「俺がコレを着るのか?」
差し出されたのはOLの制服だった。
「勿論、着るだけじゃない。ちゃんと化粧もしてもらうからな♪」
目の前にいるのは俺の旧友であり、この会社の創設者にして社長の席にある男だ。
「それが雇ってやる条件だ。丁度寿退社した娘の席しか空いてなかったんだ。」
「だからって女装させる必要はないだろう?」
「仕事をするにはその仕事に合った制服を着用するのが一番効率が上がる…というのがボクのポリシーだ。それでこの会社も大きくなった。」
「だがな…」
「前任の娘も最初は嫌がっていたが、即にわが社のナンバーワンになって、筆頭株主の息子と結婚するまでになったんだ♪」
「どう考えても、俺が男と結婚するなんて有り得ない…まさか、その娘って男だったのか?」
「そういえば、今のお前と同じようにグズってたな♪大丈夫。お前にならできる!!」
「お、俺は女になりたい訳じゃない!!」
そんな問答をしていたのは、もう一年も前の事だ。
「やはり辞めるのか?」
社長としては俺が辞めてしまうのは辛いのだろう。
「この先はコレに専念したいからな♪」
俺は丸々と膨らんだお腹を指した。
そう、この中には目の前の男と俺の愛の結晶が育っている。
仕事に慣れると同時に「女」にも慣れ、俺は「女」としてこいつに惚れてしまったのだ。
彼もまた俺を「女」として愛してくれたので、俺は身も心も「女」になっていった。
そして、避妊など頭にない元男が即に妊娠するのも成り行きだった。
「じゃあ、新しい娘を雇わなくちゃな。」
「それはそうだが、その子がどんなに可愛くなっても手は出すなよ!!」
「わかってるって♪」
と彼は履歴書の束から可愛い男の子を選び始めていた。