白い密室 −振り子−



 ここはどこだろう?
 僕は白い壁でに囲まれた部屋にいた。
 壁だけではない、床も天井も全て同じ白だった。
 窓も扉もない。壁も床の同じ素材でできているようだ。それは天井も同じだった。蛍光灯などの照明器具も見えない。しかし、部屋の中は明るかった。
 その部屋の唯一の調度は等身大の鏡だった。
 僕自身が写っていないと、床や壁しか写っていない。それもどれが床でどれが壁だか判別できない。ただ、床と壁の隅が作る境目を追うことでかろうじてそこがどこなのか知ることができる。
 
 鏡に僕自身を写す。
 しかし、これは本当に僕自身なのだろうか?
 鏡に写っているのはどうみても「僕」ではない。第一、性別が違う。
 そこに写っているのは全裸の少女なのだ。
 だが、僕が手を上げれば鏡の中の少女も同じように手を上げる。首を傾げれば少女も傾げる。口を開けると少女も口を開ける。
 僕はゆっくりと鏡に近付いた。
 手を伸ばすと指先が鏡に触れた…いや、僕の指先が彼女の指先に触れたのだ。
 更に近付いて掌を合わせる。身体を密着させる。そして唇を合わせた。
 
 それは始めてのKISS。
 
 僕は少女を抱き締めた。
 硬く勃起したペニスが彼女の股間に触れる。そして、それはそのままするりと彼女の中に入っていた。
 暖かな温もりに包まれる。
 合わされた唇から彼女の舌が侵入してきた。経験のない僕は彼女にされるがままになっていた。
 彼女の舌が僕の中で蠢いている。ただそれだけの刺激で僕のペニスは爆発寸前だった。
 その絶妙のタイミングで彼女の舌は抜き取られていた。今度は僕の舌が彼女の口の中に吸い取られていった。僕の舌が彼女の中にあった。彼女の口の中で互いの舌が絡み合っている。僕の意識が舌先に集中したためか、下半身の興奮も幾分か和らいでいた。
 再び彼女の舌が僕の中に挿入された。と同時に僕の下半身も復活してゆく。
 その行為が幾度となく繰り返される。僕の舌とペニスが振り子のように彼女の中を行ったり来たりする。彼女の舌も僕の中を行ったり来たりする。彼女の舌が僕の中にあるとき、僕のペニスが彼女の中にある。僕の舌が彼女の中にあるとき、彼女のペニスが僕の中にあった。
 
 振り子の揺れはどんどん大きくなっていった。
 快感もどんどん大きくなる。
 そして絶頂を迎えた。
 ペニスから大量の精液が放出された。
 僕はその全てを受け入れていた。
 熱い塊が子宮の入り口に打ち付けられる。膣の中が精液で満たされる。身体の中を快感が突き抜けてゆく…
 
 やがて、時とともに快感が引いていった。そして、僕の身体からゆっくりとペニスが引き抜かれた。
 
 
 
 気が付くと部屋の中には僕独りだけだった。
 ベッドの上で微睡んでいると耳元でブーンという振動音がしていた。手を伸ばすと鞄があった。携帯か?と鞄の中に手を入れてみた。
 唸りをあげていたものは僕の手の中にあった。そっと股間に押し当ててみた。
 僕の身体が敏感に反応する。じわりと股間が濡れてゆく。それは蠢きながら僕の中にもぐり込んでいった。
 振動とともに身体中に快感が広がってゆく。
 甘いオンナの喘息が僕の口から零れていった。
 
 
 
 ここは白い密室。
 僕以外に誰もいない。
 永遠とも思われる時の中、僕は更なる快感を求め独りベッドの上で淫らに悶え続けている。
 
 

−了−


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