河の流れに



滔々と流るる河の水   
果てし無き流れの涯に  
辿り着く先 西方浄土  
舟は揺られて三途の川へ 
岸で見送る人の群れ   
手振り鐘打ち旗振りて  
落ち行く先を見届けむと 
細波の波頭に消えるまで 
一人も去らずに佇まん  
陽は落ち星の照らす中  
野越え山越え谷越えて  
川の流れに身を任せ   
行く先知れずの一人旅  
空を仰げば白い雲    
風の音には波の音    
雲は流され移ろへど   
変わらぬ舟に揺られては 
この身の変わる暇もなし 
月日の経つのも分からずに
又 旅立ちの波止場町  
五世の間の旅なれど   
再び見送る人々に    
送られ 旅の一巡り   
流れの果てにあるものは 
輪廻転生 釈迦の掌   
諸行無常の理を     
思い知らせるばかりなり 
河は流れる 舟の上   
終わらぬ旅の 旅がらす 


−了−


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