俺は独り洋館に取り残されていた。
前の住人であった老女が俺の姿を奪い取ってからというもの、俺はこの洋館の外に出られなくなっていた。扉は堅く閉ざされ開かれる事はない。窓を開けても身を乗り出す事は許されるものの、そこから転がり出ようとするとコンクリートで固められたように足が動かなくなる。助走を付けて飛び出そうとしてもガラスのように透明な壁に遮られる。唯一、中庭だけが俺に許された外界だった。
「そうそう、貴女が貴女のままでいる限り、その館からは一歩も外には出られませんよ。」
老女の言葉が思い出される。
俺は変わり果てた自分の姿を観た。
ドレスに包まれた俺の身体は隅から隅までオンナになってしまっていた。
服を脱ぐとブラジャーに包まれた肉塊が目の前に現われる。
鏡の前に立ち、全ての衣服を剥ぎ取る。
俺と同じ顔をした全裸の女がそこに立っていた。
これが今の『俺』だ。
股間のあるべき俺の息子は消えて無くなっていた。
代わりにオンナの割れ目がそこにあった。
鏡に近づき、床の上に腰を降ろす。
股を広げ、その内に目を凝らす。
鏡に写るのはまさしく女性自身であった。
肉襞に肉芽…オンナのモノを全て備えていた。
指を這わせるとすんなりと咬わえ込んで行く。
「あんっ!!」
指の腹が敏感な所に触れた。
悦感が背筋を昇ってくる。
声が出る。
それは由美子がベッドであげていたのと同じ声だった。
ジワリと股間が熱くなり、指先に体液が絡みつく。
胸の先が堅く尖っていた。
残った手で胸の蕾を弄ぶ。
「あうっ!!」
悦感が全身に広まる。
鏡の中で淫蕩なオンナが悶えていた。
俺は胎の中の指を動かした。
「あ〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!」
頭の中が真っ白になり、俺はイってしまった。