「やあ♪」
と声を掛けられた。
振り向くとそこには声の主がいた。
「この後、空いているんだろう?」
俺は彼に腕を引かれるようにしてて人混みをすり抜けていった。
連れていかれたのはいつもの人気の少ない公園だった。
「なあ、そろそろ…じゃないか?」
彼はそう言うが、僕には選択権はなかった。
発端は…
文化祭で女装喫茶をするのは別に珍しいことではなかった。
問題は彼の持ち込んだ薬にあった。
「一週間…長くても一ヶ月で元に戻るから♪」
と豊胸薬をスタッフに配ったのだ。
確かに薬のお陰で完璧な女装が実現した。
そう、あくまでも「女装」のための豊胸であり、股間はそのまま…女体化した訳ではなかった。
彼の言った通りにほとんどのスタッフは一週間もすれば元に戻っていた。
長引いた奴でも一ヶ月は掛からずに元に戻れている。
俺もまた一週間で胸の膨らみは失われ、その後暫くは胸のあった感触を思い返すことはあったものの、いつもと変わらない日常を過ごしていた。
皆の胸が元に戻ったことが確認されたが、そのタイミングで奴が真っ青な顔で飛び込んできた。
「あの薬を使ったスタッフは集まってくれ。」
どうやら、ごく稀に副作用があるということだった。
試薬が配られた。
皆が陰性と告げられた中で俺だけ陽性反応があった。
「どうなるんだ?」
と聞いたが「精密検査が必要だ。」と、そのままタクシーで病院に連れ込まれた。
結論としては、どうやら俺はふたなりになってしまったらしい。
外見は男のままであるが、股間には女性器が口を開けていた。
まあ、それだけなら何とか生活に支障はでない。
例え、他の女性達と同様に毎月の生理があったとしても、彼女達も毎月受け入れていることである。
だが、一点だけどうしようもない副作用があった。
そう、月に一度は彼から薬を貰わなければならないのだ。
豊胸薬の副作用として、フェロモンの異常分泌が発生する。
「女」として普通に男と恋愛関係になれば落ち着くということだが、そうならない間はフェロモンの分泌が活性化し、そのままだと周囲の男性が不用意に発情してしまうのだ。
また、俺の方も変に男性を意識し始める。気が付くと俺の方からも男を誘惑するような行動をとっていたりする。
このフェロモンの異常分泌を抑える薬を彼から貰うのが毎月の務めになっていた。
とは言え、彼も男である。
俺の分泌するフェロモンに晒されて正気を保つのは難しい。
そこで風通しの良い屋外の公園の一角で投与してもらうことになっていた。
特にこの薬の投与には手順があり、俺独りでは出来ないのも難点であった。
彼がベンチに座ると、俺はその膝の上に乗る形となる。
生理があるということで俺は女子の制服を着ている。
そのスカートの中に彼は手を入れ、慣れた手付きでパンツの中から俺の息子を引っ張り出す。
その上にスキンを被せて刺激を与え始める。
精液が分泌される間は、俺がちゃんと「男」であるとの証明になるらしい。
と同時にフェロモンの分泌を抑える薬の効力が発揮できるホルモンバランスとなるということだった。
俺は後ろから抱き抱えられるようにしてペニスに刺激を加えられてゆく。
確かに、独りでオナニーする時よりシてもらう方が気持ちが良い。
願わくば、男ではなく女の子にシてもらいたいところだが、贅沢というものだろう♪
「っぁ…ぁあ!!」
一気に昇り詰め、男の証をゴムの中に吐き出してゆく。
「大丈夫。現状維持してるね♪」
彼はスキンを外すと、持ってきたケースの中に仕舞った。
しかし、このままではまだ終わらない。
「じゃあ、次いくね♪」
と、俺を抱き抱えたまま、更にパンツの奥に指を伸ばしてゆく。
「だいぶ解れてきてるね♪」
と彼の指が俺の女性器のナカに射し込まれてくる。
最初の頃は全然硬く、解すのにもそれなりの時間が掛かっていたが、最近はペニスを弄られている間にも愛液が滲み出てきて、彼が指を伸ばしてくるまでには十分解れていた。
「んぁ…ぁあん♪」
俺の口からはオンナの喘ぎ声のようなものが漏れだしてくる。
「あぁん、ソコ!!」
俺は腰を捻るようにして彼の指を迎え入れる。
彼の指がその場所を探り当てると…
「ああん♪イイ♪」
俺は快感に身を委ねていた。
それが「オンナ」の快感であることも理解した上で、俺はその快感を追い求める♪
「っあ、ああっ!!」
俺は彼の膝の上でオンナとして達していた。
「良い顔をするようになってきたね♪」
彼に誉められていたが俺は快感の後波に揺蕩っていた。
「さあ、薬を挿れようか♪」
彼はケースから座薬のようなものを取り出すと、俺の股間に挿入した。
「替えのパンツは持ってきてるね?」
と彼は俺の脚からパンツを剥ぎ取ると、濡れた股間を拭き取っていった。
俺が自分自身を取り戻したのはそれからだいぶ経ってからだった。
既に彼の姿はなく、俺は暗くなった公園のベンチに座っていた。
もし、フェロモンを撒き散らしてる状態でこんな所にいたら、いつ変質者に強姦されていてもおかしくはないだろう。
ましてや今の俺は女子の制服でスカートの下には何も履いていないのだ。
慌てて鞄の中から替えのパンツを取り出す。
今日はもう彼に弄られることもないので、ガードルで息子を押さえつけてしまう。
豊かな胸はないものの、こうして股間を抑えてスカートを履いてしまえば、俺はもう「女の子」以外の何者でもない。
「男と恋愛関係になれば完全に女になる」
そんな事を言われているが、俺はもう女子の一人として認識されてるし、今更「男」に戻りたいとも思えてこない。
彼との不自然な関係をいつまで継続してゆけば良いのか?疑問に思うことが多い。
「そんなのノリでしょ?」
女友達は軽くそう言うが…
「っぁ…」
俺は股間に違和感を感じた。
また今月も月のモノがやってきたのだ。
『俺はいつまで「男」を残しておきたいのだろう…』
見上げると、まんまるな月がそこにあった…