黄色いヘルメットを被ったおっさんが空を指差して何かわめいている。
つられて振り仰ぐと、女の子が空から落ちてきた。
彼女は真っ直ぐ俺の方に向かって来る。
何か行動を起こそうとする間もなく、どしんとぶつかった。
読経の声に気が付くと、それは俺の葬式だった。
通夜、告別式を済ませ、俺の体は火葬場の火に供べられてしまった。
その有り様を逐一観察していると事件のあらましが見えてきた。
そもそも、俺にぶつかってきた少女であるが、彼女は西村まり子という女子高校生だ。
大学受験の真っ直中だった。受験ノイローゼの例外に漏れず、彼女もまた自殺を図ったのである。が、彼女がビルの屋上から飛び下りたその時、たまたま俺がその真下を通り掛かったのだった。俺は彼女の落下の直撃を受けたのだった。
当の彼女であるが、俺が丁度クッションになったのか、病院に担ぎ込まれたものの傷一つ無く、ただ、昏睡状態が続くのみ。俺といえば、打ち所が悪く、その場で即死。現在に至るというわけである。
やがて、初七日の法要が始まり、とうとうこの世ともお別れの時が来た。
迎えの者は姿を見せないが、放っておいてもあの世とやらへ行けるだろうと、ゆっくりと目を閉じた。
その時、