レズビアン



 私には妻にも言っていない趣味があった。
 出張の時はいつも鞄の底にソレを忍ばせている。
 ホテルに入ると私は早速ソレを取り出し、ベッドの上に広げる。
 かつら、シリコンパッド、化粧ポーチ…
 ワンピースに女性用下着の一式。
 そう、私の秘密の趣味は「女装」なのだ。
 シャワーで丹念に身体を洗い、下着のひとつひとつをゆっくりと身に着けてゆく。
 こうして私は「女」になっていくのだ。
 
 しかし、その日は特別だった。
 私の妻、弓枝が泊まり掛けで出かけている。
 私は自宅で「女装」するチャンスにめぐり合ったのだ。
 ここはホテルの狭い部屋ではない。
 服もアクセサリーも揃っている。
 私と弓枝に体格差は殆どなかった。
 私はクローゼットの前で弓枝の服を充て、ファッションショーに興じていた。
 
 
 その時、ドアのベルが鳴った。
 私は反射的に「はい?」と返事してしまっていた。
「宅配便です。」
 外で男の子の声がする。
 鏡に映る自分の姿を見てハッとした。私は半裸で女装したままだった。
 これから化粧を落とす訳にもいかない。
 とっさに壁に掛けてあったバスローブを羽織った。
 合わせ目から偽物のバストとブラの端が覗いているが、この際仕方ない。
 私は印鑑を持ってドアを開けた。
「す、すみません。お取り込み中でしたか?」
 私は声を出さないようにして、印鑑を渡した。
 男の子は顔を真っ赤にして伝票に印を押す。
「あ、ありがとうございました。」
 そのまま飛ぶようにして去っていった。
 後には段ボール箱がドアを閉めるのを妨げるように置かれていた。
 
 私はサンダルを履き、外に置かれた段ボール箱に手を掛けた。
 意外に重量がある。
「よいしょ!!」と持ち上げた。顔をあげる。と、目の先に女がいた。
「何誰?」
 女が言う。
「弓枝…」
 私の口から「男」の声が漏れる。
「あな…た…?」
 二人はしばらくその場で固まっていた。
 
 
 
 トラブルがあって旅行が中止になったと聞かされた。
 私は化粧を落とす事も許されず、弓枝の服を着せられていた。
「そうしていると、とても可愛いのね。」
 私は何も言えず、ベッドの端に座って俯いていた。
「顔を上げて。折角の美人が勿体ないわ。」
 弓枝が私の隣に腰を降ろした。
「わたしもあなたに隠していたコトがあるの…」
 弓枝が私の肩に腕を廻す。
「ねぇ、コレ造り物なの?」
 私の胸をもう一方の手で掴む。
「あ、あぁ…」
「だめよ。あなたは女の子なんだから。もっと可愛らしく喋らないと。」
 私は言い返そうとしたが、弓枝の唇が私の口を塞いだ。
 
 結婚して3年。私はこんな積極的な弓枝を見たことがなかった。
 弓枝とは上司の紹介で知り合った。
 弓枝は美人で、私には勿体ない程であったが、何故か彼女に気に入られた。
 私は女装が趣味ではあるが、男が好きというわけではない。
 また、女装をするせいか、女性との付き合いもなかった。
 そのため、とんとん拍子で結婚するに至った。が、二人ともSEXには淡白であった。
 新婚初夜以降、私達は本格的なSEXをした記憶がない。
 
 
 
 しかし、今日の弓枝は違っていた。
 
 
 
 ベッドの上には2つの裸体があった。
 組敷かれた半裸のオンナは驚愕の表情を浮かべている。
 オンナは私だった。見開かれた眼が弓枝を見据えている。
「わたしは男の人を愛せないの。」
 弓枝は言った。
「わたしはね、可愛い女の子が好きなの。」
 ブラの上から私の偽物のバストを撫で上げる。
「やっぱり、あなたは女の子だったのね。」
 彼女の手が降りてくる。
 ガードルで押さえつけた私の股間に指を這わせる。
「心配しないで良いわよ。あたしがあなたに女の子の良さを教えてあげるわ。」
 彼女の指が私の敏感な所を刺激する。
「……」
 私はその快感に喘ぎ声をあげそうになるのを必死で堪えた。
「我慢しなくて良いのよ。あなたは女の子なのだから♪」
 鹿野よの指は巧みに刺激を繰り返す。
 とうとう私は声をあげた。
「あ、あぁ…」
「そうよ。良い声だわ。もっと聞かせてようだい♪」
 更に刺激は激しさを増す。
 私は彼女の腕の中で悶えていた。
「あん、あん、あぁ〜ん♪」
 
 
 
 気が付くと、弓枝は私から離れていた。
 かちゃかちゃと腰に何かを巻いている。
 彼女の股間にはキラキラ光る疑似ペニスがそそり勃っていた。
「どぉ?」
 弓枝が言った。
「あなたもコレが欲しいのでしょう?」
 そう言われ、私は彼女の股間に再び注視した。
 硬く、太く、大きなソレは塗り込められた液体に光輝いていた。
「女の子なら、股間の肉棒に興味があるでしょう?」
 私は頷きそうになった自分を必死で諫めた。
「ち、違う…」
 弓枝が近づいてくる。
 私の耳朶に濃厚な甘息が吹きかけられた。
「…女の子におなりなさい。」
 
 私の全身から力が抜けた。
 
 目の前に弓枝の股間があった。
 目の前に突き出された肉棒があった。
 私の口は無意識のうちに開かれていた。
 私はその中にゆっくりと肉棒を招き入れていた。
 口の中で蠢く肉棒を堪能していると、不意にソレが抜き取られた。
 私の舌がソレを追うように伸びてゆく。
「大丈夫よ。もっと良いコトをしてあげるから♪」
 私の目は恨めしそうに彼女の股間を追っていた。
「これであなたをオンナのコにしてあげるわね。」
 その言葉に私の胸は張り裂けそうになっていた。
 
 弓枝に言われ、私はベッドの上でうつ伏せになった。
 お尻を高く上げ、弓枝の前に股間を晒している。
 私は目を閉じ、始まりを待っていた。
「いくよ♪」
 弓枝の問いかけに私は首を縦に振った。
 彼女の掌が私の腰に添えられる。
 肉棒の先が股間をさまよっている。
 そして、ソレは目的地を突き止めた。
 先端が入り口に触れている。
 私のソコはヒクヒクと蠢き、ソレを待ちわびている。
 
 そして、彼女の肉棒が私の胎に入ってきた。
 
「あぁ、あぁ、あ〜〜〜〜〜〜♪」
 私はオンナの悦感に嬌声をあげていた。
 
 
 

−了−


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