妄想



 俺はゆっくりと股間に手を差し入れた。濡れる事のない膣口に指を立てる。力を入れると指先は想像上の膣の中に埋没していった。「あふうん♪」女みたいに喘いでみる。愛液が俺の指を濡らし始めた。「もっといじめて頂戴。あたしのおまんこが愛液でチュパチュパ音をたてるまでっ!!」俺は腰を振って更に奥まで指を咬え込んでいった。
「お願い♪おっぱいも刺激シて?もう乳首も勃ってるの。ねぇ、摘んでみテェ〜」俺は空いていた手を自分の胸に乗せた。掌でさすると、膨らみかけの乳房の感触が甦ってくる。俺は親指と人差し指でその先端の突起を挟んだ。「あっ、ああ〜ん。」媚声が漏れ始める。俺のおまんこは充分に濡れてクチュクチュと淫らな音をたてていた。俺は枕元からバイブを取り上げる。俺は更に股を広げ、バイブをおまんこの中に送り込んでいった。先端が子宮の入り口に届いた。俺の腹がバイブで満たされている。
 
 バイブのスイッチを入れた。
 
「あっ、あっ、あっ」快感が津波のように押し寄せてくる。
「いく、いく、いく。いっちゃう〜〜〜っ」俺の意識は絶頂を感じると同時に天空の彼方に放り投げられていた。
 
 
 
 
 
 
 快感の余韻が残っていた。ゆっくりと目を開ける。顔を横に向けると「彼」もまたこちらを向いていた。どうだった?と彼が目で言っている。「うん♪」とだけ答える。彼の手が再びあたしの胸に伸びてきた。敏感になったあたしの肉体は触れられただけでも即に達してしまいそうだった。あたしは彼の手から逃れるようにして身体を起こした。シャワーの下で汚れを落とし、バスタオルで水気を吸い取る。下着を付けスカートを履く。上はキャミソールにジャケットを被る。ニーソックスを履いて着替えは終了する。残された彼の服は畳んで紙袋に入れておいた。
 
 この部屋であたしは独りぼっち。彼はベットの脇の鏡の中に封印されている。だからこの部屋には女の子のあたししかいない。だから、いくら可愛く装っても、いくら奇麗にお化粧しても、誰も褒めてくれない。だけど、あたしはこの部屋を出ていくことができない。あたしが出ていくと、封印されたままの彼が消滅してしまうと言われている。本当なの?あたしは自分に問い掛けてみた。あたしが出てゆくと、本当に彼が消えてしまうの?[消えてしまうことがどれ程のものなの?]何者かがあたしに囁く。[彼はあたしにとって何なのだろう?]危うい疑問があたしの中に巻き起こっていった。
 
 
 
 
 
 
 気が付くと俺は街中を歩いていた。痛い程の視線を感じる。歩道の上に立ち止まっていると、追い越してゆく人々が皆、振り返ってゆくような気がした。
 横を向くと、店の窓ガラスに「俺」が映っていた。ミニスカートにニーソックスを履き、キャミソールの上にジケットを被り、紙袋を手にした愛らしい女の子がいた。彼女は俺の妄想が生み出した少女だった。彼女は俺自身…俺は妄想に取り込まれたのだろうか?膨らんだ胸や大腿に触れるスカートの感触が、現実であると伝えていた。
 俺は近くのデパートに入り、トイレに向かった。トイレの前で一瞬躊躇したが女性の方に入った。空いている個室に入りスカートを捲る。ショーツの下にはあるべき膨らみはなく、縦筋がくっきりと浮かんでいた。ショーツの中に手を入れた。割れ目に沿って指を這わす。指先が中に潜ってゆくと、滲み出てきた愛液が絡み付いてきた。これは本物のおまんこだった。
 俺はショーツを膝まで下ろし、紙袋からバイブを取りだした。ゴクリと喉を鳴らす。バイブが俺の中に入ってくる。俺の妄想ではなく、俺の膣がバイブを受け入れているのだ。
 
 奥まで入った所でスイッチを入れた。  俺は一気に昇天した。
 
 
 

−了−


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