夜に飛ぶ



 ボクは夢を見ていた。
 ボクはパジャマのまま、空を飛んでいた。町並みを見下ろしている。見慣れた街の鳥瞰図が眼下に広がっている。友人の後藤慎二の家があった。近づいてみる。努力家の彼はまだ机に向かって勉強していた。その後ろにふわりと降り立つ。脇から机の上を覗いた。
 慎二は勉強している訳ではなかった。机の上にあったのは日記帳だった。彼は一心に日記帳に書き込んでいる。
 そこに書かれていたのは意外にも愛の告白日記だった。堅物の慎二からは到底思いも寄らない言葉が切々と書き込まれている。多分、彼は自分の思いをこの日記に書き込むことで封印してしまっているのだろう。そして、翌朝にはいつもの堅物慎二が戻っている。
 そう思うと、なんとかしてやりたくなるのが友情というものだろう。幸い、これはボクの夢の中だ。不可能な事はないに違いない。ボクは彼の思いを寄せる相手を確認すべく、日記帳を取り上げた。
「これはボクの夢だから、安心していいよ。ほんの一時だけだけど、慎二の思いを遂げさせてあげる。だから、彼女の名前を教えてくれ。」
 振り向いたまま凍りついている慎二を余所に、ボクは日記帳のページをめくった。
 そして、慎二の相手の名前を突き止めた。

 それはボクだった。

「これは夢なんだろう?何をしても大丈夫なんだよな?」
 慎二はボクに抱きついてきた。
「好きだ!!」
 慎二の唇がボクの唇に重なる。そのまま、ベッドの上に押し倒された。
 日記帳はベッドの脇に転がり落ちた。
 ボクは日記帳に書かれていたものを思い出していた。日記帳の中のボクは女の子だった。慎二の理想の女の子がボクとオーバラップされて書かれていた。そして、夢の中ではなんでもありだった。
 慎二の手がボクの胸に触れる。それはふっくらと盛り上がっている。慎二は器用にパジャマのボタンを外していく。ポロリと乳房が溢れ出る。慎二の唇はボクの口から離れ、熟れかけの乳首に吸いついてきた。
「あんっU」
 女の子のような声がボクの喉から溢れ落ちる。いや、女の子のようなではない。ボクは女の子そのものになっていた。その証拠に、パジャマのズボンはテントを張るどころか、股間がしっとりと濡れはじめている。
 慎二の手がズボンのゴムの間にもぐり込んできた。パンツの上から割れ目に指を這わしている。彼の指は僕の股間が濡れているのを知った筈だ。
 布の上からの観察を終えると彼の手が腰に回る。パンツのゴムに指が掛かると、パジャマと一緒に引き下ろした。
 蛍光灯の明かりの下にボクの下半身が晒け出された。
 恥ずかしいと思う前に気が動転していた。ボクが動けずにいると、彼は身体の向きを入れ換えボクの股間に顔を埋めた。
「はうっU」
 慎二の下がボクの股間を嘗め上げている。ボクは快感に悶えた。
 そのボクの目の前に全裸の慎二の下半身があった。
 彼は逞しく勃起していた。
 ボクは当然のようにそれを口に含んだ。
 慎二のリズムに併せるようにそれを吸い込む。舌の先で弄ぶ。
 しかし、彼の動きが激しくなるにつれ、口に入れておくことが困難になってきた。それは単に彼の動きに追いつけないだけでなく、彼の与える快感に追いつこうとする気力が失せてしまったからだ。ボクは彼の与えてくれる快感に酔い痴れていた。
「じゃあ、いいかい?」
 いつの間にか彼が位置を変えていた。
 何のことか判らずにいると、ボクの返事も待たずに慎二はボクの脚を抱え上げた。
 ボクの股間に身体を割り込ませる。
 股間を密着させると、ズイッと何かが挿入された。
 理解するのに暫くかかる。
 彼のモノがボクの膣に入り込んできたのだ。
 充分濡れていたせいか、痛みはなかった。
「いくよ。」
 彼が腰を動かすとボクの中を彼のモノが動き回る。
 その動きに併せてボクも腰を動かす。
 膣壁が彼のモノを押し包む。
「あんあんあんあんU」
 リズムに合わせて声を上げる。
 自分の媚声に更に気分が高揚する。
 やがて高まりを迎える。
「うっっ」
 彼が呻く。
 熱いモノがボクの膣内に放出された。
 ぐったりと彼の身体がボクの上に伸しかかってくる。
 そのまま慎二は寝息を立てていた。


 ボクは彼の下から這い出した。ティッシュで股間を拭き取る。ボクの愛液と彼の精液が入り交じっている。パジャマのズボンを捜し出し足を通す。パンツがひんやりと冷たい。上着のボタンを締め、僕は再び空に昇った。

−了−


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