俺は超一流の人形師だ。
が、師匠はいまだ俺のことを認めてくれない。
「確かにお前の技には凄いものがある。精巧で、まるで生きているようだ。」
と、そこまではよいのだが…
「だが、お前の人形には魂が入っていない。人形は人形師が魂を彫り込むことで活きてくるのだ。」
じゃあ、魂の入れ方を教えろ…と言うと、
「それは教えられるものではない。」
と突き返される。
今、俺は人形師としての集大成ともいえる等身大の人形を彫りあげた所だった。
(さて、どうすればこの人形に魂を込められるのだろうか?)
そんなことを思いながら、溜まった疲れに勝てずその場で寝入ってしまっていた。
「先輩!?」
騒がしい声に叩き起こされた。
(?)
起きた…と言うか、意識が覚醒しただけであり、身を起こすまでには至っていない。
否!!俺は俺の身体をピクリとも動かせないでいた。
どやどやと弟弟子逹が集まってきて、「俺」の身体がベッドに移された。
その様子を見ている「俺」がここに居る。
(どういうことだ?)
部屋の見える向きからすると、俺は今「人形」を置いていた場所にいるようだが…
「あっ、お師匠様。こちらです。」
その声とともに入ってきた師匠は一瞥すると俺の存在に気付いたようだ。
「馬鹿め。人形に魂を込めろとは言ったが、人形に魂を奪われおって。」
「お師匠様?」
一向にベッドに横たわる兄弟子を見ようともしない師匠に声を掛ける者がいた。
師匠は振り返り弟子逹に告げた。
「間もなく、その肉体は滅びゆく。奴の魂はそこの人形に囚われてしまったのだ。元に戻すことはできない。」
「そ、それでは先輩は?」
「奴の意志の強さ次第であろう。弱ければ人形の中に消えてゆく。強ければ、人形の身体を己の物とする。」
「ど、どういう事ですか?」
俺は言葉を発していた。
が、その声は「俺」のものではなかった。
この人形の姿に相応しい、鈴を鳴らすような美しい女声だった。
「文字通り、その身体がお前自身となる。人の身でない、美しい不老不死の身体がな♪」
初めはキリキリと関節が軋んだが、次第にスムーズに動くようになった。
この身体は「人形」のままであるので食事を摂る必要もない。
師匠の言う通り、不老不死なのであろう。
俺は手に入れた無限の時間を使い、人形を極めようと思った。
が…
「あんっ♪」
夜になるとこみ上げてくる疼きに耐えられなくなる。
俺はこの人形を夜伽に使うものとして造った。
男に最高の快楽を与える極上のオンナだ。
俺の身体は男と交わる欲求に支配される。
既に今夜の「当番」の弟弟子が部屋に入ってきていた。
俺は己の意志を失い、彼の股間に顔を埋めていた。
牡の匂に包まれて、俺は口の中で硬くなってゆくぺニスを堪能した。
即に放たれる白濁の液体を呑み取ると、服を脱ぎ、彼をベッドに誘ってゆく…