ローカル線の終着駅、野っ原の中にポツンと駅舎がたたずんでいる。
2本のレールは、車止め代わりにくくり付けられた枕木の先で宙にうねった後、砂利の山に没している。
2輌編成のディーゼル・カーがホームに滑り込む。
ドアが開く。
車掌が終着駅の名を告げる。
「……終点です。お忘れ物のないようにお降りください。」
駅は無人駅、車掌が切符を回収する。
だれもいない駅舎にコーラの自販機が唸りをあげていた。
駅前に広場はなく、線路と並走していた道路にバスの停留所がポツンとあるだけだ。
時刻表には朝と夕に数本が載っているだけだった。
バックを背負い直し歩き始めた。
振り返ると、車掌の笛の音とともにディーゼル・カーが出ていったところだった。