出会い
3.「ガルシア」
俺は快感に身動きが取れなかった。
いつの間にかガルシアに組敷かれていた。股間はつながれたまま、俺の脚を抱え、突き挿れてくる。
「あ、ああん♪」
快感に俺は女のような喘ぎ声をあげていた。
(そうだ。俺は「男」なのだ!!)
何故、俺はガルシアに挿れられて悦んでいるのだ?俺のこの肉体は?何で「女」になっているんだ?
ガルシアに突かれる快感に圧し流されそうになりながらも、現実を一つづつ確認していった。
俺の脳裏には、バーでガルシアと呑んでいた記憶があった。
その時には既に俺は「女」だった。ガルシアの手に掛かれば、どんな「女」も喜んで彼とベッドに入る…その言葉通りであった事を俺は体験した事になる。
俺はスパで女物の浴衣を着て、堂々と女湯に入っていた…
それ以前から、俺の体は「女」だった?
俺の乗ってきた艇は?
あの巡洋艇を自分の艇であると錯覚しているようだが、あれは「俺」の艇ではない。
「俺」の艇は破壊されたのだ。
それも、俺自身の手で…
俺の意識は巡洋艇の装置と過剰にシンクロしていた。
装置には本来の巡洋艇の=既に死んでしまった=持ち主の意識が刷り込まれいたに違いない。
過剰シンクロにより、彼女の意識が俺の方に逆流してきたと思われる。
元々軍用であった装置のパワーは、桁違いであるが故に…
彼女の意識とともに、身体的特徴さえも俺の肉体に上書きしてしまったというのだろうか?
「あん、ああん♪」
俺は快感に喘いでいた。
自分が「男」であると意識していても、「女」の肉体が快感に反応してしまう。
ガルシアのテクニックもさることながら、この肉体がとてつもなく感じ易いのだ。
そして、俺自身が、オンナの快感を求め始めていた。
「ぁあん♪イイ… モッと頂戴〜!!」
俺は自らガルシアにねだっていた。
「そうか♪ならコレはどうだ?」
新たな技で責められると、俺は一気に昇り詰めていった。
「さあ、フィニッシュだ!!」
「イイッ!!イクゥ〜♪イッちゃう〜〜〜!!」ガルシアが俺の膣に射すと同時に、俺は女のように嬌声を上げ…そのまま、意識を失ってしまった。
再び目覚めた時、そこにガルシアの姿はなかった。
俺は起き上がると、部屋に備え付けのシャワールームで汗と汚れを洗い流した。
俺の股間…膣の中からガルシアの精液が滴り落ちて行くのを見て、俺は「女」になってしまった事を実感した…
スパ衛星を離れ、巡洋艇に戻っていった。
俺は艇の事も、艇の持ち主であった女の事も何も知らなかった。知る為にはもう一度、艇の装置とシンクロする必要があるのだった。
正直、怖い。
再び過剰シンクロが起こった場合、俺の「俺」としての意識が存在を続けられる保証など、どこにもないのだ。
しかも、艇を動かすには、どうしても装置に触れなければならないというジレンマもある。
勿論、艇を放棄してスパ衛星に戻る事も選択肢としては存在する。が、こんなにも人目に付く所に巡洋艇が放置されていれば、いずれ何者かが侵入してくるに違いない。そして、俺と同じように過剰シンクロにより己を失う可能性は十分にあるのだ。
俺には、この場所に艇を放置した責任が発生する。
それを考えた場合、俺に残された選択肢は自ずと決まってしまう。
俺はブリッジに戻ってきた。
己の意思でこの席に座るのは、二度目となる。好奇心の赴くままの前回と、全てを受け入れる覚悟を決めて座る今回。
俺はゆっくりと装置に手を伸ばした…
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