並行世界



「ねえ、起きてよ♪」
女の声がした。
 
俺はベッドの上に寝かされているようだ。
目を開けると、もう一人の「俺」だと名乗る女の顔があった。
が、その背後には見慣れた「俺」の部屋があった。
「成功したのか?」
俺は彼女に確認した…と同時に物凄い違和感を感じた。
俺の発した声は「俺」の声ではなかった…彼女と同じような、甲高い「女」の声のように聞こえたのだ。
「ど、どうなったんだ?」
ベッドから体を起こした。
「世界は元に戻ったようね。あたし達の存在を除いてはね。」
「お、俺達…」
「そう。あたし自身が男に戻れなかったばかりか、貴方まで女に…あたしと瓜二つになってしまったの。まあ、その姿を見れば、あたしが貴方自身だと言う事が判るかもね。」
「で、これからどうするんだ?もう一度改変するのか?」
「これ以上の改変は無駄だと思うわ。それに、あたしももうこの世界に留まっていられないみたい。」
「う、嘘だろ?」
「タイムリミットね。機会があったらまた会いましょう♪」
そう言って彼女は消えた。
「女」になってしまった俺を残して…
 
 
 
 
「なあ、最近お前体力衰えていないか?」
学校で友達にそう言われる。
どう見ても俺の姿は女であるが、人々の認識は「男」のままである。
学生服の胸が膨らんでいても、真っ平に見えているようだ。もちろん、甲高い声も男の声に聞こえるらしい。
しかし、俺の体が女である事は動かし難い事実であった。言うのも恥ずかしいが、先日には生理も経験したのだ。
 
俺は学校の帰りにコンビニに立ち寄った。通販で女物の衣服を購入したのだ。俺が「女装」したら、どう見られるか試してみたかったのだ。
自分で採寸して、買い揃えてみた。もちろん下着から全てだ。カタログを見て、同世代の女の子が着ておかしくない、かつ、今の俺に似合いそうなやつを探してみた。
コンビニに届いた荷物を抱えて家に戻る。
学生服を脱ぎ捨て、下着から全て着替える。鏡の中には、俺の思い描いた通りの女の子が映し出されていた。
 
服と一緒に買ったサンダルを履いて外に出る。公園のベンチから親友の和哉を呼び出した。
しばらくして和哉がやってきた。キョロキョロと公園の中を見渡す。奴は「俺」を見つけられないでいた。
痺れを切らして立ち上がった俺は和哉の前に立った。
「誰を探してるんだ?」
と声を掛けてやった。
奴は俺を見た。
そして、もう一度俺を見た。
「真人か?」
「そうだよ♪」
和哉の目がまん丸に見開かれた。
「な、何なんだよ、その格好は?」
「変?」
「…」
彼は言葉を詰まらせた。
俺は和哉の次の言葉を待った。
「何か…カワイイ…ってか、本当に真人なのか?」
「ありがと♪この姿の時は真子って呼んでくれると嬉しいナ。」
あたしは和哉の腕を取り、歩き始めた。
「和哉んち行こう。新しいゲーム買ったんでしょ?」
そう言って彼の腕を引き寄せる。二の腕があたしのバストに密着する。
「お、お前…その胸…」
「勿論、本物ダヨ♪後で見せてあげるよ。それよりも触りたい?」
「バ、バカ言うな!!」
そう言うなり、和哉は口を閉ざしてしまった。
 
和哉の部屋に入った。
あたしは勝手知ったるでゲームの準備を始めていたが、和哉は部屋のドアを閉めたまま、そこにつっ立っていた。
「どうしたの?」
「本当に真人なのか?」
「あたしは真子よ♪言ったでしょ?」
「その…胸…」
「なぁに?ゲームよりこっちの方が良いの?」
あたしは和哉の前に立つと、服を脱いでいった。ブラとショーツだけの「あたし」が彼の前に晒される。
「どお?」
あたしは彼の手を取ると掌をあたしの胸に触れさせた。
「んあん♪」
彼の指があたしの胸を揉みだすと、そこから快感が広がっていった。
ブラが外されていた。
カーペットの上に押し倒された。
和哉な口があたしの乳首を吸っていた。
 
「もっとイイことしない?」
あたしは彼のズボンを脱がした。
ギンギンに勃っているペニスが露になる。
あたしもショーツを脱ぎ捨てていた。
「来て♪」
股間を広げ、彼のペニスを引き寄せて来る。
あたしの上に彼が伸し掛かる。
 
ヌッ!!
 
あたしのナカに彼のペニスが侵入してきた…
 
 
 
気が付くと俺は床の上にいた。隣には和哉が転がっている。
股間に残る違和感…
(俺、和哉とシちゃったんだ…)
「んん…」
和哉が気が付いたようだ。
「あ…真人だよな?」
「どうかしたか?」
「夢を見てたのかな?お前が女で、俺…お前とシちゃって…」
(?)
今の和哉には俺が元の「真人」に見えているのだろうか?
俺はまだ全裸で、胸の膨らみはしっかりと彼に見られているのだ。
「和哉って見かけによらず激しいのね♪」
あたしがクネッとシナを作ると…
和哉は腕で目をゴシゴシと擦った。
「真子?」
「何だい?俺が女に見えるのか?」
和哉はもう一度目を擦った。
「い、今。一瞬、お前の胸にバストがあるように見えたんだ。」
「で、今は見えない?」
「当然だろう?男の胸が膨らんでる筈がないだろう?」
「じゃあ、何か?和哉は男同士でもヤッちゃうのか?」
「そ、それを言うなよ。あの時はお前が女に見えたんだ。第一、紛らわしい格好をしてくるお前が悪い!!」
「大丈夫だよ。和哉は変態なんかじゃないよ。どんな風に見えていても、俺は女になってしまったんだ。」
「な、何を言ってるんだ。どこから見てもお前は男だろうが?」
「そう思う?」
俺はだんだんコツが解ってきた。俺が自分を「俺」だと思っている限り、他人は俺の事を「男」だと誤認してしまうようだ。逆に、俺が女らしく…自分を「あたし」と言えるようになれば、ちゃんと女の子に見てもらえる。「どお♪」
あたしは二の腕でバストを挟むようにしてポーズを取った。
「お、女…なのか?」
「そうだヨ♪真人は真子っていう女の子だったんだ。だから和哉に抱かれても何の問題もないんだよ♪」
「真子は…確かに女の子だな。」
 
「だから、もう一度シよっ♪」
あたしは和哉の上に跨ると、萎えたペニスに咥え付いた♪
 
 
 

−了−

 

    戻る