夢も現実も



 今夜もまた奴がやってきた。
 す〜〜っと閉じたままのドアをすり抜けて、僕の枕元に立っている。
 僕は金縛りのまま声も発てられず、じっと耐えている。
 奴の股間が見るからに憤り勃っている。
 ジッパーを下ろし、その巨大なモノを突き出した。
 そのまま足元から僕の布団に潜り込んでくる。
 パンツと一緒にパジャマのズボンを剥ぎ取る。
 股間に顔を埋め、袋の辺りをペロリと嘗めあげる。
 僕の息子は恐怖に縮こまっていた。
 ずるずると布団の中を這い進んでくる。
 奴の男の先端が股間に触れる。
 声に出すことの出来ない悲鳴が頭の中にこだまする。
 ずぶっ!!
 奴の逸物が僕の胎内にめり込んできた。
 それはアヌスではない。先程奴が嘗めていた袋の辺りに強引に押し入ってきたのだ。
 僕の肉体にもう一つの穴が出来ていた。
 ズンズンと突き上げてくる。
 金縛りで身動きがとれず、襲ってくる激痛にただ耐えるだけ。
 されるがままに股を開いて奴を受け入れる。
 やがて、じわじわと汗ともつかないものが股間に溢れてきた。
 潤滑液のように皮膚の摩擦を少なくする。
 痛みは消え、激痛は別のものに取って代わった。
 悲鳴はいつしか嬌声に代わっていた。
 頭の中では1オクターブ高い女の嬌声が響き渡っていた。
 それをきっかけに、僕の頭の中では全てが変わっていった。
 奴に抱かれている自分の姿を想像する。
 白く、細く、柔らかで繊細な乙女の肢体がそこにあった。
 奴を受け入れる股間には余計なものは一切付いていない。
 胸には豊満な乳房がふたつ。
 長い黒髪がまとわりつく。


 不意に奴の呪縛が解けた。
 一瞬の後に現実が舞い戻ってくる。
 全てが爆発的に進行する。
 かき消すように奴が消滅。
 手足の自由が回復する。
「あっ!」
 声が出せる。僕自身の声だ。
 胸は真っ平ら。股間の逸物は縮こまっているが確かに存在している。
 なにもかも元通り。
  (?)
 股間を探っていた指先が何かを見つけた。
 幾日も繰り返し痛めつけられ、とうとうソレは現実のモノとなってしまったようだ。
 ゆっくりと指を導いてゆく。じわりと愛液が滲みだす。指は奥へと進んでゆく。
「ああっ」
 快感が全身を駆け巡っていった。

−了−


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