夕食が出来上がり、姉さんとテーブルに着いた。
「望ちゃん?」
姉さんがしげしげと僕の顔を見ている。
「それで買い物に行ったの?」
「そ、そうだけど。何か?」
「チャンと口紅をして行くなんて、しっかり『女のコ』してるじゃない。」
言われて僕はこれまでの行動を思い返してみた。
確かに、無意識ではあるが、出掛けに鏡の前で髪を梳かし、口紅を塗っていた。
そう言えば、買い物の間中、自分が『女装している』という恥かしさは何処かに消え失せてしまっていた。
その晩以降、食卓にあのオレンジジュースが置かれる事はなかった。
夜中に突然、目が覚めた。
尿意を覚えていた。
トイレに向かう。
寝間着にしているスエットのズボンを降ろし、便座に座った。
シャーっと放尿の爽快感に包まれる。
お尻を拭こうとして、気がついた。
小便は合成臓器から放たれていた。
そして、管の中を通り抜けていった感覚を思い出した。
僕は立ち上がり、振り返ると便座を上げた。
合成臓器を摘む。
既に膀胱は空になっているので、振りだけではあるが、僕は立ち小便の格好をした。
(これぞ『男』の証…なんちゃって♪)
先端を振るってズボンを上げた。
(下着がショーツなのが情けないよね)
膨らんでいる胸の事も、股間に残る『女のコ』の事も忘れ、僕は意気揚々とベッドに戻っていった。
「夕べはどうだった?」
朝食の時に姉さんが聞いた。
「夜中におトイレ行ったでしょう?これも実験の一つなの。本物と何か違いはあった?」
「と、特に違和感は無かったようだけど?」
「そうなの…。朝御飯が終わったら早速、実験を始めるからね。」
(実験って、何をするんだろう?)
僕は不安に包まれていった。
片づけが終わって姉さんの部屋へ行くと、セクシーなネグリジェを着た姉さんが待っていた。
昨日引き剥がした合成おっぱいが元通りになっているのが判った。
「こっちにいらっしゃい♪」
姉さんが手招きする。
「男のコって、こういう格好に興奮するんでしょう?」
僕の目の前でおっぱいを持ち上げ、フリフリする。
「ね、姉さん。実験って…」
「だ・か・ら♪ カンジない?」
そう言ってネグリジェの裾を擦り上げる。
スケスケの布の向こうにはうっすらと割れ目が覗いている。
ネグリジェの下には何も着けていなかった。
裾をソコが見えるか見えないかギリギリの所で止める。
(………)
しばらくの沈黙。
(………)
「なによォ。ヒトが折角ムード出してあげているのに。」
「そ、そんな事言ったって『姉さん』じゃぁ…」
「あたしには『魅力』が無いってコト?」
「そんなんじゃないけど…」
「『けど』?」
「ふ、深い意味はないよ。」
「ふぅ。それじゃあ、直截的に行くしかないわね。」
姉さんは裾を元に戻すと、ネグリジェの上から白衣を羽織った。
「望、服を脱いでこの椅子に座って。」
僕は言われるままにするしかない。
全裸で椅子に座ると、その前に姉さんが跪いた。
そして、僕の股間に手を伸ばす。
股間に付けられた合成臓器を摘み上げた。
「ねぇ、本当にカンジないの?」
「だって、姉さんに見られてたら…」
「判ったわ。実験の方法を変えましょう。」
「これって実験だったの?」
「そう言ったでしょう。この合成ペニスのデータを集めるのがこの実験の趣旨よ。オシッコについては問題ないようだから、次のデータを採るのよ。」
「次って?」
「もちろん『男』としての機能よ。あたしの魅力だけで勃起すると思ったのに、このコはウンともスンとも言わないじゃない。だから方法を変えるの。」
「で、どうするの?」
「望。あんた、自分の部屋に行ってオナニーしてきなさい。」
「へっ?」
「ほら、さっさと行って。終わったら直ぐに呼ぶのよ!!」
僕は脱いだ服を抱えて部屋に戻った。
そのままベッドにもぐり込む。
「オナニーって言ったって… どうしよう?」
取り敢えず、おちんちんを握ってみる。
フニフニと力がない。
ふと、股間に伸ばした腕に触れるモノに気付いた。
おっぱいだった。
「そうか。僕は女のコにされちゃったんだ。」
改めて思い出す。
「女のコになったんで『男のコ』のように興奮できなくなっちゃったんだろうか?」
僕は空いている手でおっぱいに触れた。
これは合成おっぱいじゃなくて、僕自身の『本物』のおっぱいなんだ。
先端のポッチに触れる。
「あんっ」
快感が沸き起こる。
指先で摘んで弄ぶ。
「うんっ。」
「あん。」
「あぁっ。」
僕はベッドの中で悶え始めた。
それに合わせて、もう一方の手の中でむくむくと大きくなっていくモノがあった。
僕は乳首を弄るのと同時に、ソレもしごき始めた。
今までに感じた事のない快感が沸き起こる。
股間が熱くなった。
おちんちんではなく、それより奥にあるモノ…
汗をかいている。
内股がぬるぬるしてくる。
「あっ、あっ、あっ!!」
おちんちんの根本からこみ上げてくるものがあった。
更にしごいてゆく。
「あ、あ〜〜〜〜……」
脚が痙攣する。
そして、白い塊が飛び出した。
ビチャリ
僕のおなかの上に落ちた。
ティッシュで拭い取る。
おちんちんの尖端に残ったものも別の紙で取り除いた。
そして、数枚重ねて股間の汁を綺麗にする。
その間におちんちんは硬さを失い、縮んでいった。
ショーツを穿き、元通りに服を着た。
そして、姉さんの部屋のドアをノックする。
「ちゃんと出たよ。」
僕が報告すると、
「で、ちゃんとカンジたの?いつもと違うふうにカンジた事はない?」
「それは、やっぱり女の子の身体だから…おっぱいとか…あそこトカ……」
「あぁ、そっちもカンジちゃったんだ。それを除いて、ペニスの感覚だけに限ったらどんなモノ?」
「う〜〜ん。たぶん、いつもと同じだったんじゃないかな?」
「じゃあ、次の実験にいってみようか。」
「まだあるの?」
「文句言うんじゃないの♪」
そして、僕は再び全裸になるとベッドに寝かされた。