(3)リン
「粗方片付いたか?」
ロンと弓使いのニキが合流した。
ダンジョンの入り口に陣取り、たまにやってくる雑魚を倒す。
尤も、ニキの矢がほとんどの雑魚を近づく前に射抜いていた。
「ダンジョンの中では、ニキも僕も使い物にならない。リンとリョウでアーサーを支援してやってくれ。」
勿論、ロン程の使い手であれば、狭いダンジョンの中でも十分な戦力になる。
が、ダンジョンの入り口をニキ一人に任す訳にもいかない。
「わかった。」
と俺はリンに合図した。
「体力も大分回復したわ。こんなおっさんと二人ってのはなんだけど、アーサーの助けならばね♪」
とリンは我先にとダンジョンの奥に向かっていった。
「トラップが残っている可能性がある。十分注意しろよ。」
背後からロンの警告が届いた。
はたしてリンにまで届いただろうか?
案の定、リンはトラップに嵌まりまくった。
が、彼女の俊敏さが間一髪で最悪の事態からは逃れられていた。
そのトラップの一つづつを俺が始末してゆく。
後からやって来るであろうロン達の為にもトラップは潰しておいた方が良いのだが…
「トラップを探す手間は省けるが、あまりにも無神経過ぎるぞ。」
無駄だとはわかっているが、言わずにはいられなかった。
「おっさんと一緒なら安心できるからね♪」
そんな事を言われても、俺にも出来る事と出来ない事がある。
自らトラップに飛び込んでゆくような娘など助けようもない…
「!!」
俺が声を掛けたのが不味かったか、リンは俺の方を向いて歩いていた。
その事がトラップへの反応を一瞬だが遅らせてしまった。
リンが一瞬で硬直した。
俺はトラップの本体に剣を突き立てた。
トラップは崩壊してゆく。
が、リンは硬直したままだ。
「リンっ!!」
俺はリンの腕を掴み揺すろうとした。
その、俺の指先がリンに触れた途端
「!!ッ」
電撃に打たれたような刺激が身体を貫いた。
視界がぶれる。
かろうじて立ち続けてはいたが…
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