最終電車



乗客のまばらな最終電車、
ふと気が付くと車両の隅にペガッサ星人が座っていた。
よく見るとドアの脇にはケムール人が佇んでいる。
僕の前にはメフィラス星人がいた……

「狸台、狸台。閉まるドアにご注意下さい。」
発車ベルが鳴っていた。
あわてて鞄を掴み電車を飛び出す。
ホームに足が着くのとドアが閉まるのがほぼ同時だった。
振り返ると宇宙人達を乗せた最終電車がゆっくりとホームを離れてゆく。
光りの列が闇の中に消え、車輪の音が遠のいてゆく。

見上げると夜空に星々が輝いていた。
腕を交差させてから真上に伸ばし、指先を天空に突き刺す。
軽く反動を付けて掛け声と共にジャンプ、
「シワッチ!」

僕はウルトラマンに成り損ねた。


−了−


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