(13)ドレス
俺は慌ててリン=リョウを引っ張り部屋の外に出た。
「ね、ねぇ。着飾るってどうすれば良いのよ?」
「精一杯お洒落して来いと言う事だろう?クエストの報酬が十分あるから、先ずはドレスを新調しようか♪」
「ド…ドレス?!あたしが着るの?」
「男の俺が着る訳ないだろう♪まだ店は開いてる筈だ。可愛いのを選んでやるよ♪」
俺は彼に手を引かれて仕立屋に連れ込まれた。
「明日の晩餐に着せたいんだ。少し手直しするだけでこの娘に着れそうなのを見繕ってくれないか?」
と俺を余所にどんどん話しが進められてゆく。
しばらくして、俺たちの前にお姫様が着るようなドレスが並べられた。
「あ、あたしがこれを着るの?」
「他に誰がいる?ニキにでも着せるのか?」
俺はこれらを着たニキを想像した。
笑いしか湧いて来ない。
「じゃあ、リンが着て一番可愛く見えるのはどれだと思う?」
俺は次にリンが着た姿を想像した。
彼女であればどれもが似合っている。
中でもサクラの花をモチーフにした薄ピンク色のドレスが彼女の可愛さを引き立てていた。
「これかな?」
と俺が指差すと
「じゃあ試着してみようか♪」
と言い出した。
「あたしが?」
「他に誰がいる?」
「だってリンに着せたら…って」
彼は少し慌てたように俺の口を押さえ、耳元で殺し文句を囁いた。
「リンはお前だろ?」
俺はそれ以上抵抗できず、店の奥へと連れていかれた。
女性スタッフ逹に取り囲まれ、身ぐるみ剥がされてしまった。
「変なラインが出てしまいますから、下着もこちらに替えてください。」
それは限りなく薄く、肌触りの良い生地で仕立てられたショーツだった。
更にウエストがコルセットで絞り上げられる。
バストは肩紐のないブラジャーで下から絞りあげるようにしてしっかりとした谷間を造りあげていった。
脚もストッキングにくるまれ、いつもと違う感触に戸惑うばかりだった。
その上にドレスが被せられ、背中で紐が編み込まれてゆく。
到底、一人で脱ぎ着できる代物ではなかった。
次を読む
INDEXに戻る