TS熱


 
 熱が出たのは三日前だった。
 
 三日前、朦朧とした状態でベッドに倒れ込み、そのまま布団にくるまっていた。
 独り暮らしの引きこもりだったので、布団にくるまったまま2〜3日過ごす事は珍しくなかった。
 しかし、これまで病気らしい病気はした事がなかった。
 だから、どんな対処をすれば良いかもわからずに、ただ布団にくるまっていた。
 
 気付くと三日目の朝だった。
 熱は退いたみたいだが、熱の所為でかいた汗でパジャマが濡れていた。
 着替えるついでにシャワーを浴びる事にした。
 (?)
 起き上がる際、何か胸の辺りのバランスがおかしかった。
 引っ張られる…
 常に一方方向という訳ではない。
 胸に張り付いた質量が身体を動かす度に揺れ、重力と慣性に従って胸を引っ張っているようだ。
 
 風呂場に辿り着いた。
 洗面台の鏡に俺(?)が写った。
 どこか雰囲気に違和感があった…
 着ていたパジャマはそのままだし、覗き込んでいるのは俺自身であることは間違いない。
 しかし、胸には何かが付いていて、パジャマの胸を押し上げていた。
 
 (何が胸に付いている?)
 いずれにしろシャワーを浴びるので裸になるのだ。
 胸を確認する事も含めて、パジャマのボタンを外していった。
 外す際に、俺の腕がその膨らみに触れた。
 (肉塊の感触?)
 
 圧し付けた腕を押し返す弾力。胸を圧される感覚。
 その胸は本来の平らな俺の胸だけでなく、膨らんだ肉塊があった…
 その肉塊にも神経が繋がっているようだ。
 つまり、この肉塊も俺の肉体の一部だということだ。
 
 
 
 肌けた胸を鏡に写す。
 ある程度想定はしていたが、そこには女のような乳房があった。
 視線を鏡から離し、直接自分の胸を見てみた。
 それは確かに乳房であり、その先端には可愛らしい乳首が付いていた。
 (自分の胸に付いているのを「可愛い」と言うのも変だが… まさか?)
 
 不吉な想像が頭を過った。
 その変化が「胸」だけで終わっていない可能性に到達する。
 俺はパジャマのズボンに手を掛け、パンツと一緒に一気に脱いだ。
 (…)
 股間には一筋の溝が刻まれており、慣れ親しんだ俺の息子はどこにも見当たらなかった…
 
 (もっと良く確認するには…)
 とはいえ、この家には鏡はこの洗面台のもの以外にはない。
 アクロバティクに洗面台の上で股間を広げるのは難しそうだ。
 他に確認する方法は…携帯カメラ♪
 ただ、鏡のようにリアルタイムで画面に映し出すのは無理だろう。
 適当にメクラシャッターを切ってみた。
 
 映っていたのは「女の股間」そのものだった。
 (つまり、俺は女になってしまったという事か?)
 (どうする?)
 自問しても答えが返ることはない…
 「クシュン」
 とくしゃみが出た事で、当初の目的を思い出した。
 「シャワーを浴びるんだったのよね♪」
 
 
 
 俺は風呂場に入り、ノズルからお湯が出てくるのを確認すると、自らの身体に湯滴を降り掛けていった。
 身体の汗を流し終えるとノズルをフックに掛け、頭からシャワーを浴びた。
 自由になった両手で、胸の膨らみを確認してみる。
 ぴくっ!!
 触れた途端、乳首が反応した。
 それ以上にこれまで経験した事のない「快感」が乳首から脳天を射抜いていった♪
 (…)
 当然のように、俺の意識は下半身…股間に出来た溝の奥に向かっていた。
 バスタブの縁に片足を乗せて脚を開く。
 左右の指で溝を押し開くが、そこがどうなっているかを見る事はできない。
 過去の知識を動員して、その場所と思える所に指先で触れてみた。
 
 「痛っ…」
 最初に感じたのは快感ではなく痛みだった。
 「もう少し優しくね♪」
 俺が弄ぼうとしている女がそう言ってきた。
 彼女の言葉に従い、恐る恐るその場所に指を伸ばした。
 既に愛液に濡れている…のではなく、シャワーに濡れている股間ではあるが、お湯が指先をコーティングしてくれている。
 ソコの形状を指先で確認した後、中心の蕾にゆっくりと指先を差し込んでいった。
 「っあ…ぁあん♪」
 快感が沸き起こってきた。
 指を動かすとくちゅくちゅと淫らな音がする。
 (俺…あたしの愛液?)
 更に快感が昂ってくる。
 指を激しく動かす。
 「ああん♪イクゥ〜、イッちゃう〜〜!!」
 
  
 
 それから更に三日間、あたしは風邪をひいて寝込んでしまった…
 
 
 


    次を読む     INDEXに戻る