(5)ラスボス


 「お前がラスボスか?」
 アーサーはダンジョンの最下層に辿り着いていた。
 
 このダンジョンの主と対峙する。
 が、既に体力も魔力も尽きかけていた。
 「ここまで来れた事は誉めてやろう。何か褒美でもやろうか?女淫魔の奉仕は天国に昇る快感だぞ♪」
 ラスボスの顔が卑しく歪む。
 
 「どうせなら、お前の屍をもらいたいね。」
 「ほう♪女に興味ないのか?じゃあ男か?可愛いのが良い?逞しいのが良い?」
 ラスボスの言葉はアーサーの集中を途切れさそうとするものであろうか?
 
 「色でなければ金か?ここには余る程あるぞ。わしの配下になるというなら、贅沢させてやるぞ♪」
 アーサーの意志に揺るぎはなかった。
 「惜しいなぁ。お前程の魔法力の使い手であれば、魔族になれば無敵だろうに♪」
 ラスボスの顔から笑みが消える。
 「やはり、わしとの戦いを選ぶのかね?」
 
 
 
 「勇者の名の元に、倒させてもらう!!」
 アーサーは剣先に残った魔法力を集中させた。
 
 刀身が輝きに包まれる。
 
 アーサーは更に集中し、相手の急所を探りあててゆく。
 多分一太刀を浴びせるのがやっとであろう。
 初手を封じられれば、そこで終わりに違いない。
 
 アーサーは脳裏に仲間達の顔を思い浮かべた…
 

    次を読む     INDEXに戻る