ブロンドの女



 私の目の前にペニスが突き付けられた。
 そのグロテスクな物体は私の良く知るものであったが、こうして別の角度から見たことはなかった。
「さぁ。」と奴は『私』の声で促す。
 私の長いブロンドの巻き毛が掴まれる。
 『私』の手が私の口をこじ開けた。
「銜えるんだよ。」
 ペニスが私の口の中に押し込まれた。
 息が詰まる。
 喉の奥に当たった。
 舌が痙攣している。
 奴はその事さえも楽しむかのように、私の後頭部に手をあてがい、私の顔を奴の股間に密着させた。
「嫌なら噛み千切っても良いんだよ。もっとも、傷付くのはお前なのだがね。」
 
 私は上目遣いに声のする方を見た。
『私』の顔がそこにあった。
 そう、これは私の身体なのだ。奴に奪われた私自身の肉体である。
 今は仮の肉体に移されているが、事が済めば元に戻してもらえる。
 しかし、その間に傷ついた痛みもそのまま私自身に返ってくるのだ。
 今も犬にされた時に噛みついてしまった跡が疼くことがある。
 
 最初はぬいぐるみだった。
 私に与えられる仮の肉体はその度に変えられる。
 気が付くと金縛りにあったように身動きがとれなかった。
 奴がぬいぐるみの私の身体を抱え、鏡の前に立った。
「私が判るかね? 私は君自身なのだよ。 これから時々こうして君の身体を借りさせてもらうよ。」
 
 いつもはふらりと外に出ていってしまうのだが、こうして部屋に留まることもある。
 その時は決まって、私を辱める。
 鏡に向かって私を見せつける。
 恥ずかしい格好をさせては、私の心が傷つくのを楽しんでいるのだ。
 
 今、私は女の肉体を与えられていた。
 ブロンドの巻き毛、青い瞳、白い肌…
 輸入もののAVに出てきそうな美女の肉体を与えられている。
 この肉体の持つ条件反射なのか、既に私の股間は愛液で濡れていた。
 私は奴の性奴隷だった。
 
 奴の望むとおりに仮初めの抵抗を見せ、恥じらいと供に受け入れ、歓喜とともに肉体を開く。
 私の部屋の中が、女の喘ぎ声と、淫卑な肉体の交わる音で満たされる。
 女の声は私自身が発しているのだ。
 
 奴のペニスが私を突き上げる。
 快感が私を絡め捕る。
 私は女のように喘ぎ、悶える。
 いや、私は『女』そのものなのだ。
 鏡に映る淫乱な美女は私自身に他ならない。
 私は自分が『女』であることを認めるしかなかった。
 一旦その事を認めてしまえば全てが許された。
 私は男のペニスから精液を搾り取る。
 自分の肉体の全てを使って『男』を奮い立たせる。
 その行為の全てから、私は快感を搾り取った。
 
 そして、私は絶頂に達した…
 
 
 

−了−


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