「これ、あたしからのプレゼント。」
 美砂は僕の前にリボンの掛かった箱を差し出した。
「何?これ。」
「開けてみて。」
 言われるまま、僕はリボンの結び目を解き、花柄の包装紙の中から箱を取り出した。箱は灰色の地のまま、何の装飾も施されていない。セロテープで左右を止められた蓋を開くと、中から直径2cm、長さ20cm程の丸みを帯びた棒が入っていた。色は黒く、何の模様も入っていない。
「何なの?」
 再び美砂に聞くと、
「持ってみて。」
 それはずっしりとした手応えがあった。ガラスや金属の硬さがある。不思議な事にそれは温かかった。
「これは何?」
 僕にはさっぱり判らない。
「判らないの?」
 美砂が微笑んでいる。こんな時の美砂は何か善からぬ事を考えている。
「しゃぶってみて。」
 僕はそれをアイスキャンディーを食べる時のように口に咬えた。
 するとどういう仕掛けか、硬かった棒がクネクネと動き始めた。
「放さないで。」
 言われるままに両手で固定する。口の中でも活発に動いている。まるで僕の舌とじゃれあっているみたいだ。
 しばらくすると、動きが緩慢になってくる。やがて元の棒に戻ったかと思った直後。そいつがビクリと脈動し、ピュッ!!と液体を吹き出した。
「うぐっ」
 僕は思わず飲み込んでしまった。
「美味しいでしょう?じゃあ、残りも全部嘗め取ってしまいなさい。」
 美味しい訳ではない。そもそも味など全く感じなかった。しかし、彼女の言う事には逆らえない。
 口の中から抜き取った棒には白い粘液がまとわりついていた。これを丁寧に嘗め取ってゆく。
 次第に身体の芯が熱を帯びてくる。顔が真っ赤に上気する。頭がボーッとしてくる。気がつくと綺麗になった棒を僕はいつまでも嘗め続けていた。
「準備は良いようね。」
 美砂は僕の掌から棒を取り上げる。僕の目は名残惜しそうに棒を追っていた。彼女が僕の目の前に棒をちらつかせる。僕は骨を求める犬のように僕は伸び上がり、彼女の手の中の棒に咬みつこうとしている。オアズケで棒に届かなかった身体はバランスを崩し、そのままじゃれつくように彼女の上に倒れていった。
「だめよ、おイタしちゃ。欲しいのなら、おとなしくしていなさいね。」
 ペットの犬を叱っているようだ。僕は彼女のペットになりきっていた。ゆっくりと後ずさり、彼女の身体から離れる。
「そう、良い子ね。じゃあ、ご褒美をあげるわね。」
 彼女の顔が近づき、唇が合わさった。
 カーッと、再び身体中が熱くなり、全身から汗が吹き出してきた。
 たまりかねて服を脱ぎ捨てる。皮膚に接する布地がとてつもなく不快に感じる。ズボンも脱ぎ、靴下も外した。それでも不快感は納まらない。それどころか、不快感が太股も廻りに集中してくる。
「良いのよ、全部脱いでも。苦しいいんでしょう?」
 僕は最後の一枚をり降ろした。
 下半身が露となる。股間のペニスは萎縮しまっていた。
 汗がだらだらと滴りおちる。股間もぬるぬるしている。
「さあ、準備は良いわね?」
 美砂に額を小突かれると、僕はごろりと仰向けに転がされた。
 胸の中央に棒の先端が触れると身体中の熱気が集中してくる。棒がゆっくりと降ろされてくる。水月・臍・下腹部を伝って股間に達する。
 熱気が集中し汗となって滴り落ちる。棒の触れた先からじわじわと溢れてくる。押し開かれた股間を伝い、臀部に汗が溜まって行く。
 棒は汗にまみれていた。
「行くわよ。」
 彼女の声とともに、棒はずぶずぶと股間にめり込んでいった。
 僕の身体の中に棒が埋まって行く。ペニスが膣に納まるように、僕の下腹部に入り込んでいった。
(しかし、僕のペニスはどこに行ったのだろう?)
 汗に濡れた繁みの先には棒の残りがはみ出ている。そこには僕のペニスがあった筈だ。今、ペニスがなくなりそこには棒を呑み込む穴がある。それは女性だけが持つ膣そのものではないのか?
 僕は上半身を起こし、股間を覗き込んだ。
「気が付いた?」
 見上げると美砂の顔に微笑が浮かんでいる。
「そう。あなたはオンナになったのよ。」
 良く見ると、胸もうっすらと盛り上がってきていた。乳首がむっくりと頭を持ち上げるように突き出してくる。風船を膨らますように、僕の呼吸で胸が上下する度に張り出してくる。浅黒い男の肌が白く繊細な女性の肌に変わってゆく。僕の胸に、立派な乳房が出来上がっていった。
「今度は、貴女の愛らしい媚声を聞かせて頂戴。」
 美砂が手にした機械を操作すると、僕の胎内で棒が蠢いた。
「アンッ」
 僕の喉を艶かしいオンナの吐息が通り抜けていった。
「良い声ね。もっと聞かせて頂戴。」
 彼女の手がリモコンを操作すると、棒の動きが激しく、複雑になってゆく。棒が動く度に、僕は嬌声をあげ、身悶える。
「アンアンアンアンアンッ」
 悦感で溺れそうになる。
 意識が真っ白に塗り潰される直前、
「ア〜〜〜〜〜〜〜〜〜ッ」
 僕は甲高いオンナの叫びを聞くと同時に、棒の先端から迸る液体が子宮の中に雪崩込んで行くのを感じた。



 気がつくと僕は全裸でベッドの上に寝かされていた。どうやら失神してしまったようだ。身体を起こし、肉体を確認する。
 僕は男に戻っていた。
「あたしのプレゼントは気に入ってくれた?」
 美砂の右手には、あの棒が握られていた。左手のリモコンを操作するとクネクネと蠢く。
「何なんだよ、それは?」
「これはリモコン。これはあたしのもの。貴方へのプレゼントはこっちの方。あたしのリモコンがないとバイブとしては使えないようになっているの。でも、これにはもう一つの使い方があるの。それは何時でも自由に使えるわ。こうしてお口で刺激を与えてあげると、中からお薬が出てくるの。何のお薬かはもう判っているわね?そう、俗に言う性転換剤よ。」
 そう言って、美砂は棒の先端から迸る白い液体を嘗め取った。
 彼女のブラウスの胸が萎んでゆく。タイトスカートの前が膨らんで行く。
「ほら、こんなふうにね。」
 パンストを脱ぎ、スカートの前をたくし上げると逞しい男根が現れた。
「さあ、今度はあたしの番よ。」
 美砂は服を着たまま、ペニスを剥き出しにして迫ってきた。
 がっしりとした腕で僕をベッドに押し倒す。そのまま、ひっくり返され腹這いにさせられた。
「お尻を出しなさい!!」
 僕は膝を立て、彼女の前にお尻を高く突き出した。
 肛門にひんやりとしたクリームが付けられる。指を立て、肛門の内側までなすりこむ。
「もっとお尻の力を抜きなさい。」
 僕は考え得る限り筋肉を弛緩させた。
「いくわよ。」
 お尻に肉棒が当たった。先端が肛門の入り口で一瞬ためらっている。
 腰を抱えられ、ずぶりと侵入してくる。
「痛!!」
 思わず叫ぶ。
「力を入れるな。」
 彼女の叱責が飛ぶ。
 肛門の廻りを引き裂いて、美砂の太いペニスが挿入される。
 挿入しきると、ピストン運動が開始された。
 僕は呼吸を浅く、短くすることで痛みに耐えていた。
 女にされて棒を挿入された時とは全く違う。そこには痛みしかなかった。
 必死になって苦痛に耐えていると、やがて彼女の息遣いに変化が現れた。呼吸の間隔が短くなり、うめき声が混じっている。
 そして射精。
 二人ともぐったりとベッドに倒れ込んだ。



「これ、あたしからのプレゼント。」
 美砂は僕の前にリボンの掛かった箱を差し出した。
「何?これ。」
「開けてみて。」
 言われるまま、僕はリボンの結び目を解き、花柄の包装紙の中から箱を取り出した。箱の中から淡いブルーやピンクの布地が覗いている。
「変わった形のショーツだね?」
 女性用の下着のくせに、股間に穴があいている。
「穿いてみて。」
 僕はズボンを降ろし、穴のあいたショーツを着ける。
「うん、セクシーだね。」
 あれから僕は男物の服は着ていても、中身はオンナの身体になっている。ショーツの穴は僕の女性器を剥き出しにしている。
 美砂は僕の股間を覗き込むと、舌を伸ばして剥き出しにされた合わせ目をペロリと嘗めた。全身から力が抜け、僕はその場にへたり込んでしまった。
 目の前に美砂が立ちはだかっていた。よく見ると、彼女のスカートの前が張り出している。
 僕はもそもそと彼女のスカートの中に頭を突っ込むと、ショーツを突き破らんばかりのペニスを開放してやった。美砂もまた女装はしていても中身は男になっている。
 僕はゆっくりと仰向けになり、「彼」を僕の股間に導いていった。
 

−了−


    次を読む     INDEXに戻る

]