トイレ



 僕は小包を胸に抱えて自分の部屋に飛び込んだ。大切な物を机の上に置き、カーテンを閉め、ドアを施錠した。僕は椅子に座ると、机の上の蛍光灯だけを灯して小包を開封した。
 それは、ようやく手に入れた幻の「Vスキン」だった。本体の外に分厚い通販カタログとおまけが一品付いている。僕は早速Vスキンの封を切った。知ってはいたが、説明書に目を通す。最初に注意事項、そして装着方法が書かれていた。重要なのは、連続使用は可能であるが、再使用はできないということ。そして、これを外すためには専用の剥離剤が必要であること。もちろん、僕は剥離剤などは購入していない。
 パンツと一緒にズボンを脱ぎ捨てる。股を広げると可愛らしいおちんちんが顔を上げる。僕はその上にVスキンを被せた。リードを引っ張り、先端に付いたカプセルを尻の穴に挿入する。やがて、カプセルから薬液が溶け出すと劇的な変化の幕開けとなる。
 スキンが収縮を始める。おちんちんと袋を包み込むように圧してゆく。それは体内に押し込もうとするのではなく、それ自身を小さくしてゆく。もちろん、その過程ではかなりの痛みを伴っている。
 僕の股間からおちんちんが見えなくなると、Vスキンは次ぎの過程に入ってゆく。外側からは解らないが、僕のお腹の中に新しい器官が造られていった。それは僕の股間に生じた割れ目の奥に口を開いた。
 いすに座ったままでは確認できないので、鏡を持ってベットに昇った。脚を広げ真ん中に鏡を置いた。僕の股間は本当に女の子のようになっていた。両手で割れ目を押し開いた。おちんちんの名残と思われる突起があった。その次ぎはおしっこの穴なのだろう。当然、立ったままおしっこをすることはできない。女の子と同じに個室で座って用を足すのだ。もちろん、終わったら紙で拭くのを忘れてはいけない。
 更に探索を進める。その先は肉襞となっていた。指先で掻き分けてゆくと、新たに造られた器官の入口があった。僕はその中に指を差し込んでみた。そこは暖かく、湿り気を帯びていた。指を動かすと僕の中で異物が暴れているのを感じることができた。
 今度は指の替わりにおまけで付いてきたリモコン付きのローターを入れてみた。指二本程の太さなので難無く挿入出来た。ローターから延びるリモコンを手に取りスイッチを入れ…
 
 
 股間で何かが唸っていた。僕は気絶してしまったようだ。振動でずり落ちたローターが踊っていた。リモコンのスイッチを切ると唸り音も納まった。よく見ると強度が最大になっていた。僕はもう一度ローターを挿入した。立ち上がり、落ちてこないように内股に力を込めた。目盛りを最小にしてスイッチを入れる。形容しがたい感覚に膝が崩れそうになるが、その感覚にも次第に慣れていった。机の引き出しの奥からこの日の為に用意していたショーツを取り出した。履いてみる。ピッタリとした感触が何ともいえない。おちんちんがなくなったことを実感する一瞬だ。その上からズボンを履き、リモコンをポケットに忍ばせた。
 外に出る。歩きながらリモコンの強度を変えてみる。中程度であればなんとか我慢できるようになったが、それ以上にすると歩く事ができなくなる。道を往く人の中には不審の一瞥を注ぐ人もいるが、殆どの人は気にも掛けない。ましてや、僕の股間に発するローターの唸りに気付く人は皆無だろう。
 思ったよりも時間が掛かったが、ようやく目的地の喫茶店にたどり着いた。案内されるとコーヒーを注文し、席に座ることなく奥のドアへと向かった。これまでも何度か足を運び確認してある。僕は最終目的地であるトイレのドアを開いた。奇麗に清掃された室内には洋式の便器が置かれている。僕はズボンのベルトを外し、ショーツを下ろして便座に座った。ローターを外してしばらくすると尿意を催してくる。僕は自然の摂理のまま、緊張を解いた。おしっこが迸しった。飛沫が飛び散り、お尻を伝ってゆく。
 おしっこが出終わった後が本命となる。僕は洗浄機のスイッチを確かめた。指先が震えている。ビ・デの文字に指が触れる。カチリとスイッチが入った。モーターが回りノズルを洗浄した後、僕のお尻の下に伸びてくる。
 暖かなシャワーが僕の女の子に当たった。
 
 
 
 
 コーヒーは席に運ばれて来ていた。しかし、僕はコーヒーに手を付ける気分ではなかった。挿入し直したローターが微かに振動している。たったそれだけの事なのに、僕の股間が濡れ始めていた。僕はそのまま会計を済ませ外に出た。濡れだすと同時にアソコの感度も上昇したようだ。行きには我慢できた中程度はおろか、少しでも目盛りを動かしただけで歩けなくなってしまう。更に股間を濡らしてゆく愛液がズボンにまで染み出してきていた。恥ずかしさに急いで帰ろうとするが、ローターの刺激が走ることを阻止する。次第に歩くことも困難になってきた。
 限界に近付いたとき、目の前に公演の公衆トイレがあった。この状態では清濁の選択など出来はしない。委細構わず僕は個室のドアを開いた。
 壁には処狭しと卑猥な言葉や線画がちりばめられていたが、床や便器は意外と汚れてはいなかった。僕は壁に寄り掛かりながらローターを外し始めた。たっぷりと愛液の染み込んだショーツを下ろす。リモコンのコードを手繰ってゆく。スイッチは切ってあったが、ローターが出口を通り抜ける瞬間、僕は強烈な快感を感じた。「ああん♪」思わず女の子のような喘ぎ声をあげていた。
 これが「逝った」という状態なのだろうか?僕はしばらくの間、放心したようにそのばに佇んでいた。カチャリと音がした。鍵を掛けていなかったことに気付いた時は既に手遅れとなっていた。
「おや、これは良い趣味を持ったお嬢さんだ。」下半身まる出しの僕の姿は男装して男子トイレの中でオナっている変態娘にしか見えないのだろう。「そんな機械より、本物の方がもっと気持ち良いぞ。」男は狭い個室の中に押し入るとドアを閉めた。「あんたはもう準備できているのだろう?小父さんも即に準備できるからちょっと待ってな。」僕としては待つどころか、すぐにでも逃げ出したいところだった。男はズボンを落とすとトランクスのスリットから逸物を取り出した。まだ萎えた状態ではあったが充分な大きさがあった。男は僕の手首を掴み引き寄せた。僕の手に彼のモノを握らせた。何もしないのに、僕の手の中で彼のペニスはムクムクと硬さを増していった。
「よし、準備できたな。」彼は僕の手を解放すると、今度は僕の腰に腕を廻した。僕の身体が引かれ宙に浮く。身体が密着した状態からゆっくりとずり下がってゆく。僕の大腿の間に彼のペニスが割り込んでくる。そのまま下がってゆくと、ペニスの先端が膣口に触れた。更に僕自身の体重で彼のペニスをその奥に受け入れようとしていた。ローターで充分にほぐされ、愛液に潤った僕の胎は難無くソレを呑み込んでいった。「良いぞ。じゃあ、動かすからな。」男はそう言って腰を動かし始めた。
 
 
 
 僕のズボンは僕のものではない精液で汚れていた。今の僕には精液を吐き出す器官が失われていた。替わりに愛液が僕のズボンを濡らしている。僕は股間の痛みに脚を引きずりながら家にたどり着いた。僕は自分の身体の事より先に通販カタログを取り出していた。もちろん、注文するのは剥離剤...
 ではなく、ペニスの形を模したバイブレータだった。僕はアソコに挿入される快感の虜になってしまっていた。小さなローターでは満足できないのだ。最低でもあの男と同じ大きさでなければならない。
 
 
 
 
 数日後、僕は手に入れたバイブを股間に装着し、毎日通っている公園のトイレに入っていった。
 僕に快感を与えてくれるペニスを待ちながら、僕はバイブで自慰を続けていた。おまけの「女声ドロップ」を嘗めてきたので僕の喘ぎ声も一層艶かしい。
「ぁあん♪早くあなたの逞しいベニスを突っ込んで頂戴!!」
 
 
 

−了−


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