逆転
7.「女」
艇は航路を大きく外れた空間を漂っていた。
アタシは幾度となくガルシアにイかされた。そんな怠惰な日々も長く繰り反されれば飽きてくる事もある。
(ダーリンもシンクロさせてみたら?今ではちゃんとコントロールできるから、やってみましょうよ♪)
アタシはミネルバの提案にノる事にした…
「ねぇダーリン♪少し雰囲気を変えてみない?」
「今度は何をするんだ?」
「あのねェ、ブリッジに行きましょ♪」
「あそこは床が固くて嫌だとか言ってなかったっけ?君が良いと言うなら、僕は構わないけどね♪」
ガルシアは素直にアタシの後に付いて来てくれた。ブリッジに着くと中央にあるパイロット・シートに向かった。
「ねえ、座ってみない?」
「良いのか?こいつの装置は結構上等なものなんじゃないのか?」
「別に動かす訳じゃないから、大丈夫よ♪」
そう言ってやると、玩具を与えられた男の子のように瞳を輝かせて、ガルシアはシートに着いた。
ゆっくりと手を伸ばし、「装置」に触れた…
その瞬間、アタシは「装置」を起動させた。
「あうっ!!」とガルシアがうめく。
次の瞬間、アタシの意識が広がる。ガルシアの肉体がアタシのコントロール下に入った。
(大丈夫♪問題はないわよ)
ミネルバがガルシアの意識を包み込んでいるのだ。アタシは意識をガルシアの肉体に移した。
ドサリッ
アタシの肉体が床の上に崩れ落ちた。
アタシの目の前には装置があった。
「コントロール・グリーン。何も問題はないようだね。」
アタシの声はガルシアの声となってブリッジに響いた。
立ち上がり、床に倒れている「アタシ」を抱えあげた。
「アタシって、こんなに軽かったんだ…」
(軽いのは確かだけど、ガルシアに力がある方が効いていると思うわ)
アタシはミネルバと会話をしているが、実際にはアタシとミネルバを分けるモノは存在しない。言うなれば、自問自答しているに過ぎない。
しかし、ガルシアとの間には明確な境界を設定しているので、彼の意識はちゃんと独立して存在している。
アタシは「アタシ」をベッドに寝かせると、「アタシ」の中にいるガルシアを覚醒させた。
「ダーリン!!ダーリ〜ンッ!!」
ガルシアの意識の拘束を解くと同時に、アタシはガルシアの肩を揺すった。
「んん…」とガルシアの意識が戻ってきた。
「こ、ここは?何が起きたんだ?」
「装置が暴走したみたい。アナタが気を失ったみたいなので、ベッドに運んだのよ。」
「?!…キミはミネルバなのか?僕にはガルシアという男にしか見えないんだが?」
「それを言うなら、ミネルバは貴女の方ね♪」
アタシはガルシアに手鏡を渡した。
「こ、これが僕?」
「装置が暴走して、過剰シンクロを起こしているみたいなの。数時間すれば元に戻る筈よ♪」
「数時間か…」
アタシはそこで不敵な笑みを浮かべてガルシアに言った。
「ダーリン?ダーリンが今、何を考えているか当ててみましょうか?」
一瞬でガルシアの顔が紅潮する。
「せっかく女になったのだから、オンナの快感を味わってみたい…図星でしょう?」
「そ、それは…」
「否定はしないのね♪良いわよ。アタシは処女じゃないし、自分とスルって事にも興味あるしね♪」
「良いのか?」
「アタシとダーリンの仲じゃない。時間がもったいないから、早速行くわよ♪」
アタシはそのままガルシアをベッドに押し倒した。
「ああんっ♪」と愛らしい叫び。
「あら、もうソノ気になっているのね。それじゃあ、遠慮なく行くぞ!!」
俺は久しぶりに「男」に戻っていた。荒々しくガルシアの唇に吸い付いた。片手で唇が離れないようにガルシアの頭を固定し、もう一方の手でシャツをはだけてゆく。
ブラのカップから乳房を引き出し、揉みあぐてゆく。
「むむ…」
ガルシアも感じているようで、塞がれた口の奥で喘ぎ声をあげている。
もじもじと太股を擦り合わせているのは、股間に溢れた蜜の感触を確かめているのだろう。
続いて、乳房の先端にある乳首を攻めた。
「!!!!」
ガルシアは声にならない悲鳴をあげていた。
「どうだい♪オンナの快感は?」
ようやく唇を離して言った。
「す、凄いよ。攻められる度に頭が真っ白になってなにも考えられなくなるんだ。」
「ダーリンは甘いね♪まだ前技の途中だよ。これからドンドンいくからね。」
「まだ?もっと凄いのが来るのか?」
「大丈夫♪ちゃんとイかせてやるからな。」
「ダ、ダメ…おかしくなっちゃいそう…」
「それで良いんだ。オンナは快感に任せていれば良い。じゃあ、次いくぞ!!」
俺の口で塞がれていたため、ガルシアの中に溜まっていたモノが、嬌声となって部屋を満たした。
ガルシアは既に自分が男であった事など忘れ果て、オンナの快感に呑み込まれていった。そして、俺から与えられるだけでなく、自ら腰を振り、快感を求めてきた。
俺は思う存分、女の肉体を突き上げ、かき回し、尽きるまで精液をぶちまけてやった。
ガルシアはオンナとして何度もイき、最後には最大級の艶声を張り上げ、そのまま意識を失ってしまった。
(どうだった?)
ミネルバが問いかけてくる。
タマには良いけど、オンナの快感には替えられないね。
(もう、男に戻ろうとは思わないって事?)
そうね♪アタシはもう「ミネルバ」なのだから…
アタシはベッドに眠る「ミネルバ」をソファに移し、ガルシアの肉体をベッドに横たえた。
ガルシアの意識を元の肉体に戻す。アタシはアタシの体を取り戻した。
シャワーを浴びる…
膣の中には「俺」が放ったガルシアの精液が詰まっていた。
(妊娠する事はないわよ。この肉体は過剰シンクロによってワタシの形状が上書きされただけだもの。染色体までは変わってないものね♪)
ミネルバのコメントにアタシは何をがっかりしたのだろう。
アタシが本物の「女」ではない事は解っていた筈なのに…
何故かシャワーの水にアタシの涙が混じっていた。
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