これで萌えるか?



 
 1.風のイタズラ
 
  やわらかな風が通り過ぎてゆく
 
  スカートが膨らみ
 
  僕は「キャッ!!」と可愛らしい声を上げ前を押さえた
 
 
 
 2.間違い
 
  慌てて飛び込んだそこには、見慣れたモノは存在していなかった。
  誰もいないし、今更入り直すには差し迫っている。
  僕は意を決して扉を開け、一瞬迷ったがそこに座った。
  解放感に包まれる。
  が、それも一瞬の事。他の人が入ってきたようだ。
  「大丈夫。普通にしていれば良いんだ。」
  僕は自分を落ち着かせた。身なりを整え、扉を開ける。
  そのまま他の人と並んで鏡の前に立った。
  鏡には僕が憑依したお姉さんが映っていた。
 
 
 
 3.そこは…
 
  それは、ヴ〜〜〜ンと唸り音をあげている。
 「これが欲しいんだろう?」
  奴がそれを俺に近づけてくる。
 「やめて……」
  俺の声は小さく、ただ、目に涙を浮かべるのが精一杯だった。
 「開けるんだ!!」
  奴の手が俺に触れた……
 
 
 
 「はい。うがいして。」
  俺は傍らのコップを掴み、うらめしげに担当の歯科医を睨み付けた。
 
 
 
 4.合宿
 
  合宿で先に寝てしまうと何をされるか判らない。
  しかし、眠気を我慢するのも限界である。
  既に、最初の犠牲者は綺麗に化粧され可愛らしい寝息を発てていた。
  次の犠牲者は更に浴衣を脱がされ、ピンクのネグリジェに変えられている。
  もちろん下着も変えられている。
 「胸が足りないな」「シリコンでも入れようか」
  そんな会話の後に開放された二人目は、豊かな胸を静かに上下させていた。
 
 
 「そろそろじゃないか?」「今度は取ってしまおうか?」
  彼等の声が遠くに聞こえる。
  もう…、限界…だ……
 
 
 
 5.指
 
  彼の指が這い進んでくる。
 
  僕の新しい入り口に……
 
 
 
 6.マネキン
 
  ショーウィンドウの向こう側でマネキンが微笑んでいる。
  綺麗な服を着て、日がな一日立っているだけで良い彼女達に
  僕は軽い嫉妬を覚えた。
 
 「なら、替わってみる?」
  彼女がそう言った。
 
 「あっ!!」
  僕の隣で男が声を上げた。
 「やったね♪」
  男はそう言うと、マネキンと同じ微笑みを浮かべ、立ち去っていった。
 
 
 
 7.スカウト
 
 「ねぇ、彼女。モデルになってみない?」
  そう、僕に声を掛けて来たのは如何にもAV関係といった風な男だった。
 「もちろん、バイト料は出すよ。」
  貧乏学生の僕にとって「バイト料」は喉から手が出るほど魅力的だ。
 「僕で良いんですか?」
 「じゃあ、OKなんだね?」
  彼は僕を近くの雑居ビルの地下室に連れて行った。
 
  一歩踏み込んだ途端、そこは異世界に通じていた。
 
  僕の隣にはいつの間にか綺麗なお姉さんが立っていた。
  そのまま、ステージの上に連れて行かれる。
 「じゃあ、始めましょうね。」
  スポットライトが当てられる。
  どこからか艶かしい音楽が流れて来た……
 
 
 
 8.ウェディング
 
  僕の目の前にあるヴァージン・ロード。
  ゆっくりと歩を進める。
  パイプオルガンが荘厳なメロディーを奏でる。
  皆がこちらを向いている。
  僕の手に持った器の中で指輪が輝いていた。
 
 
      ……いつかは「僕」が主役になるんだ……
 
 
 
 9.僕
 
  「僕」は何者なのだろう。
 
  胸に手を当てて考えてみよう。
 
  答えは自ずと導き出されるだろう。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
  「僕」は何者なのだろう。
 
  股間に手を当てて考えてみよう。
 
  答えは自ずと導き出されるだろう。
 
 
 
 10.風呂
 
  ゆったりと湯船に浸かる
 
  揺れる湯面の向こうにある僕の身体
 
  誰にも見せられない 僕だけの秘密
 
 
 
 
 
 
 
 
 


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