ショート・ショート

 信号機



「ついに完成したぞ!署長を呼べ!」
大門博士は助手を呼びつけた。
「今度の発明は何ですか?」
しばらくしてやって来た警察署長がたずねた。
「見てくれ。これが人工知能付きの信号機だ。これさえあれば暴走族などあっという間に退治してくれる。」
「それは凄い。で、どうやって退治するのですか?」
「う〜む、この信号機には人工知能を付けてある。こいつの人工知能には暴走族の思考形態をインプットしてあるのだ。それもかなり惚れっぽい。」
「惚れっぽい?」
「そう、こいつは暴走族のカッコいい自動車や単車を見かけると、とたんにポッと赤くなるのだ。絶対に暴走族を通させない!」

 数日後、署長が訪ねてきた。
「やあ、署長。信号機の調子はどうかね?暴走族はどんどん減ってきているだろう?」
「それなんだが、博士。たしかに暴走族には効果があった。しかし、これは使い物にはならないよ。」
「?」
「暴力団関係の外車を見ると、サーッと青ざめてどんどん通してしまうのだよ。」


−了−


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