普通だったら、この体の持ち主である女の家に帰り、それから鏡の前に立って・・・っていうのがセオリーなんだろうけど、いざ夢にまで見た瞬間が現実のものになると、そんなルールは完全に無視だ。だいいち、激突して自分の体が目の前にあって、「何で俺が!」と言った声が女のものだった時点で走り出した俺は、自分が今、どんな女と入れ替わったのか分からないんだ。そこで俺は、猛ダッシュで近くの駅の公衆便所に向かうことにした。どうしてって、理由は簡単さ。身体検査に決まってるじゃないか!
公衆便所は駅の中だった。ショルダーバックを探すと定期入れが見つかった。自動改札を抜け、俺は公衆便所に飛び込んだ。もちろん女性用だ。鏡に映る姿を確認するのもそこそこに、俺は個室の扉を閉めた。バッグと上着をフックに掛け、セーターをTシャツと一緒に脱ぎ捨てる。
胸元を覗き込むと、ブラに包まれた豊満な乳房がそこにあった。スカートも外し、俺は女性下着だけの姿でそこにいた。
両掌を胸の膨らみに当てた。ずっしりとしたバストの重みを感じる。もちろん、それだけでは満足しない。ブラジャーから豊満な乳房を引き出し、その先端を指先で挟む。「あぁ!」俺の喉から艶かしいオンナの吐息が溢れる…
トントンど扉がノックされる。「大丈夫ですか?」
中年女性の声に現実に引き戻される。「大丈夫です。」俺は慌てて服を着ると公衆便所を飛び出した。遠くで救急車が走り去って行く音が聞こえた。
でも、そんな事はアタシには関係のない事。アタシは入ってきた電車に乗り込んだ。
さあ、アタシのウチでリターンマッチよ。