白い密室 −エンドレス−



 ベッドの中で目覚める。掌を胸に充てる。
 今朝もまた俺は「女」だった。
 
 今朝と言ったが、それは正確ではない。俺が囚われているこの部屋には時刻を知る術がない。時計はおろか、窓もないのでもしかしたらこの部屋の外は夕闇が迫っているのかも知れない。ただ、眠りから覚めたこの時を便宜的に「朝」と呼んでいるだけのことだ。
 いや、それさえも正しいのだろうか?俺は本当に「起きて」いるのだろうか?
 俺の記憶では俺は「男」であった。しかし、今現在の俺の身体はどこをどう取っても「女」の身体でしかない。胸には立派な膨らみがあり、股間にあるべきペニスは失われている。俺の股間はぴったりと貼り付くようにショーツで被われ、胸もまたブラジャーで締めつけられている。
 床の上にはどこかの女子高の制服が置かれていた。身に着ければ、俺はどこかの女子高の生徒そのものになってしまう。
 
 俺がこの部屋に囚われてどのくらいの時間が過ぎているのか知る由もない。適当に起きて、適当に寝る。その繰り返しだ。
 それに、起きていてもやることがない。
 この部屋にあるのはベッドと服と俺自身、そしてリュックとその中にあるモノ…
 部屋には窓もなければドアもない。床も壁も天井も一様に白く塗り込められている。
 俺は昨日とおなじように、リュックの中からそれを取り出した。スイッチを入れると唸り音を上げて振動を始める。男のペニスを模った大人のオモチャだ。
 なにもすることのない俺はそれを股間に押し当てた。心地好い振動に身を任せていると、次第に身体が火照ってくる。股間が熱く潤ってくる。俺は快感を貪る雌犬と化していった。
 
 幾度目かの絶頂を迎える。しかし、快感はなかなか大きくならない。
 雰囲気を変えるため、俺は女子高の制服を着た。鏡がないので、自分がどういふうに見えるかは勝手に想像するしかない。
 俺はとある美少女アイドルを自分に重ねてみた。
 彼女が床にペタリと腰を落としている。太股の間、スカートの中に手を入れている。彼女の手には大人のオモチャが握られている。まだスイッチは入っていない。その先端がショーツの上から彼女の敏感な所を弄んでいる。
「あぁん♪」彼女の艶声が間近に聞こえる。俺のすぐそばで美少女アイドルがオナニーをしているのだ。
 カチリとスイッチが入る。ブーンという振動音が彼女のスカートの中から響いてくる。
 刺激の強さに彼女は座っていられなくなっていた。
 仰向けに横たわるが、股間は責め続けている。膝を立て、股間を広げている。ショーツの染みが広がってゆく。
 
「あはん。あん。ああん。」彼女はショーツの中にバイブを滑り込ませていった。
 と、同時に俺の中にそいつが侵入してきた。「あん、あん、あん♪」彼女はバイブの動きにあわせてヨがっている。彼女の感じている快感が俺に共鳴してくる。俺の中でバイブが動いている。
「あん、あん。あん♪」堪えきれずに俺の喉から出てきた声は女の喘ぎ声だった。
「俺は男だ」と全ての感覚を否定しようとするが、尻が、胸が、股間が俺の否定を次々と却下してゆく。
 制服に包まれたバストが揺れる。ブラジャーの中で乳首が尖っている。敏感な蕾が布地に擦れ、更なる快感を俺に押しつけてくる。
 スカートの裾が太股を撫でる、お尻が床に吸い付いている。股間の肉襞が快感を求めて煽動を繰り返す。溢れた汁が尻タブの間に溜まっていった。
 俺は手を動かしていた。バイブが俺の股間を往復する。膣口を擦り上げるバイブの刺激に俺は嬌声をあげていた。
 
 
 
 俺は再び目覚めた。
 ベッドの上で胸に掌を充てる。
 俺は今日も「女」だった。
 

−了−


    次を読む     INDEXに戻る