卒業式



 あれは、僕がまだ女の子だったときの事だった。一人の大好きな男の子がいた。僕はいつも彼の後に付いて一緒に遊んでいた。だから、その時の彼は僕の事を女の子とは見ていなかったようだ。ある日、スカートを着た僕を見て驚いていたのを覚えている。
 そんな僕が女の子を止めたのは中学3年の時だった。彼が特殊な病気に罹ってしまったのだ。男女の違いがはっきりとしてから多少疎縁になったとはいえ、彼とは幼なじみの同級生として付かず離れずの関係を保っていた。命にかかわるものではないと聞かされていたが、退院した彼が女子の制服を着て教壇に立った時、僕はショックで口がきけなくなっていた。彼は女の子の名前に変わり、再び僕と親しくなるようになった。女の子初心者の彼女はなにかにつけ僕を頼ってきた。愛らしい彼女の面影の中に、昔僕が彼に曳かれたときの逞しさは一片もなかった。だから僕は女の子を止めた。彼女には男心を揺り動かす何かがあった。
 彼女と一緒にいると、自分の中の男性が急激に成長していくのが判っていた。しかし、僕は彼女と離れることはなかった。僕は彼女と共にいることを望んだのだ。高校も二人一緒に受験した。少しでも彼女の過去を知られないようにと、山の中にある寄宿制の女子高にした。地元からは僕等だけだった。幸いにも寄宿舎も同室になることができた。
 
 その時の僕の存在理由は「彼女を護る」ことが全てだった。彼女がちゃんと女の子として生きていけるように。そして、女の子となった彼女が他のものに害されることがないように。僕は彼女を護り続けた。
 しかし、やがて破綻が訪れることとなった。彼女と共にいることによる男性化は僕の肉体にも影響を与えていた。既に僕の股間にはペニスが形成されており、毎晩のように隠れるようにして溜まった精を処理していた。ある晩、その行為が彼女に見付かってしまった。「何で黙っていたの?」彼女はそう言うと、僕の前に跪づき僕のペニスを吸い始めた。僕の男性化は急速に進行していった。既に胸の膨らみはなくなり、皮下脂肪の代わりに筋肉が身体を被っていた。髪の毛を伸ばしていても女装男にしか見えなくなっていた。学校側もこれを見過ごすことはできなくなり、高校生活を一年余り残してとうとう僕はこの学校を去ることになった。
 最後の夜、「しばらく会えなくなるけど待っていてくれる?」と彼女が言った。僕が「待っているよ♪」と言うと、彼女は一糸纏わない身体を僕に擦り寄せてきた。
 その夜、僕等は結ばれた。
 
 
 
 
 僕は男子高校生として残りの高校生活を彼女とは別の場所で過ごすことになった。
 高校生最後の日、卒業証書を手にした僕が校門を出ると、目の前に懐かしい制服が飛び込んできた。
「卒業おめでとう♪」彼女が抱き付いてきた。別れたときは同じ位の背丈だったが、その後にょきにょきと伸びていった僕の身長で、抱きついてきた彼女の足が地面から離れることになった。「もう前の制服は着られないね。」と彼女は言う。僕も着ようとは思わなかった。しかし、女子高の制服は箪笥の奥に大切にしまってあった。
 
「ねぇ、シよう♪」彼女が甘えてくる。僕は彼女をベットによこたえた。キスをしながらスカートの中に手を入れる。ショーツの上からも充分に濡れているのが判った。僕の股間も硬く尖っていた。僕はずぼんとパンツを脱いだだけで彼女の中に入っていった。「だめ、制服が汚れちゃう。」しかし、厭がっているのは口先だけだった。「もうこの制服は着ないだろう?」と言うと彼女は僕を受け入れた。
 嬌声があがる。僕は溜めていた想いの全てを彼女に注ぎ込んでいった。
 
 
 

−了−


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