湯舟にて



 バスタブに浸かりいい気分でいると『ポン』とコルク栓を抜いたような音がして、
 僕のペニスが飛び上がった。
 水飛沫を上げ、湯面から30センチも舞い上がると失速して再び湯の中に落ちていった。
そいつはゆっくりと浮かび上がり、湯面を漂い始めた。
 青筋を立てて大きく反り返り、太く・逞しくなったそいつはいつになく勇ましかった。
 僕は波間に漂うペニスを両手ですくい揚げ、包み込むようにそいつを握りしめた。
 頭部をこちらに向けてしげしげと眺めてみる。
「ああ、これが僕のペニスなのか。」としみじみと思う。

 そして、ふと思いつく。
「それでは、これのあった所は、今、どうなっているのか」と。
 湯舟の中で股を開き、覗き込む。
 もちろん、陰毛の向こうには何も見えない。
 右手を股間に這わせる。
 ペニスの跡に触れてみる。
 傷痕に触れたように、接触する指先を敏感に感じる。
 指先はペニスの跡を通り越し、アヌスに達する。
 中指の第一関節を立てて確認する。
 そこからゆっくりと手前に向かって中心線をなぞって戻す。
 肉襞があった。


 そして、その先にもう一つの『穴』。
 これが、ペニスの抜けた跡に違いない。
 更に手前に引くと、小さな肉の塊があった。
 たぶん、尿道の終端だろう。
 少し戻してペニスの抜け出た穴を検分する。
 それは奥深く胎内に続いている。
 指を差し込むとその『穴』はねっとりと絡みついて来た。


「抜け出たものなら元に戻るはず。」と、左手に持ったペニスを嵌め込んでみた。
 穴から抜け出たにしてはペニスの基部が平坦なので、挿入して固定するのは無理があるとは思っていたが、なんとか嵌まった。だが、もともと形状の異なる所に強引に嵌め込んだのだ。嵌まり込むには嵌まるのだが、しっくりと馴染むまでにはいかない。
 それでも、しっかりと押さえ付け、ある程度馴染むのを待って湯舟から立ち上がる。
『ポシャン』
 押さえた手を放すと、途端に湯の中に転がり落ちる。
 浮き上がったペニスを拾い上げ、再度装着する。今度は落ちないように内股に力を入れぎゅっと締めつける。
 どうやら、今度は大丈夫なようだ。
 が、この体勢では湯舟を出るに出られない。出れたとしても歩けない。

「ふう」
 と力を抜き、一息ついて湯舟の中に舞い戻った。
 股間から落ちたペニスは再び湯面に浮き上がり、波間に漂っている。

 もう一度、ペニスを手に取って眺めてみる。こうして見ると大人のおもちゃみたいだ。それに、太さ・長さ・硬さ…どれをとっても申し分ない。悪戯に舌先で頭部をチョンとつついてみる。するとどうだろう。手にしたペニスがもぞもぞと動いたではないか。
 僕の中の好奇心が高まる。
 アダルトビデオを真似して、口をOの字に開きそいつを頬張ってみる。
 そいつはゆっくりと旋動し、何とも言えない快感を与えてくれる。

 更に高まる好奇心!!
 僕はそいつを湯の中に、湯面の下に戻した。
 もう一度、そいつを元あった所に戻してやる。
 しかし、先程とは向きを変えて、頭部を内に向けて……

 肉襞にそいつの頭部が触れるのを感じる。じわりと熱いものがこみ上げてくる。『穴』の入り口を手探りで見つける。「あった。」
「ごくり」と生唾を飲み込む。
 意を決して、グイと一気に挿入する。
「痛ッ!!」
 痛みが走る。それをこらえて根元まで押し込む。
 すると、フッと痛みが霧散する。
 そいつは「これが俺のあるべき場所だ」と『穴』の中で妙にしっくりと馴染んでいる。
 やがてそいつはゆっくりと旋動を開始する。回転し、振動する。その刺激が快感を与えてくれる。恍惚とした快感がじんわりと『穴』の中から身体中に広がってゆく。
 僕の唇から歓喜の溜め息が洩れ始めた……


−了−


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