地縛霊


 
 まあ、なんだ…
 俺は歩道に突っ込んできた暴走車に潰されて死んだんだな。
 未練と言うか…30過ぎの男が童貞のままあの世に行けるか?
 そんでもって、俺はこの場所に地縛霊として佇んでいる訳だ。
 勿論、普通の人間に「俺」が見える訳ではない。霊感があれば別だが…
 
  
 
 霊感に関係するのかは判らないが、変な噂が立ち始めたらしい。
 俺の立っているこの場所でエッチすると、いつも以上に感じる…っていう噂だ。
 元々、人通りなど殆どない場所である。夜になればたまに通る車のライトに照らし出される以外に人工の明かりは届かない。
 そんな闇の中で女の背を壁に淫らな事を始めるのだ。
 
 事故現場…というそれだけで異常な気分になるのだろうが…女の立つ位置は丁度俺が潰された場所なのだ。
 つまり、地縛霊たる俺と女の肉体が、そこで重なるのだ。
 男が女を責める…女が快感に喘ぐ…
 と、その「女の快感」が俺にも伝わって来るのだ。
 男が感じる事のできない快感に晒されて、俺は狂いそうになる…
 その感覚が女にも伝わり、いつも以上に感じるらしい。
 
 女の足が地面から離れる。
 男に持ち上げられた女はその足を男の腰に回す。
 男は更に腰を押し付け、下から女を支える…と同時に男のぺニスが女の膣に填まり込む。
 
 女が感じている全てが俺に伝わってくる。
 (童貞の俺は女に挿れたいんであって、挿れられたいんじゃないっ!!)
 男が腰を振る…
 「あん、あん♪イクゥ、イっちゃう〜♪」
 俺のナカに男の精液が放たれると同時に、俺も女と伴に嬌声をあげ…イってしまうのだ。
 
  
 
 いつも以上に激しく昇天したのであろう彼女を抱えて男が去ってゆく。
 俺はまた独り、この場所に取り残される…
 地縛霊なのだから♪
 
 
 


    次を読む     INDEXに戻る