怖い話



 何か変な病気をもらったのだろうか?気が付くと俺の股間からペニスが消え失せていた。
 別に痛みとか違和感とかはない。朝起きて小便をしようと便器の前に立ったが見付からなかったので多少慌てたが、尿意に推され仕方なく便器に座った。出るものはちゃんと出てきたのでひとまず安心した。
 ベットに戻る。ここはホテルの一室だ。昨夜を供にした娘は姿を消していた。着ていた服は下着から一式残されていたが、シャワーを使っている訳でもなく、トイレは今まで俺が使っていた。ドアもロックされており、裸のまま出ていった風でもない。(幽霊だったのか?)
 となると、俺のペニスは幽霊に持っていかれたことになる。不思議にもそれで納得してしまった。
 
 
 別に性転換した訳でもない。俺の肉体は一か所を除きなんら変わりがないので、そのままパンツを履き、服を着た。幽霊が残していった服は集めて袋に詰め込んで持ち帰った。
 その夜、再びあの娘が現れた。「私を捨てないでくれたのね。」昨夜と同じ服だった。へやの隅に置いた袋からは当然の如く持ち帰ってきた服は消えていた。(あの服に取り憑いていたのか。)と納得する。俺の前で彼女が服を脱ぎ始めた。俺の股間が激しく反応する。俺のペニスが復活していた。相手が幽霊であるとは知りつつも、俺はその夜も女体を満喫した。
 彼女は毎晩のように現れた。朝になると俺のペニスとともに消えてしまう。後には脱ぎ散らかされた彼女の服だけが残されるのだった。それを片付けながら、ふと悪戯心が芽生える。パンティを抜き取り、自分のズボンのポケットに捩込んでおいた。
 その夜も彼女は現れた。「あなたも好きね。」そう言って捲り上げたスカートの下には俺のパンツが履かれていた。一方、俺の股間には一向に復活の兆しもなかった。彼女がパンツを下ろすと、そこには「俺」のペニスがあった。彼女が近付いて来る。金縛りにあって、俺は身動きができなかった。彼女が俺の股間にペニスを突き立てた。俺の中にペニスが侵入してくる。得体の知れない快感に俺は媚声を上げていた。
 
 
 
 記憶の片すみに彼女の言葉が残っていた。「今度は私の服を着ておいてね。いっぱい可愛がってあげるわよ♪」その夜の俺は異様に高ぶっていた。風呂から出ると、操られるように彼女の下着を付け、服を着ていった。
「良く似合うじゃないか。可愛いよ。」突然背後から声を掛けられた。彼女の鈴の音のような声ではなく、野太い男の声だった。振り向くとそこに「俺」がいた。「約束通り、可愛がってあげるよ。」そう言うなり、彼は俺を抱き締めると唇を合わせた。
 強引に舌が割り込んでくると同時に項に這わせた指が性感帯を刺激する。俺の身体から一気に力が抜けていった。俺は彼に抱かれてベットに連れてこられた。スカートの中からパンティが抜き取られた。彼は下半身を裸にして、俺にかぶさってきた。「おや、もうこんなに濡らしているのかい?淫らしい娘だね♪」彼の指が俺の股間を撫であげると、その指先には愛液が絡み付いていた。「いくよ。」と彼が身体を重ねてくる。俺の膣の中にペニスが侵入してきた。それが抜き差しされる度に俺は女のように悶え、喘いでいた。
 
 
 
 夜が待ち遠しい。俺は身支度を整え、彼を待っていた。タンスの中には女物の服が溢れ返っている。俺は清楚なワンピースの下に官能的な下着を忍ばせていた。早くも乳首が彼を待ち侘び硬くなっていた。愛液がショーツを濡らし始めている。
「あぁ、早く来て♪」
 
 待ち切れず、俺の手がそろそろとワンピースの裾をたくし上げてゆく。俺はもう、自分の股間にペニスのあった事など忘れてしまっていた。
 
 
 

−了−


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