僕が妊娠してしまうとは思ってもいなかった。
最初は遊びのつもりだった。インターネットでたまたま見付けた「女の子になる薬」がとてつもなく安かったので思わず購入してしまった。もちろん、その時点の僕は普通の男の子だった。
品物が届いた。注意書きを確認する。1錠で6時間の変身が可能−つまり一定時間後には元に戻れるという事だ。早速試してみる。股間がムズムズしたかと思うと、おちんちんがなくなっていた。裸になって鏡に写すと、そこには女の子の身体をした「僕」がいた。顔や身長はそのままだったが、胸は少しではあるがちゃんと膨らんでいた。何より、僕の股間にはクッキリと女の子の割れ目が生じていた。
僕は髪の毛を伸ばし始めた。変身した時に少しでも女の子に見えるようにだ。インターネットを使って女の子の服や化粧道具、アクセサリーも揃えておいた。そして、これら一式と薬を手に僕は親友の御崎の家に行った。
「どう?」と僕が聞くと御崎は複雑な表情で「可愛いよ。」と言った。しかし、僕が御崎の家に来たのは女の子になった僕を見せびらかすためではない。僕は女の子の姿で外に出てみたかったのだ。しかし、どうしても独りで出掛けるのが不安だったので御崎に頼みにきたのだ。御崎ならどんな事が起こっても何とかしてくれるという安心感があった。
御崎と一緒に街に出た。それでも心細くなって、僕はずっと御崎の腕を抱き締めていた。ショーウィンドウに僕等の姿が写り込む。どうみてもアツアツのカップルにしか見えなかった。喫茶店で紅茶を飲んだ。公園を歩き、ゲームセンターで騒いだ後、レストランで夕食をとった。はた目には極普通のデートとなんら変わりはなかった。
もうすぐ6時間が経つ。悩んだあげく、僕はもう1錠を飲み下した。薬の影響か身体が熱を帯び、頬が紅潮してきた。「大丈夫かい?」と聞く御崎に、大丈夫と答えたが実際は足元がふらつき体中に汗をかいていた。「どこかで休もう。」との提案に僕は無条件で同意していた。
僕はベットの上に横になっていた。服を脱いで身体を楽にしていた。御崎はソファに座り僕を看ていた。僕の身体の熱は一か所を除いて引いていた。「御崎?」僕が声を掛けると「何?」と言って近付いてきた。僕は御崎に抱きついていた。
「来て♪」と僕。薬には催淫効果があったようだ。股間が疼いていた。御崎のズボンを降ろし、僕も下着を剥ぎ取った。そして、僕は一晩中快感に酔いしれていた。
薬も残り少なくなっていた。しかし今では、薬を飲んでいなくても女の子に間違えられる。髪の毛は充分な長さがあり、顔も以前より丸みを帯びてきた。何より、薬が切れて男に戻った時でさえも胸の膨らみが隠せない程になっていた。(その分、女の子の時はDカップまで大きくなるのだ)
だから、男装していても御崎と並んでいれば男女のカップルで通ってしまう。最近はSEXをする時しか薬を飲まないようになっていた。
そんなある日、僕は突然気分が悪くなった。「つわりか?」と御崎が冗談半分で言った。その時の僕は男のままだったが、確かにそれはつわりの症状だった。何度も繰り返すので、僕は薬で女になり産婦人科を訪れてみた。
僕は妊娠していた。驚きよりも、妊娠が当然の結果であると変に落ち着いた気分だった。真っ先に御崎に電話した。何か物凄く慌てていた。家に帰り両親に報告すると、最初は僕が女の子に妊娠させたと誤解していたようだ。程なく御崎が僕の家にやってきて事態の整理ができた。が、父は席を立つとどこかに行ってしまい、母はその場に泣き崩れた。
「大丈夫ですよ。」と御崎が言う。僕は御崎に抱き付くと濃厚なキスを交わした。