彼の指があたしの敏感な所に触れる。
「あぁ…」
艶かしい喘ぎ声があたしの喉を通り抜けてゆく。
胎の中が熱くなる…
目が覚めた。
僕はガバリと布団を剥いだ。
パジャマのズボンがテントを張っている。
その頂上はヌラリと湿っていた。
何かエッチな夢を見ていたには違いないのだが、どんな夢だったのかイマイチ思い出せない。
それよりも、後始末が先決である。
僕は替えのパンツを手に洗面所に向かった。
「よぉ、どおした?不景気な顔をして。」
悪友の逸見大悟が僕の顔をのぞき込んで言った。
短い昼寝の時間を中断されたからだ!!とは言いたかったが、たしかに今日の僕は今朝の「夢」に振り回されていた。
不思議な事に時間が経つにつれて「夢」の細部が見えて来るのだ。
最初に思い出したのは女のコだ。
一人目の登場人物。
顔は判らないが愛らしい声をしている。
美人に違いない。
次に二番目の登場人物が判った。
それが、この大悟だ。
そして、三番目以降の登場人物が存在しない事が知らされた。
何故かは知らないが、自分の存在しない夢の中に大悟がいる。
彼は全裸だった。
股間を憤らせて女のコを弄んでいる。
女のコは拒みもせず、大悟の愛撫に身を委ねている。
快感の吐息が漏れる。
なんで、僕が他人のエッチシーンを夢に見なければならないんだ!?
そんな理由で、今日の僕は大悟と顔を合わせる度に不機嫌の度合いを高めていったのだ。
中断された昼寝のせいで、午後の前半はほとんど頭がぼやけていた。
窓の外の陽が沈み始めるころに、ようやく回復してきた。
終鈴を間近にして再び大悟がやってきた。
「不景気な顔はアルコールで吹き飛ばすのが一番だぜ。」
大悟のパワーには抗する事もできず、僕達は数時間後、ネオンの下を連れ立って歩いていた。
少し飲み過ぎたか、意識が朦朧としていた。
記憶が所々飛んでいる。
「きゃ〜可愛い♪」
コンパニオン達がはしゃいでいた。
不躾に僕の顔を覗き込む娘がいた。
どこかで見た顔……あの「夢」に出ていた娘だ。
足下がふらついている。
大悟のがっしりとした腕が僕を抱え留める。
「ごめん」
と言った。
「その靴じゃしかたあるまい?」
と大悟…
エレベータに乗る。
僕のマンションでも、大悟のアパートでもない。
扉を開けると大きなベッドがあった。
その脇の壁一面が鏡になっている。
大悟が女のコを抱えていた。
僕はどこにもいない。
よくみると、その女のコは「夢」の娘だ。
あれは正夢なのか?
女のコは服を脱がされ、下着姿に変わる。
大悟も服を脱いだ。
「夢」にあったように、全裸の大悟が女のコを抱いた。
「あぁ…」
僕の口から艶かしい吐息が漏れた。
彼の指があたしの敏感な所に触れる。
これは「夢」なの?
これは「現実」なの?
胎の中が熱くなる。
あたしは大悟の腕の中でオンナになっていった。