無題3



「おはよう♪今日も可愛いね。」
 悪友の逸見大悟が何事もなかったように声を掛けてきた。
 
 昨夜の情事を思い出すと頬が上気する。
「逸見君。男性に『可愛い』はないでしょう?」
 近くにいた安田真奈美が揶揄する。
 彼女には僕達の事はどう見えているのだろうか?
 そんな彼女が昼休みに話しかけてきた。
 
「ねぇ、逸見君とはドコまでいっているの?」
「ど、ドコまでって?」
「女の感と情報網をバカにしてはいけないわよ。
 夕べは朝帰りだったんでしょう?」
「…」
「あなた達のコトがバレてないなんて思っているのは当事者だけよ。」
 呆気に取られている僕を余所に、話しが進んで行く。
「じゃあ、帰りは私と付き合ってね♪」
 こうして昼休みの時間は終わってしまった。
 
 
 
 帰りの時間になった。
 大悟はどこにもいない。
 安田さんが僕を待ち構えていた。
 そのまま外に出るのかと思ったら、女子更衣室に連れ込まれた。
「これに着替えて。」
 と紙袋を渡すなり、彼女も着替えを始めた。
 まるで僕が同性であるかのように羞恥心のかけらもない風で、さっさと服を脱いでいった。
 僕の方が恥ずかしくなり、紙袋を手に出ようとすると、
「何処に行くの?」と呼び止められる。
「外で着替えるよ。」
「何言ってるの。あなたもココで着替えるのよ。」
「で、でも誰か他の人が入って来たら…」
「大丈夫よ。それより、早くしなさいよ。」
 安田さんは既に、ジーンズにトレーナのラフなスタイルに変わっていた。
 しかたなく、僕も上着を脱ぎ、手渡された紙袋の中から取り出した…
 
「これって、セーラー服?」
 
「そうよ。私のお古だけど綺麗にしてあるわ。サイズも問題ないはずよ。」
 と、安田さん。
「素面で着れる服っていったらこれくらいしかなくてね。直ぐに別の服に替えてあげるから、取り敢えずはソレを着ていてね。」
 そう言うと、ロッカーの鏡に向かって化粧を直し始めてしまった。
 僕は着ているものを全て脱いで、セーラーの上を被った。
 サイドのホックを止め、スカーフを胸元の穴に通した。
 有名な女子校の校章がそこに描かれていた。
 次はスカートだ。
 襞の沢山ついたオーソドックスなスカートだった。
 ズボンを脱いで、スカートを着ける。
「出来た?」
「最近の女のコはウエストで3回くらい折り込んどくものよ。」
 すぐさまチェックが入った。
 膝上にあったスカートの裾が太股の上の方まで上がってしまった。
「これじゃぁパンツが見えちゃうよ。」
 その途端、彼女の手がスカートの裾を捲り上げた。
「やだ。何穿いてるのよ。下着も入っていたでしょう?」
 僕は最後の一線と思っていたブリーフを脱いで穿き替えた。
 再びスカートが捲られ、安田さんのOKが出た。
 
 
 電車に揺られてしばらく経つと、何度かお尻に手が触れる。
 そのままにしていると、身体ごと押しつけられる。
 掌がお尻を包むようにくっついている。
(痴漢?)
 安田さんに目で合図する。
(そうみたいね♪)
 彼女も目で伝えてくる。が、少し嬉しそうだ。
 どうやら、僕の反応を楽しもうとしているようだ。
(!!)
 掌がスカートの裾を擦り上げてゆく。
 ショーツ越しに男の掌を感じる。
 その指先がショーツの縁に触れる。
 隙間から指が挿入された。
 お尻の割れ目を押し開く…
 
 その時、ブレーキが掛かった。
 人垣が揺れ、男の手も離れていった。
 
 
「そういう風にしていたら、女学生にしか見えないわよ。」
 電車を降り、街の中を歩きながら安田さんがそう言った。
「で、何処に行くんですか?」
「あなたは、もっとオシャレするべきなのよ。」
 そう言って1軒のブティックに僕を連れ込んだ。
「この娘に合うのをお願いね♪」
 店の人はテキパキと採寸しては綺麗な服を揃えてゆく。
 僕は試着室に連れ込まれ、セーラー服から着替えさせられた。
「OK、次は隣で髪とお化粧ね。」
 店の奥にある扉を抜けると、隣にあった美容院の中だった。
 鏡の中で「僕」がどんどん変貌してゆく。
「これなら大丈夫ね♪」
 再び街の中に出る。
 
 スカートの丈が長くなり、幾分か落ち着いていられる。
 靴も踵の低いものだったので、歩くのにも心配がない。
 
 こうして、安田さんに連れてこられたのは…
「うちの女子寮?」
「そうよ。みんな待っているからね。」
「み、みんな…って?」
 集会室の扉が開き、安田さんに押し込まれるようにして入った。
 
「ようこそ、女の園へ!!」
 カーペットの上にクッションが転がり、それにすわったり、抱え込んだりしている寝間着姿の女のコ達…
 見知った顔がほとんどである。
 化粧を落とし、寝間着姿でいる彼女達を見る事になるとは想像もしていなかった。
 パジャマだけではない、ネグリジェを着ている娘もいれば、ショーツにTシャツだけの娘もいる。
 「男」には絶対に見せない姿だ。
「さぁ、パーティを始めましょう♪」
「パーティーって?」
「あなたがこちらの世界に来たお祝いよ。」
「こちらの世界って?」
「女のコになったんでしょ?」
「そうそう、パーティーに参加するにはコレに着替えてね♪」
 スケスケピンクのネグリジェが広げられた。
「ねぇ、ついでだから本当に女のコになった所を見せてよ。」
 彼女達の腕が次々に伸びてきては、僕の身体から服を剥ぎ取ってゆく。
 僕は彼女達の輪の中で一糸まとわずに押し倒されていた。
「胸はまだ発育途中って感じね。」
「けど、ソコはちゃんと女のコしてるのね。」
「最初は私ね。」
 そう言って安田さんが前に出た。
 彼女は着ていたパジャマを脱ぎ捨てた。
「さぁ、パーティーの始まりよ♪」
 彼女は指で僕の股間を撫で上げて言った。


    次を読む     戻る     INDEXに戻る