(18)夜這い


 朦朧とした意識のまま、部屋に戻ってきたのまでは記憶にあった。
 ちゃんとベッドに寝れていたようだが、直ぐ脇に気配があった。
 
 「お早う♪リン。」
 
 アーサーだった。
 (な、何で隣にアーサーがいるの??)
 一気にあたしの意識が覚醒した。
 そこはアーサーのベッドだった。
 (あたしはアーサーの隣で寝ていたの?)
 「昨夜は夜這いに押し掛けてきたのかと思ったよ♪」
 「あたし…が、夜這い?」
 「夜這い」の意味を頭が理解した途端、顔全面から炎があがるかのように真っ赤になった。
 
 「どうやら寝惚けてたようだったので、私は何もせずに寝かせてあげておいたよ♪」
 「あ、ありがとう…」
 「まあ、何もしないでいると言うのも、かなりの精神修養になったよ♪」
 再び「何もしない」の意味に赤くなる。
 「ご、ご免なさい!!」
 あたしは何度も頭を下げた。
 「練習場の話は聞いたよ。私の看病で相当身体が鈍ってしまったんだね。謝るのは私の方かも知れないよ。」
 
 
 
 「…昨日の事を…聞いた…って?」
 「実を言うと、さっきまで私は皆とザコ寝してたんだ。君がベッドを占有してしまっていたので、彼らの部屋に行ったんだ。」
 「じゃ、じゃあ…あの…ベッドの隣にいたのは?」
 「君を驚かせてやろうとしてね♪」
 「ん、もう。からかわないでくださいっ!!」
 「君の可愛らしい反応を見れて面白かったよ♪」
 
 「バカッ!!」
 あたしはアーサーに枕を投げ付けていた。
 アーサーは「そろそろ食事にしよう。」と言って部屋を出て行った。
 

    次を読む     INDEXに戻る