男の掌が僕の胸を撫で摩っている。
 僕の胸には女の子のようなオッパイがあった。彼は僕のオッパイを揉みながら、指先でキュンと突き出した乳首を摘んでいる。爪を立てて押しつぶす。
「アンッU」
 僕の喉から可愛らしい吐息が洩れる。
 耳元に息を吹き掛けられると、僕は彼の腕の中で艶かしく身悶える。
 彼は片方の掌を放すともう片方の手で僕のオッパイを弄りながら、別の所を攻め始めた。変な刺激に僕のオチンチンははち切れんばかりになっていた。既に、先端から透明な液体が滴っている。その先端の最も鋭敏な所に彼の指先が触れる。
「アアアッU」
 声をあげて悶える。快感が体中を駆け巡っている。
 彼の手で数回しごかれただけで、オチンチンからセーエキが勢い良く飛び出していった。
 放出の快感に酔ってぐったりとしている僕を、彼は尚も攻めたててくる。
 彼の太いモノが僕のお尻を割ってくる。穴の中に強引に潜り込む。引き裂かれるような痛みが続く。太いモノが僕の中を往復している。
「いいぞ。いい締まり具合だ。」
 彼は僕のオッパイを握りしめ、腰を動かす。ズンズンと尾てい骨に当たる。僕は両脚を大きく広げ、彼を迎え入れる。腰を高く突き上げる。苦しみを呼吸で調整する。その声を快感の喘ぎ声と勘違いしてか、彼の呼吸も荒くなってくる。
「うっうっうっ」と呻き、彼のセーエキが僕の子宮に注ぎ込まれた。



 男は満足して、ベッドの上で煙草をくわえていた。僕はそろりとベッドを抜け出すとシャワーを浴びに風呂場に向かった。
 コックをひねり、熱いお湯の流れで身体にこびりついた彼と僕のセーエキを削ぎ落とす。股間にもかけて身体の中から流し出す。僕は本物の女の子ではないので妊娠することはないが、そこは気持ちの問題だ。
 丹念に洗い流した後で湯船に浸かる。全身の筋肉を揉みほぐし、一息つく。
 湯船から上がると余分な水気を拭った後、バスタオルで身体を磨く。
 バスローブに身をくるみベッドに戻ると既に男の姿は無かった。枕元に数枚のお札が置かれていた。僕も彼が出て行き易いように、いつも長めに風呂に浸かっているのだ。それはそれで良いのだろうが、やはり自分を情けなく思う。
 ボーイフレンドでもガールフレンドでも良い。誰か一人、心を許しあえる決まった人が欲しいというのは贅沢な事なのだろうか?
 僕は一人ベッドの上に横たわりバスローブを外すと、自分自身を慰めた。


 街の中は人で溢れかえっていた。喫茶店の窓から見ていると色々な人達が通り過ぎて行く。3分前の僕もこんなふうにして誰かから見られていたのだろうか?特に僕は他人から好奇の目で見られてしまう。学生服の胸がはち切れんばかりに膨らんでいる。かといって顔は思春期の男の子そのものだ。女のコなのだろうか男の子なのだろうか誰もが悩んでしまう。けど、それは僕だけの問題ではない。ここ数年、世界中に奇病が流行している。知らないうちに感染し、あるとき一晩高熱を発してその病気自体は終わる。が、この時に遺伝子に傷が付けられる。大人の場合はあまり問題にはならなかったが、僕らのような子供の場合に性の混乱が引き起こされる。
 僕もこうなって1年が経とうとしている。高熱を発して暫くしてから、急に胸が脹らみ出した。病院に連れて行かれたが、簡単な診察をしただけで、
「今、流行りの病気だよ。病気自体は納まっているし、命に別状がある訳でもない。どうしてもって言うなら整形外科を紹介するが、この御時世に気にするものでもあるまい?」
 ほとんど門前払いだった。もちろん病気の事は日常茶飯事でニュースにもならない。僕の胸の脹らみが一段落した事で、両親も渋々納得してしまった。
 しかし、僕の肉体の変化は進んでいた。両親に言っても事を荒立てるだけでなんの解決にもならない。誰にも知られないまま、僕の股間が変化していった。女のコのアソコがどうなっているかは聞きかじりでしか知らなかったが、僕の股間に出来上がったのは正しく女のコのヴァギナだった。
 僕の変化はそこで止まった。中にはオチンチンもなくなって完全な女のコになってしまう子もいると聞いていた。
 中途半端が良い悪いは別として、肉体的にも、戸籍上も男のままなので、学校では男の学生服を着なければならなかった。もちろん、スカート等穿きたいとは思わないが、もう少し自由な服を許可しても良いんじゃないかと思う。
 ノーブラだとバストが邪魔で動きにくいんじゃないかと母親が買ってくれたブラジャーをTシャツの下にしているが、そのブラジャーがかえってバストを大きく見せている。


 一度だけセーラー服を着せられたことがあった。
 学園祭の出店の売り子をしていたとき、客集めのためと誰かが姉妹の制服を借りてきて僕に着せさせた。僕自身は何とも思ってはいなかったが、この事を聞きつけた教師が慌てて飛んできた。
 僕はすぐ様セーラー服を脱がされ、服を持ってきた同級生はひどく叱られたらしい。それが原因か、学園祭の後みんなが僕に接する態度が微妙に違って見えた。


 その頃、僕は雑誌で見かけた「J研」に通い出していた。
 J研とはジェンダー研究会の略で、僕らのような性の混乱にあった人達の情報交換会みたいなもの…と、当初は思っていた。
「この先、我々が生きて行く為にはどうすれば良いか?我々の負ったハンディは従来の障害者とは立場を異にする。法律上は我々には何のハンディもない。表面上は我々は健常者であり健常者と同じ事ができ、同じように扱われる。
 だが、一歩社会の中に出ると様相は一変する。男性社会の中で同じ男性である我々が差別を受けるのだ。学生でいられるうちには問題とならなかった様々な事が、就職・結婚といった場面で大きな壁に直面させられる…」
「だから我々は社会から自立しなければならない」
 これがJ研のテーマだった。入会当初は様々なディスカッションの後、僕らが社会に出た時の問題点をシュミレーションする。僕らは男として扱われるのか、女として扱われるのか。僕らが自分を男と主張した場合、女と主張した場合…
 それはそれで面白かったが、ある日僕はJ研の先輩から経済研究分科会に出てみないか?と誘われた。現社会の中枢となっている人達と話しをする事で、さらに深く現状を分析することが出来る。そう言われてホテルのセミナールームに連れられていった。
 我々のコネはバカに出来ないよ。と先輩の言った通り、セミナールームにはテレビで見た事のある人も何人かいた。が、話しの内容は退屈で出されたジュースを飲み干してしまうと、ついウトウトしてしまう。
 頭がぼ〜っとしてきた。

 気が付くと、僕はベッドの中だった。親切にも、服は脱がされ下着だけにされていた。
「お目覚めかね?」
 声を掛けてきたのはセミナールームにいた中でも、最も著名な政治評論家だった。ジャケットは既に脱いでおり、ネクタイもない。ワイシャツのボタンが上から三つ目まで外れていた。
「君たちは自立しなければならないのだよ。それは社会人になると言う事ではない。会社や社会からも独立しなければならないのだよ。君たちは何者にも束縛されない自由人なのだ。我々と対等のビジネスを展開できるのだよ。そうだ、ビジネスだ。君たちが我々と契約する事で君たちは想像もできないくらいの利益を得ることが出来るのだよ。たとえば、この財布の中にあるもの…」
 そういって彼はマジシャンがカードを扱うように、お札を扇の形に広げた。
「…これは只の紙切れに過ぎない。しかし、私と君の間で契約が結ばれ、それが履行されたあかつきには、これは君のものとなり、金としての本来の価値が生じるのだ。」
 彼は、サイドテーブルの上にそれを置き、ガラスの灰皿で挟み込んだ。
「金には色々な価値がある。欲しい物と交換する。美味しいものを食べる。綺麗な服を着る。装飾品で飾りたてる。また、これを動かす事で更なる価値を生み出して行く。」
 彼は近づきながらワイシャツを脱ぎ、ズボンのベルトを外す。
「今の君には難しい事だろう。けれど、私の言う通りしていればこのお金は君のものだ。私は君の小遣いの額を知らないが、これは君にとってはかなりの高額に違いあるまい。なあに、ちょっと我慢するだけだ…」


 J研の正体は売春組織にほかならなかった。
 しかし、そうと判っても僕は暫くの間J研に通っていた。もちろん、経済研究分科会にも顔を出しては小遣いを稼いでいた。
 おじさん達に抱かれる事には多少の嫌悪感はあったものの、SEXの快感は替えようもない。オンナの悦びを知ってしまうと、もう後戻りはできなくなってしまう。それはJ研の先輩の誰もが口を揃えて言う。
 そのうちJ研の仕組みが判るにつれ、J研にいる必要性も失ってきた。組織として運営していく為にはそれなりの費用が掛かる。それは僕らの売春に伴う斡旋了として、J研が顧客から取り立てている。
 僕の方も、個人的に付き合うような人ができてきた。
「キミが独立するんなら、私も会を抜けようと思うんだが…」
 会を抜ければその分の金を僕に渡すという。J研を通さなければ、好きな時に僕を抱けると言うのである。
 彼がJ研にいくら払ったかは知らないが、「これでキミは自由の身だよ。」
と、見せられた書類は僕の脱会通知だった。という事は、これまでの僕は自由ではなかったと言う事なのだろうか?
 考えるのも面倒なので僕はその紙を受け取ると学生服の内ポケットに入れ、上着を脱いだ。男が後ろから抱き締め、首筋に唇を這わせる。僕はワイシャツのボタンを外す。男の掌がTシャツの中に潜り込んでくる。器用にブラのホックを外して僕のオッパイを握り締める。彼の指先が先端を摘む。
「アンッU」
 僕の喉から可愛らしい吐息が洩れる。
 バケツの底に穴が空いたように全身の力が抜けてゆく。
 僕は彼の腕の中に倒れ込んだ。
「可愛いよ。」
 彼の唇が僕の口を塞ぎ、舌先が侵入してくる。舌を絡めて僕が応えると、彼は僕をベッドの上に押し倒し、脱ぎかけの服を全て取り除いた。
 彼もまた全裸となって僕の上に折り重なる。
 僕は膝を開き、彼を迎え入れた。



 信号が変わる。人の流れが途絶え、大きな車が路上を行き交う。
 喫茶店の窓から見える景色は変わらない。再び信号が変わり、人の流れに変わる。僕の目の前を名も知らぬ人達が通り過ぎて行く。
 ふと、景色が途絶える。
 ガラスの向こうに立ち止まる人がいた。じっと僕を見ている。
 僕は彼女の名前を知っていた。
 小清水杏子、僕らの組のクラス委員だ。
 彼女は僕が気がつくのを待っていたかのように、ガラスの前を離れ喫茶店に入ってきた。お構いも無く僕の向かいの席に座ると、ウェイトレスにアイスコーヒーを頼んだ。
 コップの水を一口啜る。
 テーブルの上にコップを戻す。
「伊藤クン?もう一週間も学校に来ていないわよね。」
(それがどうした?)
「病気のせい?」
(まあ、そうかな?)
「けど、落ち着いているんでしょ?」
(これ以上どうにかなる訳ではないが、元に戻る事はない)
「なら、学校には来るべきよ。」
(どうして?)
「みんなも待っているわ。」
(他人の為に行くようなもんじゃないだろう?)
「どうして来れないの?」
(別に行く必要もないから)
「病気の事は気にする事ないのよ。」
「そんなんじゃない。」
「えっ?」
 一方的に喋り続けていた所に思わず僕の反論があって彼女は言葉を詰まらせた。
「小清水さんは何の為に学校に行っているの?」
「何の為にって、社会に出る為に勉強は必要よ。大学に入って、就職して…」
「結婚はしないの?」
「そりゃあ女の子だもの。お嫁さんになるのは憧れよ。」
「で、なんで学校に行くの?」
「良い会社に行けば、立派な旦那様を見つけられるわ。」
「じゃあ、良い会社に行く事が学校の目的?」
「あたしの場合はそうよ。中には違った考え方の人もいるけど、皆も同じように考えているわ。」
「そう。僕もそう思っていた。」
「じゃあ、何で出て来ないの?」
「虚しいから…」
「なに?」
「こんな身体になってしまった僕には、もう未来はないってことさ。」
「どういう事?」
「君も言ったろう。勉強して良い会社に入る。女の子ならお嫁さんになって家庭に入る。その為の手段としての学校があるんだ。けど、僕を見てみろ。こんな姿の人間を会社は雇ってくれるか?飛び抜けて成績が良ければなんとかなるだろうが、僕みたいな平凡な頭の男子生徒なら会社は当たり障りの無い人を採用するんだ。こんな身体でどこに就職できると言うんだ。」
「女性でもそれなりに活躍している人はいるわよ。」
「僕は女じゃない!!
 女にもなれない。かと言って男としても見てもらえない。こんな状態で先の事なんて考えるのも虚しいいんだ。」
「だからと言って学校を休んでもいい事にはならないのよ!!」
 そう言って飲みかけのアイスコーヒーを残して席を立つ。
「とにかくいらっしゃい。」
 彼女は伝票を手に、僕を出口に引っ張っていった。
「どこへ?」
「あなたが休んでいた間のノートを写させてあげるわ。」
 僕の珈琲代も一緒に払ってしまった。僕は行き掛かり上彼女の後をに付いて雑踏の中に呑み込まれていった。



 表札には〔小清水〕と書かれていた。屋根付きの門をくぐり、しばらく歩くと純和風の家の玄関に到着する。玄関の脇にくぐり戸を抜け、中庭を経由して家を半周すると勝手口があった。彼女は鍵を取り出して錠を開ける。
「上がって、伊藤クン。今日は誰もいないからなにもお構い出来ないけど、許してね。」
 靴を脱ぎ、彼女に導かれるまま階段を上がる。
「散らかっているから、笑わないでね。」
 と、言った割りにはきちんと整頓されている。純和風の外観とは裏腹に洋風の室内。フローリングの床に無造作にクッションが置かれている。出窓にはレースのカーテンが掛かり、可愛らしいぬいぐるみが並べられ、壁にはアイドル歌手ではなく外国映画の男優のポスターが貼ってあった。
 ごそごそ音がする方を向くと、彼女が制服を脱いでいた。僕が見ているのに気付くと慌てることなく、
「伊藤クンも楽にする?」
 と、タンスの引き出しから布の塊を取り出すと放ってよこした。
 広げるとプリント地のワンピースだった。
「あたしにはチョット大きめだけどイッチャンには丁度良いと思うよ。」
「イッチャン?」
「伊藤クンを略してイッチャン。この方が呼び易いでしょ?あたしも小清水さんじゃなくて杏子とか、皆が呼んでいるようにキョンピーとかでいいからね。」
「で、僕にこれを着ろって?」
「学生服じゃ窮屈でしょう?あたしいつも思っていたの。いくら校則だからっていって、イッチャンに学生服を着せ続けるのはおかしいって。もっと楽にさせてあげればいいのに。っていつも思っていたの。」
「それはどうもありがとう。僕だって正直学生服は窮屈に感じていたんだ。けど、だからといってスカートをはくなんて…」
「うそ!!前に制服を着せられた時なんか嫌がっているようには見えなかったわよ。それに、イッチャンはスカートをはいた方が断然似合ってるって。」
 タータンチェックのスカートにはき替えた杏子が僕の背に回り込む。
「窮屈でしょう?」
 脇の下から腕を廻し、僕の胸を抱き締める。
「小清水さん?!」
 学生服のボタンが下の方から外されてゆく。首のホックが外れると胸の膨らみが露となる。
「ブラジャーはしてるのね。」
 ワイシャツの上から僕の胸に触れる。そのワイシャツのボタンも外される。ズボンのベルトが外れ、チャックが下ろされる。彼女の手が離れるとズボンはストンと足元に落ちた。ワイシャツと上着が一緒に脱がされる。Tシャツがたくし上げられる。下はパンツ一枚、上にブラジャーをした不思議な格好で立っていると、頭からワンピースが降ってきた。
「腕を通して。」
 言われるままに左右の腕を通すと背中のファスナーが上げられる。
「ね、ゆったりするでしょう?」
 確かに男の服とは違い、胸がある事を前提に作られた女物の服は多少締めつけられてはいるが、窮屈といった感じはしない。それよりも、適度な締めつけがブラジャーの肩紐に集中していたオッパイの重みを巧く分散させてくれる。スカートの布が被っただけの下半身の不安感を除けば、これはこれで気持ちがいい。
 杏子に手を引かれ、鏡の前に立つと僕の身体の線が女らしく際立たされているのがわかる。
「パンツの線が出ちゃうわね。これにはき替えてみて。」
 手渡されたのは彼女の下着だった。
「これを?」
「あたしのが厭なら新品を下ろすわよ。」
 もう何を言っても無駄なようだ。僕は仕方なくスカートの裾をたくし上げ、トランクスを脱いだ。女装が刺激になったのか、僕のオチンチンはだいぶ大きくなっていた。彼女のショーツに脚を通し、引き上げる。やはり、小さな布地の中には収まりきらない。
「勃ってるの?」
 前屈みのままの僕を見て、杏子が覗き込む。
「恥ずかしがらないで背を伸ばしてご覧なさい。」
 鏡に写すと下半身にソーセージがうっすらと姿を見せる。意識してしまうと余計に際立って見える。すると、興奮したオチンチンがショーツの中から躍り出た。スカートにテントが張られる。
「元気なのね。けど、それじゃあまりにも目立ち過ぎるわね。ガードルも必要かしら。」
 整理ダンスの中をかき混ぜて、肌色のファンデーションを探し出した。
 それにも脚を通す。ゴムでも入っているのか、それは僕のオチンチンをお腹にピッタリと張りつけた。
「スカートはフレアになっているから目立たないはずよ。」
 確かに鏡の中に写った下半身は、注意しないとオチンチンの膨らみは判らなかった。
「これでイッチャンも一人前の女の子ね。」
「結局、小清水さんは何がしたかったんだ?」
「杏子って呼んで。」



「あたしはイッチャンが一人で悩んでいるのを見てるのが辛かったの。イッチャンもあたしと同じだったらよかったのに。って思っていたんだけど、なかなか言い出せなくて。」
「つまり、今日会ったのは偶然じゃない。ってこと?」
「イッチャンがいつも、どこで何をしているかなんて判っていたわ。でも、なかなかチャンスがないって思っていた。今日、両親が出かけるのをずっと待っていたのよ。」
「じゃあ、J研とかも知っているの?」
「もちろんよ。J研はあたしも行ったことがあるもの。」
「君が?」
「そうよ。」
 と、杏子はスカートの中に手を入れた。
 たくし上げられたスカートの中から現れたものに僕は愕然とした。
「あたしのオチンチンよ。タマタマはないけど、ちゃんと勃起もするのよ。」
「つまり、君もあの病気に?」
「そうよ。立場は違うけど、あたしもあなたと同じなの。だから、この事で悩んでいるイッチャンを見ていると放っておけなくて…」
 そう言っている間にも、杏子のオチンチンは大きく硬くなっていった。
「ねえ、イッチャンの中に入れさせてくれる?」
 杏子が身体を密着させる。剥き出しの杏子のオチンチンが僕のをつつく。
「あたしもJ研に居たことがあるのよ。もちろん、経済研究分科会も知っているわ。それが何をする所かも。」
 こうなっては、もう観念するしかない。分科会の男達にしたように、杏子にも脚を開くしかない。
 僕はコクリと頷いた。
「じゃあ、こっちに来て。」
 オチンチンを器用にスカートの中に隠すと、杏子は僕をベッドに導いた。


 今度は下着から全て脱がされた。彼女もまた全裸となっている。二人とも見た目は普通の女の子だけれど、その股間には硬くなったオチンチンが勃っている。
「ねえ、いつもどうしているの?」
「小清水さんも分科会に行ったことあるんでしょう?」
「だめよ、杏子って呼んで。」
「じゃあ、杏子さん。君もお金をもらったりしなかったの?」
「あたし達はもう親友よ。杏子って呼びすてて。
 で、J研だけど。あたしは2〜3回行っただけなの。もちろん分科会にも行っていないわ。でも最初に行ったとき、どうも奇怪しいなって感じたの。それで、いろいろ調べてみたの。それでJ研の正体を知ったのよ。分科会のこともそのとき判ったわ。それに、あたしは元が女の子でしょう。だから、いずれにしろ分科会には連れていってもらえなかったわ。」
「じゃあ、初めて?」
「もちろん、男の子も女のコも初めてよ。イッチャンだからこうするの。」
「いいの?」
「やらしてくれたら後でイッチャンにあたしをあげるわ。」
「いいんだね?」
「うんU」
 僕は男達がしていたように杏子をベッドの端に座らせ、僕はその股間に跪いた。目の前に杏子のオチンチンが勃っている。僕は手を添えてそれを口に含んだ。分科会の男達のような男臭さはなかった。袋を弄ろうとしたが、彼女には袋も玉もなかった。指先が熱いモノに触れた。杏子の女の子が濡れていた。
 充分に硬くなったオチンチンに吸いつく。舌先で先端を嫐る。チュウチュウ音を立てて吸い込むと彼女の息も荒くなる。
「あぁ、なんか出る。出ちゃう。ああ…あっ。」
 杏子のセーエキは分科会の男達と同じ味がした。
「飲んじゃったの?」
「うん。美味しくはないけど、皆喜んでくれるんだ。」
「じゃあ、あたしもイッチャンのを飲んであげる。」
「ありがとう。でも、その前にするんでしょう?ほら、もう元気になっているよ。」
 僕はベッドの上に昇り仰向けになった。
 両膝を立て、その間に杏子を導いた。
 おずおずと杏子のオチンチンが僕の中に入ってくる。根元まですっかり入ってようやく彼女の顔が綻んだ。
「あたし、イッチャンの中にいるのね。」
 瞳が潤んでいる。
「動かすともっと気持ちがいいよ。」
「だめ、こうしているだけでもイっちゃいそう。」
 僕の中に悪戯心が芽生える。
 下半身に力を入れるとキュッと膣が締まる。
「うっ!!」
 杏子が呻く。リズミカルに力を入れると、
「やめっ、あっ、出ちゃう!!」
 再び杏子の息が荒くなる。寸前の所で止めてやると、彼女の身体がぐったりと僕の上に伸し掛かる。息が落ち着いた所を見計らって再び攻め始める。
 2度3度繰り返すうちに彼女も慣れてくる。
 僕が締めつけようとする前に、彼女が動いた。
 ゆっくりと腰を動かす。彼女のオチンチンが僕の中を出たり入ったりする。
「アンッU」
 彼女の身体が僕の鋭敏な所に触れた。
 その声に触発されてか、彼女の動きが激しくなる。
「アンアンアンU」
 僕も快感に身悶える。
「イク〜〜〜〜U」
 僕が絶頂に達すると同時に、彼女のオチンチンから迸るセーエキが僕の中に放たれた。



「ふ〜〜〜っ」
 杏子が大きく息を吐き出した。
「どうだった?」
「ありがとう。良かったわ。」
「じゃあ、今度は僕の番だね?」
 僕は身体を入れ替えて杏子の上に乗った。彼女の掌が僕のオチンチンを包み込む。彼女の指が優しく袋の上から撫であげる。
「アアッU」
 僕の股間が熱くなる。
 彼女の指が更に奥に進む。
「駄目だよ、そこは。今度は僕の番なんだろ?」
「ごめん。イッチャンが余りにも可愛い声を出すもんだから、つい悪戯したくなっちゃったの。」
 そう言いつつ、杏子は腰を突き上げてきた。彼女のオチンチンはさっきよりも硬く、大きくなっていた。それが僕の股間を突っ付いている。
「アンッU」
 スルリと彼女のオチンチンが僕の中に入ってしまった。杏子は僕の下で腰を突き動かす。僕は彼女のオッパイを揉んで対抗しようとしたが、焼け石に水程の効果もない。再び絶頂に向かって駆け登って行く。
「アン、アン、アン。ア〜〜〜〜〜〜〜ッU」


「今度こそ、本当に僕の番だからね。」
 僕は杏子を組み敷き、両脚を抱え込んだ。
「あたし、初めてなんだから。痛くしないでね。」
 そう言われて、僕自身女のコとやるのが初めてな事に気付いた。僕のオチンチンは何人もの男達に弄ばれたが、こうして本来の目的に使われる事は一度としてなかった。
 これが僕の本当の初体験なんだ。
 僕はゆっくりと腰を降ろしてゆく。
 杏子の顔が苦痛に歪む。
 オチンチンが暖かい壁に包まれる。
 根元まで降ろした所で動きを止める。
「動かすよ。」
「ダメ。もう少しじっとしていて。あたしの中にイッチャンが居るの。もう少しイッチャンを感じていたいの。」
 彼女の腕が背中に廻り、ぎゅっと僕を抱き締めた。二人のオッパイが胸の間で押し潰しあう。唇を重ねると杏子の舌がニュッと伸びてくる。唾液が混ざり合う。
「あ〜〜〜っ」
 苦しくなって唇を離すと同時に大きく息をついた。
 杏子の抱き締める力が弱まった。
 僕は彼女の腕を振り解き、自由になった身体を思い切り動かした。
「痛いっU やめてっU あんあんあんっU」
 彼女の悲鳴は即、嬌声に変わっていた。
 僕は一所懸命腰を動かした。
「ああんU あんあんU あ〜〜〜〜〜っU」
 僕の動きに合わせて杏子は身悶え、よがり声を上げる。
「いくっU いくっU いっちゃう〜〜っU」
 僕の下で独り盛り上がっていく。僕は放って置かれたように、ただ腰を動かしていた。オチンチンは硬く勃ってはいても、一向に快感は訪れてこない。高まりがなければ、シャセーにもほど遠い。
「あ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜んUUU」
 杏子はぐったりと横たわっていた。
 満足したように心地好い寝息をたてている。
 僕は身体を放した。

 杏子の隣に仰向けに横たわる。
 勃ち続けるオチンチンを握る。空いた掌でオッパイをつかむ。
「アアッU」
 一気に快感が膨れ上がる。
(何で?)
 杏子とのSEXではダメで何でこうするだけで快感が増してくるの?僕はもうオチンチンだけでは感じられなくなってしまったというの?女の子と同じようにオッパイを揉まれないと感じないというの?
 けれど、僕の肉体は正直に反応している。
 ビクビクと硬くなったオチンチンが脈動し、股間が熱く濡れる。
「アァンU」
 快感が爆発する。
 セーエキが飛び出す。
 僕は快感の渦に呑み込まれた。
「ア〜〜〜〜〜〜〜〜ッU」
(これは男の子の快感なの?女の子の快感なの?)
 絶頂の後のまどろみの中で考える。
 こうやってオッパイをいじると気持ちがいい。これは女の子の快感だ。
 同じようにオチンチンをいじってやる。これも気持ちがいい。
 でも、これは男の子の快感だと言い切れるのだろうか?女の子だってクリトリスをいじられれば気持ちがいいって言う。僕のオチンチンが大きなクリトリスと言うのなら、僕の感じているこの快感は女の子の快感?
 だけど、これはオチンチンだ。
 ちゃんとセーエキだって出てくる。
 じゃあ、セーエキが出なかったら?
 杏子とSEXしている時はセーエキなんて出なかった。杏子の中に入っていたのはオチンチンじゃなかった。大きなクリトリスをもった女の子同士の戯れだったと言うの?
 僕と杏子は単なるレズ?
 でも、杏子のオチンチンからはセーエキが出てきた。だから彼女は男の子なんだ。そしてセーエキの出ない僕は女の子なのだ。
「どうしたの?」
 杏子が僕を見ている。彼女は女の子だけど男の子。
 そして僕は女の子。
 そう、男の子と女の子。だから…
「もう一度してくれる?」
 僕は杏子のオチンチンを撫で上げた。



 僕のオチンチンはセーエキを出さなくなってしまった。
 それどころか、掌で握るのもできないくらい小さく萎縮してしまっている。もちろん勃起することもなくなった。
 けれど、それを摘んだりしていじると快感を得る事はできる。いや、僕のオチンチンは今までよりも敏感になっていた。
 しかし、それ以外には変化はない。
 僕は杏子と付き合っている。SEXは受け身でしか出来ないが、彼女も僕の中にセーエキを撒き散らすのが大変気に入っているようだ。
 二人の間では杏子は男の子であり、僕は女の子だった。
 そう割り切ってしまうと今までのこだわりが嘘のように氷解していった。
 スカートをはくのも気にならない。杏子の小物を借りて飾りたてる。お化粧もしてみる。口紅を引き、マニュキアを付ける。
(鏡に写っているのは誰?)
 僕はどこから見ても女の子だった。
 しかし、いつまでも杏子の借り物では気が引けるので、杏子と一緒に買物に出た。デパートの婦人服売り場など足を踏み入れたこともなかった僕が、吊るされた服を選んでは試着室で着替えている。店員のアドバイスに乗せられて、ブラウスとスカートのつもりがカーディガンとスカーフも買ってしまった。下着売り場ではブラジャーとショーツを替えの分も一緒に買う。靴も見たが、予算ぎりぎりなので、踵の低いサンダルだけにした。
 買ったばかりの服に着替える。紙袋に僕の着てきた男物の服と杏子から借りた服を詰める。余った紙袋はそのままごみ箱に捨てた。
 杏子と別れると、僕はそのままの格好で家に帰った。
「ただいま。」
 玄関から僕の部屋に上がる階段までの間に居間がある。
「おかえり。」
 居間でアイロンを掛けていた母さんが顔をあげる。
「あら、可愛いじゃない。似合ってるわよ。」
 僕のスカート姿に全く慌てていなかった。それどくろか、いつもの服に着替えて降りてくると、「な〜に?スカートはもうお終いなの?」と残念そうに言っていた。
 こんな母さんである。僕が女物を着るのに抵抗がなくなったとみるや、いつの間に買い揃えたのか、翌朝には女の子の服が僕の目の前に山のように積まれていた。


 それからの僕は、学校に行くのは学生服のまま(母さんは女の子の制服まで揃えていた)、休みの日や学校から戻ってからはスカートを好んではくようになっていた。もちろん、休みの日のほとんどは杏子とのデートだった。女の子同士のショッピングの時もあれば、男の子と女の子で遊ぶ時もある。そんな時はいつも僕が女の子で、杏子が男の子になる。そんな時の杏子はジーンズにワークシャツといった男の子の格好をする。
「ねぇ、杏子?」
「なぁに?イッチャン。」
 今日は二人ともスカートをはいて女の子している。
「あそこっ」僕は視線でこの先の交差点でぶらついている二人組の若者を指した。彼等は値踏みするように僕らを見ている。
「あれ、ナンパかしら?」
「イッチャン興味あるの?」
「女の子になって一度は経験してみたいのは痴漢とナンパよね。」
「それって男の子の発想?」
「たぶん、アタシだけじゃないと思うよ。」
「へ〜っ。SEXとか、銭湯の女湯に入るとかだと思ってた。」
「だって、SEXはもう杏子としたし、女の子になって今更女の人の裸を見たって面白い事ないじゃん。」
「けど、痴漢なんて気持ちいいもんじゃないわよ。」
「でも、痴漢されるのは女の子の証みたいなものだもの。ナンパされるのだってそうよ。」
「ナンパなら相手は何でもいいの?」
「そりゃぁ、アタシだって選ぶわよ。けど、あの二人なら及第点をあげてもいいんじゃない?」
「確かに悪くはないわよ。で、イッチャンの好みはどっちなの?」
「やっぱり背の高い方。アタシは男の子の中ではそんなに高くなかったけど、やはり女の子としてはある方でしょ?やっぱり自分より背が高い人って憧れじゃない?」
「そうよね。あたしはイッチャンより低いものね。やっぱりあたしはイッチャンの彼氏にはなれないんだ。」
「今はそんな事関係ないでしょ?ほら!!カレ等来るわよ。」
 そうこうしているうちに彼等との距離が詰まっていた。杏子と僕の前から近づくと両脇から挟み込むように並んで歩き出した。
「オネーチャンたちU」
「アナタたちハ、神ヲシンジますカ?」
 ナンパに熟れた男達の話術に僕等はあっさりと嵌まってしまった。



 ふかふかのソファの上で僕は男の腕に抱かれていた。
 お茶を飲んだ後、ゲームセンターで暫く遊び、食事して… 愉快な気分が時間の経つのを忘れさせる。自分で考える事を忘れ、彼等に付いて遊びまわった。記憶が所々途切れている。
 彼の舌が僕の唇を割って侵入してくる。
 そういえば、ジュースの中にアルコールが混じっていた。となりで杏子がぐったりしていたのを思い出す。
 なんの抵抗もないのを知ると、男は僕の服を脱がせ始めた。
 部屋の中を見渡す。かなり広いリビングだ。部屋の隅に僕と杏子のバッグが転がっている。ということは、杏子もこの近くにいるのだろう。
 上半身を裸にすると、男は僕のオッパイにしゃぶり付いた。
 部屋にはいくつかの扉がある。そのうちの一つが開け放たれている。その向こうからハアハアと男の粗い息づかいが聞こえる。杏子の声がしないのは、まだ醒めていないのだろう。僕と違い、杏子はお酒なんて飲んだ事ないに違いない。
 男の掌が僕の太股を摩る。スカートを少しずつたくし上げてゆく。
 初めてのお酒?杏子が初めてなのはお酒だけじゃなかった。僕以外の男に抱かれるのも初めての筈だ。そんな事を意識のないままにやられたんじゃたまったものじゃない。僕の中で罪悪感が爆発した。
 男の手を払いのけ、立ち上がった。
 上半身裸のまま、隣の部屋に走り込むと当時に雄叫びが聞こえた。
「うぉ〜〜!!何じゃこりゃ!?」
 僕とは逆に下半身丸出しでベッドの上に転がされている。その横で男が凍りついていた。
 そう、杏子の股間には立派なオチンチンが付いているのだ。
 ベッドの上の男がゆっくりとこちらを向く。
「お前もか?」
 僕はゆっくりと大きく頷いてやった。
 バタバタと男達はパンツをはき、ズボンをはいて、シャツと上着を手に取ると一目散に逃げ出していってしまった。


「杏子。ごめんネ。」
 目覚めた杏子に僕は真っ先に言った。
「僕がワガママを言って杏子を危ない目に合わせてしまったんだね。」
 杏子は何の事か判らずキョトンとしている。僕は男達が逃げ出すと直ぐに杏子の服を直し、僕も脱いだ服を元通りにしていた。
 僕は事の経過を残らず杏子に告げた。
「ケッサクよね。男の子のイッチャンは何にも疑われずに女の子のあたしを見て逃げ出しちゃうなんてね。」
 杏子の目が涙ぐんでいる。
「けど、いいの。あたしにはイッチャンがいる。」
「うん。アタシは杏子しかいない。」
「ありがとう。なんだかすっきりしちゃった。今日からあたしは男の子になるわ。もう女の子には戻らない。そしてイッチャンをお嫁さんにするわ。」
 杏子は僕をギュッと抱き締めた。
 僕も…いえ、アタシも杏子のお嫁さんになる。
 アタシの目からもぼろぼろと涙が溢れていた。



 母さんは大いに喜んでいた。
 アタシは要らなくなった男物の服を全部棄てた。もちろん学生服も棄てた。だれが何と言おうとアタシは女の子。母さんの揃えてくれた制服を着て学校に通う。
 学校では学生服を着た杏子に会う。アタシ達は公認のカップルだった。クラスのみんなもアタシを女の子として扱ってくれる。
 授業が終わるとアタシは杏子と一緒に帰る。
 心を許しあえる決まった人いるという幸せにアタシは酔い続けていた。
 

−了−


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