制服



 僕はセーラー服を着せられていた。何故って?それは僕が女の子になってしまったからだ。
 
 
 
 かなりの高熱が三日間続いた後、僕の股間からオチンチンが消えていた。そんな事など恥ずかしくて誰にも言えないでいた。もっとも、おしっこが立ったままできない事以外は何も変わることがなかったので周りに気付かれることもなかった。わざわざ事を荒立てることもないと、そのままにしていたのだ。しかし、その時は自分が女の子になってしまったとは思ってもいなかった。
 だが、僕の身体は既に全くの女の子になってしまっていた。自分ではそうは思っていなくとも、身体の方は着実に女の子としての時を刻んでいった。決定的となったのは、生理が始まったことだ。
 パンツに血が付いていたのが母に見付かった。僕はその場で身ぐるみ剥がされ、股間の変化が白日の下にさらされた。すぐに病院に連れていかれた。病院では簡単な診察をされただけで、即座に僕が女の子であると宣告された。僕等は、そのまま病院側が用意した車で、市役所に連れていかれた。母が病院で渡された大量の書類を窓口に出している間、僕は別室に連れていかれた。
 上半身を裸にされ、身長・体重の外に胸囲や腰周りまで計られた。次に目盛りの付いた壁紙の前に立たせられ、何枚もの写真を撮られた。「終わりです。」の合図とともに母が入ってきた。「とりあえず今日はこのまま帰りましょう。」と母に言われ、僕は脱いだ服を取ろうと脱衣篭に手を伸ばした。
 その手が一瞬で固まってしまった。僕の脱いだ服の上に見馴れぬものが置かれていた。それを避けてTシャツを取ろうとすると、「だめよ。ちゃんとつけなきゃ。」と母。僕は仕方なくそれ−ブラジャーをつまみあげた。
 その日の夕食は赤飯だった。普段にも増して無口となった父は、食事が終わるとソクサクと寝室に隠れてしまった。食事の間中、父の視線が僕の胸元をさまよっていたのを思い出す。改めて自分の胸を見ると、Tシャツにブラジャーの輪郭がはっきりと浮き出ていた。ブラジャーに詰め物がしてあり、微かな膨らみも造られていた。
 
 
 
 翌日もブラジャーを付けさせられた。さらに、パンツも生理用のものを履かされている。既に学校にも連絡がいっており、朝礼で僕が女の子になった事が周知された。
 一限目は体育だった。当然のように僕は女子の方に追いやられた。何れにしろ生理中なので、勝手が判るまでは見学するように言われていた。土手の木陰に腰を降ろし、目の前の女子と校庭の反対側にいる男子を代わる代わる眺めていた。僕の他にも体育を見学している娘がいた。いつの間にか僕の隣に腰を降ろしていた。
「女の子になっちゃったからって、落ち込むコトないわよ。」彼女が話し掛けてきた。「人類の半分は女なんだし、あんた元が良いから即に溶け込めちゃうわよ。」「僕が?そんなことないよ。」「大丈夫よ。あんた、そのままで十分可愛いから。」そんな会話をしたからか、彼女はなにかと世話をやく。トイレに行こうとすると彼女も一緒に立ち上がり、いつも通り男子トイレに入ろうとする僕を女子トイレに引きずり込んだ。「どうせ個室を使うんでしょう?こっちの方が気兼ねなくできるわよ。」そう言って女子トイレの個室に押し込まれた。彼女のおかげか、他の女の子達も僕を女の子の一人として接してくるようになった。
 
 
 
 そして今日。新しい制服が出来上がってきた。セーラー服だ。僕は初めてスカートを履いた。くるりと回るとスカートが広がり、再び落ちてくると裾が脚に触れる。男の服ではありえない感覚だ。「可愛いわよ。」と褒められ、嬉しく思ってしまう僕はもう女の子?
 
 
 

−了−


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