風が吹き抜けていった。僕のスカートがふわりと浮き上がる。慌てて前を押さえると舞い込んだ
 風は後ろに流れてゆく。その風は去り際にスカートの裾を跳ね上げていった。パンツが見られた?僕は顔を赤らめ辺りを見回し、誰もいないことを確認するとほっと胸を撫で下ろした。
「なぁ、いつまでこんな格好をしていなくちゃならないんだ?」僕は目の前でしきりにカメラのシャッターを切っている親友の啓吾に愚痴た。勿論、賭けに負けた僕は今日一杯は啓吾の命令に従わなければならない。しかし、女の子の義体まで用意しているとは思わなかった。啓吾は僕を義体に押し込めると別荘の裏手に広がる小高い丘に連れ出し撮影会を始めたのだった。
「じゃあ、今度は脱いでくれ。」啓吾はファインダーを覗いたまま、そう言った。「裸になっても、そいつはお前自身じゃないから気にすることはないだろう?」と急かされる。確かに義体は僕自身ではないが、義体に組み込まれたAIが恥ずかしさを助長する。啓吾はそんな僕の複雑な表情を逐一カメラに納めてゆく。
 幾漠かの逡巡の後、僕は腕を背中に廻しワンビースのファスナーを下ろした。袖から腕を抜きスカートから脚を出すと僕は下着姿となる。ブラジャーとパンティの上に丈の長い薄手の、そして肌触りの良い下着−男ならランニングシャツ?−を着ていた。大腿に触れる心地よい感触はこのシャツ?のレースに縁取られた裾によるものだった。シャツを脱ぐとブラジャーに包まれたオッパイを間近に見ることになる。再び背中に手を廻してホックを外した。肩に掛かる紐を外すとバストの重さを実感する。そして、最後に残された一枚に手を掛けた。
 啓吾はその瞬間をカメラを手に待ち構えていた。おずおずとパンティを下ろしてゆくと啓吾は盛んにシャッターを切っていった。「手をどけてくれないか?」僕は無意識のうちに片手を股間に、もう一方の手と腕で胸を隠していた。僕は彼に言われるがまま腕を下ろし腰の後ろに廻した。
 啓吾からは次々とポーズの指示が発せられてきた。僕は機械的に応じてゆく。草原の上に座らされた。起てた膝を左右に開かせる。初々しい割れ目を自分の指で広げる。その中に指を差し込んだ。
 
 
 僕の中のAIが新たな活動を始めた。艶かしい喘ぎ声をあげている。クチュクチュと指を動かす度に股間から音がする。空いた手が乳首をつまむと痺れるような快感が僕の身体の中を走り抜けてゆく。僕の体はAIに支配されていた。経験したことのない、強烈な快感に僕の頭の中は真っ白に塗り込められていった。
 気が付くと、僕の上に啓吾が乗っかっていた。啓吾が動くと僕の身体の中で動く異物を感じる。「やぁ、気が付いたか?どうだい、女の子の身体は気持ち良いだろう?」僕は条件反射的に「はい♪」と答えそうになるのを必死で押し止めた。しかし啓吾を押し退けようとした腕は逆に彼を抱き締めていた。「可愛いね♪」唇が合わされ、舌を絡め合う。「どうだい?このままずっと女の子でいたくなっただろう?」僕は必死なって「厭だ!!」と答えた。「そうかい?だが、いつまでそう言っていられるかな?」啓吾が身体を離すと僕の股間からも彼のペニスが抜け落ちてゆく。僕は意外な程の喪失感を感じていた。
「さぁ、どうする?」啓吾が彼の股間を僕の前に押し付けてきた。僕はその萎えたペニスを咬えたい衝動に揺さぶられていた。僕は自分の唇の間で硬さを増してゆく彼のペニスを想像していた。そして立派に復活したペニスに再び貫かれるのだ。
 僕は口を開き、舌を延ばして彼のペニスを迎え入れようとしていた。「女のままで良いよな?」僕は答える代わりに彼のペニスを咬えていた。
 
 
 

−了−


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