シンクロ


 
 俺には特異な能力がある事がわかった。
 俺はそれを「シンクロ」と呼んでいる。
 簡単に言えば、その人物と同じ動きをすると、その人物の五感を共有できるのだ。
 
 気が付いたのはAVを見ていた時、ふと、男優と同じ格好をしてみようと思いたったのだ。
 画面を見ながら、男優と同じように女優の頭を押さえる格好をしてみた。
 すると、指先に女の髪が絡み付く感触があった。
 そして、画面の中では女優が男のぺニスを咥えてゆく…
 (?)
 俺のぺニスが女の口に咥えられたように感じたのだ。
 が、次の瞬間…全ての感覚が消えた。
 俺が男優の動きに付いていけなかったのだ。
 
 しかし、もう一度試みてみる。
 画面の中では女優が男の上に跨がっていた。
 俺も同じように寝転がる…
 「シンクロ」が発動した。
 ずっしりと女の体重が俺の腰に掛かってきた。
 が、それよりも、俺のぺニスが女の膣に包まれている感覚にのめり込んでいた。
 膣が俺のぺニスを締めあげる。
 そして女が腰を動かす。
 上下運動だけでも、俺のぺニスはどんどん限界に近付いていった。
 そして、男優と一緒にドピュッと精液を女の膣に打ち出していた…
 
  
 
 しかし「シンクロ」を行うのはそれほど簡単でもなかった。
 画面を見ようとすると、その時点で男優の動きと異なってしまうのだ。
 最初に「シンクロ」できたのは奇跡と言っても良いくらいだ。
 
 俺は人生の中で経験した事のないくらい必死になった。
 AVを何十回・何百回と見直して、男優の所作を指先まで再現するのだ。
 女優の動きに合わせて腰を振り、ぺニスを突き立てる。
 「シンクロ」が発動しなくとも、男優と同時に発射できるまでになっていた。
 
  
 
 ふと…
 (女優でも「シンクロ」は発動するのだろうか?)
 と思っていた。
 既に男優の動きと同じ位、女優側の動きも覚えてしまっていた。
 (できるのか?)
 俺は四つ這いになり、目の前のぺニスをイメージした。
 男の手が俺の頭を押さえ込む。
 俺の長い髪が男の指に絡んでいる。
 俺は口を開き、男のぺニスを咥えていった…
 (!!)
 俺の口の中に男のぺニスが侵入してきた。
 女優がしていたように、舌と上顎で刺激を加えるとぺニスは更に太く、硬くなってゆく。
 口の中に先走りの味が広がっていった…
 
 シーンが変わる。
 俺は男優の上に跨がっていた。
 「シンクロ」は続いていた。
 俺は膣の中にぺニスの存在を感じていた。
 俺は膣に力を込め、ぺニスを締めあげた。
 そのまま上下に腰を動かすと、カリが膣壁を刺激する。
 「あん♪ああ〜んっ!!」
 意識せずとも、俺は女優と同じ淫声をあげていた。
 男の腕が延びてきて、俺の胸を掴む。
 そこには双つの膨らみがあり、俺自身が動く事で適度な刺激がもたらされる。
 「ああん♪イイ…イッちゃいそう…」
 俺の膣の中では、男のぺニスが限界に近付いていた…
 「あっ、ああ〜ん♪」
 男優がドピュッと精液を俺の膣に打ち出すと同時に、俺も絶頂を迎えていた…
 
  
 
 俺は仰向けに転がされていた。
 脚がM字に開かれている。
 その股間は「男」を求めてヒクヒクと震え、涎を垂らしている。
 (こんなシーンあったっけ?)
 だが、訝る暇もなくのし掛かる男に貫かれ、俺は快感に悶えていた。
 「あん♪ああ〜ん!!」
 淫声をあげたのは「俺」なのか「女優」なのか?
 境界がなくなっていた。
 俺は女優を真似ることでシンクロしていたが、俺は女優の演じる「女」そのものになっていた。
 女優の演技がシンクロした俺を動かす。
 否。俺自身が「女」として喘ぎ・悶えているのだ!!
 
  
 
 もう「シンクロ」が解かれる事はない。
 俺は思う存分、オンナの快感に呑まれてゆく…
 「ああ、お願い♪もっと激しくぅ〜!!」
 俺がねだると、男は更に激しく腰を突き動かす。
 「イイっ♪ああ、そこ…イク、イッちゃう〜〜!!」
 快感は際限なく繰り返されてゆくのだった。
 
 
 


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