Nyoinシール



 それは、ほとんど奇跡のようなものだったが俺は幻の「Nyoinシール」を手に入れることができた。1枚ごとの使い切りだが1枚あたり10日間の有効期間がある。俺の手元にはこのシールが3枚あった。
 Nyoinシールはその言葉通り透明な粘着シートに女性器が描かれている。しかし、それは単なる「絵」ではない。このシールを貼るとそれは本物の女性器になるのだ。たとえば、壁に貼ればそこに女性器が存在するのだ。弄ればちゃんと濡れてくるし、ソコに突っ込めば締めつけてくる。
 もっとも、こんな貴重なNyoinシールを壁や柱に貼り付ける馬鹿はいない。マネキンやダッチワイフに付けて本物の感触を楽しむのも良いが、やはり自分の股間に装着するのが王道だろう。
 俺はパンツと一緒にズボンを脱ぎ捨てると、丁寧に貼り付けていった。最初はひんやりとした感じがするが、次第にジンジンと痺れるような感じがする。その痺れ感は徐々に俺の胎の中に侵入してくる。俺の股間に女性器が造られているのだ。
 やがて痺れ感が治まると、俺は手鏡を取り出して股間に置いてみた。チンポが邪魔になったが、その裏側の付け根に確かに膣口が開いていた。俺は新たに造られた肉襞に指を伸ばしていった。
 指先が触れる感覚と同時に股間からは触れられる感覚が届いてくる。そこで指を遊ばせていると、じんわりと汗のようなものが滲み出てきた。これが女の子の愛液なのだろう。
 
 俺は決定的な瞬間を前にゴクリと唾を呑み込んだ。
 そして、指先を股間に立てた。ゆっくりと挿入してゆく。指先が暖かなモノに包まれる感触とともに、俺の股間に割り込んでくる異物を感じていた。愛液がさらに洞内を濡らしてゆく。膣壁に触れる指先を感じている。指先が敏感な所に触れた途端、雷に打たれたようなショックが脳天を衝いた。
「あぐぅ、ぐぁあ?」男が知る筈のない快感に俺の神経がどう反応すればよいか戸惑っている。しかし、それも一時的なものだった。俺は女の快感を受け入れていった。精神が安定すると、肉体も緊張が解れてゆく。俺の股間には愛液が溢れ、チュパチュパと淫靡な音を立て始めていた。
「ぅうん♪ あふん♪ ぁあ……」俺は声を出して悶え始めていた。女の快感は男のそれに比べようもない。身体が熱く萌えてゆく。股間からは愛液が滴りフローリングの床を濡らしていた。
 俺は股間に差し込んだ指を激しく突き動かしている。角度を変え、捻りを入れ、快感が最も得られるポイントを探しては一気に攻めたてていった。
「あっ、あっ、ああ……」快感が高みに向かって徐々に昇り始めていった。俺はこのまま女の絶頂を味わう事ができるのだろうか?指先の神経を尖らせる。緩急を付けて快感を後押しする。「いい… イっちゃう… あ、あ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜♪」
 
 俺は気を失っていた。股間がベトベトしている。その不快感が俺を目覚めさせたようだ。女の絶頂を迎えると同時に俺のチンポもいってしまったようだ。いつもの栗の臭いが立ち込めている。
 ティッシュで汚れを拭き取った。いつもとは違って、股の間や尻タブも拭う必要があった。新たに出来た敏感な所を拭う時、何か感慨深いものがあった。
 時計を見るとまだ朝早い時間だった。しかし、寝直すには足りない。俺は身支度を整えて学校に向かった。いつもより早い時間の電車に乗る。流石に車内は空いていた。みると女性の姿が多いようだ。いつもの満員電車で痴漢に会うよりは早起きして回避しようとしているのだろうか?
 自分にも女性器があると、そんな事まで気を回してしまう。もし、俺が満員電車の中で痴漢に会ったらどういう事になるのだろうか?開かない方の扉の隅に追いやられ、むさい男たちに囲まれてしまう。
 暫くはなにもされないので、抗議する訳にもいかない。やがて、電車の揺れに紛れて男たちの手の甲が俺の身体に触れ始める。次第に密着度を高めてゆく。そして掌が翻ると、股間のチャックをつまみ上げた。
 
 ジッパーがゆっくりと降ろされてゆく。突然の事態に俺は何の反応も出来ない。開ききった社会の窓から男の指が侵入してくる。薄い布地の上から俺の股間を撫で上げる。
「?????」俺は声にならない悲鳴を上げていた。心は拒絶しているが、身体が反応していた。ジュッと身体の中から熱い潮が込み上げてくる。ショーツのクロッチが湿り気を帯びる。男の指先が目敏くそれを感知する。
 男の手がショーツの隙間から差し込まれてきた。俺の肌に男の指が直に触れている。指先が股間の割れ目を押し広げてゆく。男の指が俺の敏感な所に触れた。
「ぁっ」俺の喉が微かに喘ぎ声を漏らした。トクトクと愛液が滲み出してくる。男の指が俺の中に入ってきた。俺の中で男の指が蠢いている。「ぁ、ぁ、ぁ、ぁ…」俺の膝から力が抜けてゆく。図らずも俺は男に身体を預ける形になった。
 男の腕が俺を抱き留める。男の息が俺の耳元に吹きかけられた。「ァフン♪」俺は淫らな声を上げていた。男は差し込んでいた指を抜いた。そして男の股間を俺のそこに密着させてきた。
 憤り勃った男のモノが俺の股間に押し当てられた。「だ、だめ… それだけは…」俺は男に懇願した。が、男は彼のズボンの中からそれを取り出していた。
 
 電車が俺の降車駅を告げていた。
 俺は妄想世界から引き戻されていた。妄想は俺の股間を激しく濡らしていた。その不快感に堪えられず、俺はコンビニで替えのパンツを買っていた。公園の公衆トイレに入った。個室に入りズボンとパンツを脱ぐ。トイレットペーパーで濡れた股間を拭った。コンビニで買ったパンツの封を切った。
 それを広げた途端、俺は一瞬固まってしまっていた。慌てていた俺は男もののパンツを買ったつもりが女ものを買ってしまっていたようだ。棚に並んでいた箱には確かにトランクスのシルエットが刻まれていた筈だ。
 が、俺の手の中にあるそれは形こそトランクスと同じだが、すべすべで柔らかな生地、レースの縁取り、ラメが入っているのか黒いながらもキラキラと輝いている。第一、小便の時にチンポを取り出すスリットが付いていない。しかし、背に腹は代えられない。俺はその女もののパンツを履くことにした。
 女もののパンツは肌にぴったりと密着する。案外気持ちが良い。これで股間の邪魔なチンポがなければもっと密着度が増して更に気持ちよくなるのだろうか?
 パンツの上からチンポを弄っていると、スルリっという感じでチンポが身体の内側に潜り込んだかのように消えてしまった。股間がすっきりと平らになった。その上からズボンを履くとチンポの膨らみがなく不思議な感じがした。
 
「よう。」と親友の浩司に肩を叩かれた。「なんか今日のお前、いつもと雰囲気が違うぞ。」さすがは親友である。「例のものが手に入ったんだよ。」既に浩司にはNyoinシールの事は話してある。「付けているのか?触らしてくれないか?」
 一瞬、電車の中での妄想が蘇ってきた。浩司の顔が痴漢の男とダブルのを慌てて振り払った。「ズボンの上からなら良いぜ。」浩司の手が俺の股間に伸びてくる。「すげぇ、まるで女だぜ。」「て、浩司は女の股間を触ったことあるのか?」
「あ、ある訳ないだろう。」そこから話がエスカレートしてゆく。ついには俺の股間を浩司に見せてやることになってしまった。俺たちは誰も来ることのない第二体育用具室に入り込んでいた。
「それ、女のパンツだろ?本格的だなぁ。」これまでの経緯を話すと恥ずかしいので、俺は適当に誤魔化して答えた。パンツを降ろすと俺のチンポが復活し始める。ゆっくりと鎌首をあげるチンポの裏側を見せつけるように脚を上げた。
「影になって良く見えないよ。」浩司が文句を言う。「そっちの跳び箱に手を付いてお尻をこっちに向けてくれないか?」と低めの跳び箱を指す。手を付けただけでは狭いので、俺は上体を跳び箱の上に寝かせるような姿勢になった。
 
「へー、すげーな。」「見えるか?」「ああ、良くみえるぜ。ひだひだがピクピクしているよ。この穴にチンポをぶち込むんだよな。」「そ、それは…表現は卑しいけど、そういうことになるな。」
「じゃぁ、俺のでやってみる。」
 俺は浩司の言った言葉が理解できていなかった。かちゃかちゃと音がしてジッとジッパーが降ろされる。「も、もう良いかい?」俺の心が不安を掻き立てている。「いくぞ。」と浩司の手が俺の腰を押さえ込んだ。
 俺の股間に触れてくるものがあった。それは指ではない。無機質な棒でもない。柔らかくて硬い肉の塊が突き付けられていた。
 それは一気に俺の中に侵入してきた。
 抵抗するより先に強烈な痛みに翻弄される。喉を押し上げてくる悲鳴を俺は必死に抑え込んだ。
「すげぇ。中ってあったかいんだな。」浩司がピストン運動を始めていた。俺が抵抗を始めると。「ぉお、締まる締まる。気持ち良いぜ♪」上機嫌で腰を振っている。そして、「おっ、来るぞ来るぞ。」そして、浩司は俺の中に精液を撒き散らしていた。
 
「これであいこだからな。」俺は貴重なNyoinシールの一枚を浩司の股間に貼り付けてやった。今度は俺が浩司の股間にチンポをぶち込んでやるのだ。準備ができると浩司はベッドの上に昇っていた。
「さぁ、坊やいらっしゃい♪」そう言って両足を広げていた。確かに、そこには女性器が口を開いているのだが、垂れ下がる浩司のチンポが興ざめさせる。しかし、俺とて犯られているばかりではいられないのだ。
「生でも良いのに。」と浩司は言ったが、最低限のマナーだと俺は自分のチンポにスキンを被せた。前技で充分に濡らした膣口にチンポの先端を当てた。それはスルリと呑み込まれた。「ぁあん♪」わざとらしく浩司が媚声を上げる。男声の媚声など聞きたくもないが、俺はそのままチンポを送り込んだ。
 浩司は女の絶頂を味わいたいのかしきりに喘ぎ悶えるが、却ってそれが俺を萎えさせてしまう。絶頂はおろか興奮は時とともに冷めてゆく。時間ばかりが過ぎ去り、疲れ切った俺は射精もせずに浩司から離れていった。
「じゃあ、今度は俺の番だね。」ぐったりとしてベッドに倒れた俺に浩司が伸し掛かってくる。気力も失せた俺の中に浩司のチンポが侵入してくる。浩司は何度も俺の中に放出していった。
 
「なぁ、これチンポの上から貼れないのか?」
10日の有効期間が過ぎてシールが剥がれ落ちた。浩司はすぐにも次のシールを貼らせようとする。この10日の間、毎日のように俺は浩司を受け入れていた。浩司にもシールは貼ってあるのだが、俺が浩司を押し倒すことは殆どなかった。
「ほら、お前はチンポを身体の中に隠すことができるだろう?その状態でシールを貼ればまるっきし女の子になるじゃないか。」俺には浩司の要求を拒絶することはできなかった。
 シールををよく見ると上端の一カ所に小さな穴が空いていた。丁度女の子がおしっこを出す所のようだ。俺は身体に仕舞ったチンポの先端をその穴に合わせるようにしてシールを貼った。
「これで良いかい?」浩司に見せると「上出来、上出来♪」と褒めてくれた。そのまま立ち上がると、俺の股間には女の子のような縦筋が出来上がっていた。「良いね、良いね♪」と浩司がはしゃいでいる。俺はショーツを穿いてそこを隠した。これからの10日間は男もののパンツは穿けないなぁ。と残念がってはみたものの、俺自身それほど悔やんではいないようだった。
 
「じゃーん♪」浩司が紙袋から取り出したのは双頭のバイブだった。「俺のシールももうすぐ切れるだろう?それまでに一度、これをやってみたかったんだ♪」
 浩司の言っているのはレズごっこなのだろう。男同士で「レズ」もないのだが、今の俺たちには作り物だが女性器がある。やってやれないことはないのだ。
 先に浩司が装着してベルトで固定しようとするが、自分の本物のチンポが邪魔をして巧く装着できないでいた。そうなると、俺にタチの役が廻ってくる。久しぶりに俺の股間にチンポが戻ってきた。
「さぁ、やろうぜ♪」そう言って俺に尻を差し出した。浩司の穴に俺のチンポを挿入する。「ぁあん♪」浩司は受け身になると決まって女の子に成りきってしまう。しかし、股間以外は男のままなので、その仕種も声もちっとも艶かしくない。
 これまではそれだけで萎えてしまうのだが、今日は作り物のチンポである。物理的には萎えることはない。俺は委細構わずに浩司の股間を責めたててやった。
「ぁ、あ、あ、ああ、あ〜〜〜〜〜〜〜〜〜ん♪」浩司は始めて女の絶頂を経験することができたようだ。
 
 最近、胸が敏感になっていた。ない胸も浩司に盛んに弄ばれたので一人前に感じるようになったのだろうか?雰囲気を盛り上げるために強制される女声も大分楽に出るようになってきた。少し痩せてきたのか、浩司の持ってくる女物の様々な制服も楽に着れるようになっていた。
 その日は朝から気分がすぐれなかった。頭痛もさることながら、下腹部が妙にシクシクと痛むのだ。
 授業中に気分が悪くなりトイレに向かった。チンポを隠したままのので最近では個室に入るのに何のためらいもない。便器に跨がっていると、小便でも大便でもないモノが身体から落ちていった。
 便器を覗くとそこは真っ赤に染め上げられていた。
「しばらくは付き合えないようだ。」と浩司に宣言し、俺はコンビニで生理用品というものを購入して帰った。トイレで応急処置として挟んだティッシュも真っ赤に染まり、吸収しきれなかった分がショーツの股間に赤い滲みを作っていた。
 俺は箱に書かれた説明文を読みながら股間にスティックを挿入した。ちょっと違和感があるが、チンポを受け入れる時ほどは感じない。そのうち慣れてしまえば意識することもなくなるようだ。
 一緒に買ってきたサニタリーショーツに穿き代えて一息ついた。
 ここ数日は大人しくしていなければならないようだ。
 
 2枚目に代えて再び10日目を迎えていた。
 これが最後という勢いで浩司が俺にむしゃぶりついている。快感はあるが、大分慣れてしまったのか、なかなか絶頂を迎える事がなくなってきていた。俺は女の声で喘ぎ、啼き、叫んだ。浩司が再び俺の中に放出した。
「いい加減付けないか?」と言ったが「今日で終わりなんだろう?いいじゃないか♪」と取りつく島もない。そのまま10日目が過ぎようとしていた。
 その日、シールは外れなかった。いや、その女性器はとうとう俺と一体となってしまったようだ。
 
 突発的な吐き気が繰り返し訪れる日が何日も続いた。もう限界だと医者に向かった俺は産婦人科に回されていた。俺は妊娠していた。もちろん浩司との子供だ。俺が生理というものにもう少し意識を回していればどんなに浩司が言ってもスキンを付けさせたはずだ。
 生理があるという事は妊娠が可能であると同義である。俺はさんざん医師に搾られて病院を後にした。
 
 俺の胸にも乳房が出来上がってくれた。妊娠したことによりホルモンバランスが激変したようだ。お腹の中の赤ちゃんも順調に育っている。
 俺は浩司と結婚した。と同時に戸籍の性別も女に書き改められた。ふたりとも未成年なので当分の間は浩司の両親の許で生活することになる。お義母さんから母親としての教育を受けると同時に女の子としての必要なことを一から教えてもらうことになっている。
 今では着るものも全て女ものである。いや、バストが膨らみ女の身体となったことで女ものの服が必需品であることを思い知らされた。
 
 ストレッチャーに乗せられ分娩室に向かう。
 苦しみに耐える。
「おぎゃ〜〜!!」
 赤ん坊の産声が響き渡った。
「がんばったね。」浩司がアタシの手をしっかりと握り締めて言った。
 
「今度はアナタがやってみる?」
 
 
 

−了−


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