蜘蛛



 あなたの指先がわたしの股間に伸びてくる。薄布越しにわたしの秘部に触れるあなたの指。くっきりとカタチが浮かび上がる。わたしの肉体の中から溢れ出るモノで薄布はその色を失ってしまった。薄布はただそこに在るだけのモノ。わたしの恥部はあなたの目の前に曝け出されています。
 あなたの瞳はソコに釘付けられているのでしょう。恥ずかしいけれどわたしはあなたにわたしの全てを見せます。わたしの肉体はあなたのモノです。わたしはあなたです。
 あなたの瞳はわたしの瞳です。わたしの肉体はあなたの肉体です。あなたの思う通りに如何ようにもして下さい。わたしはあなたの内にじっとしています。
「ああ〜」ごめんなさい。声が出てしまいます。あなたの巧みな技がわたしをじっとさせて置かないのです。けれど、これは「あなた」の声でもあるのですよ。
「あ〜〜〜U」ほら、あなたの声よ。甘美な嬌声はあなたの喉から出ているのよ。良い媚声ね。もっと聞かせてU
 どうしたら出てくるの? ココを触ると出てくるの?
「あンU」そう、ココが感じるのね。じゃあココは?
 わたしは薄布を巻き込むようにして指先を滑り込ませた。
「うンU」あなたの甘い吐息がわたしの耳に触れる。わたしはあなたの首筋に唇を這わせる。トクトクと血液の巡る音が聞こえてくる。指先に力を込め、ゆっくりとあなたの内にもぐり込んでゆく。愛液が潤滑剤となってわたしの指を導いてゆく。あたたかなあたの内でわたしの指が煽動を始める。
「あん、アン、あんU」あなたの媚声は小刻みに揺れ動く。あなたは背中を反らせて更にわたしを咬え込んでゆく。腰を振り、身悶え、四肢を絡みつかせてわたしを誘う。あなたの細い腕がわたしの首に、白い大腿がわたしの腰に、豊満な乳房を擦り付け、漆黒に濡れた茂みを押し当て、振り乱した長い黒髪でわたしを絡め捕るように、わたしはあなたの内に取り込まれてゆく。
「あ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!」
 絶頂を迎え、あなたはわたしと一体となりました。わたしの腕の内にはあなたの温もりが残っています。あなたはわたしの肉体で最期の悦びを満喫できたでしょうか?もう、あなたはどこにもいません。
 わたしは一人、ベッドの上で名残を惜しんでいます。

−了−


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