僕は進藤薫。パリパリの社会人一年生だ。
始めての給料が入ったその週の土曜、僕はかねてから計画していた事を実行する事にした。
銀行に行き、お金を引き出す。
僕の個人的なお金だ。
これまでも、バイトで小遣いを貯めた事はあるが、会社員としてまとまった金を手にするという事は始めての経験だ。
そして、このお金で今夜、僕の個人的な『成人式』を行うのだ。
そう。風俗のお店に行って、僕は『童貞』から卒業するのだ。
その足で繁華街に向かった。
かねてから雑誌等で様々な風俗店の情報を集め、もう行くお店は決めてある。
バイトに比べれば高額な給料でも、社会人一年生の給料はたかが知れているのだ。
できる限り安い店が望ましかった。調べた中には安い店もいっぱいあったが、そのほとんどが見るからに怪しそうなものだった。
しかし、中に全国チェーンのお店があった。それが、これから行く店だ。
ここなら安全そうだし、料金も僕の考えていた予算をだいぶ下回っていた。
僕は、店の名前と場所を何度も確認した。
その場所に今、僕はいる。
まだ午後も早い時間なので、繁華街の裏道では人通りは少ない。
看板にも明りは入っていないが、明るい太陽の光の下では充分に判別できる。
『B1 イメージ・カプセル』
雑居ビルの看板の中に埋もれるように、その店の名前があった。
地下に続く階段は薄暗く、えもいわれぬ雰囲気を漂わせている。
僕は足取りを緩める事なく、その前を通り過ぎて行った。その先には長居のできそうな喫茶店があるのを確認している。
そこで、日が暮れるのを待つ事にした。
辺りは暗くなっていた。
立ち並ぶ雑居ビルの看板にも明りが灯っている。
ビルの入り口にも立て看板が持ち出され、『夜の街』の準備が着々と進められていた。
頃合いを見計らい、僕は喫茶店を出た。
店の前を一度通り過ぎ、その先にあるコンビニに入った。
店の前は人通りが少なく、呼び込みの人もいないようだった。
コンビニの中で雑誌を2〜3ページめくって、元の棚に戻す。店内を一回りしてから外に出た。
(さぁ、いくぞ!!)
気合を入れ、僕は店に向かった。
雑居ビルの前で90度向きを変え、階段を降りてゆく。
飾り気のないドアを開けた。
店内は思いの外明るく、小綺麗だった。
「いらっしゃいませ。」
受付のお姉さんが声を掛けてきた。
「このお店は始めてですか?」
「は、はい…」
「それでは、このお店のシステムを説明しますので、こちらにいらして下さい。」
彼女に連れられ、応接室のような所に入った。
勧められ、フカフカのソファに腰を降ろす。
お姉さんはバインダーを取り出し、テーブルの上に広げた。
「まず、このカタログでプログラムを選択していただきます。」
示されたカタログにはジャンル毎にインデックスが付いていた。
コスプレ=アニメ・ゲームのページを開くと、タイトルの脇にヒロインのコスチュームを付けた女のコの写真が出ている。みんな美人揃いだ。
「次に、更衣室で服を脱いでもらいます。服は備えつけのロッカーに入れて下さい。全身に感覚器を触れさせる必要がありますので…」
僕は、カタログのページをめくっていた。
コスプレ=学園物のページになった。学校名の脇にそこの制服を着た女のコの写真が出ている。こちらも、みんな美人揃いだ。
「更衣室の中央にカプセルが据えられている。カプセルはここからイメージ・マシンに送り込まれます。」
僕はページをめくるのに夢中になっていた。
「カプセルの中でマスクを装着しますと、カプセルの扉が自動的に締まります。そして、感覚器との接触を効果的にするために、シャワーで全身を清めたあとカプセルは生理食塩水で満たされます。次に感覚器が壁から出てきて肌に密着します。最初は不快感があるかもしれません。そしてBGMとともにプログラムがスタートします。」
今見ているページのタグには「女性」とだけ書かれていた。様々な女性の写真とその横にプロフィールが付いている。
「お好みのプログラムはございましたか?」
「始めてなんで、あまり良く判らないんです。なにかお勧めはありませんか?」
「そうですね、初心者向けのナビゲート付きのものもありますよ。たとえば、これなんかは若い人向きですね。」
そう言って、開いているページの下の方の写真を示した。
幼さの残る顔だちをした、可愛い女の子だ。
写真の下にナビゲート付きの印がしてあった。
「じゃあ、これでお願いします。」
「よろしければオプションも如何ですか?」
「オプション?」
「最近開発された機能で、お客様ご自身と本番ができるものです。ただいまキャンペーン期間中で半額でご提供させていただいております。」
値段を確認したが、それでも充分予算内だった。
「じゃあ、それもお願いします。」
「判りました。それではこちらへどうぞ。」
僕は更衣室に案内された。
中央にあるのがこの店の名前にある『イメージ・カプセル』だそうだ。
彼女が出て行った後、僕は全裸になってカムセルに入った。
カプセルの扉が締まるり、生理食塩水で満たされる。
感覚器が壁から出てきて僕の肌に密着する。
カプセルを包み込むようなBGMに眠気を誘われる。
うとうとし始めた。
「さぁ、始めますよ。」
女の人の声だ。
目を開けると受付にいたお姉さんが立っていた。
僕はいつの間にか椅子に座らされていた。
「あなたは、始めてという事なので、私がナビゲーションしていきます。最後にはお楽しみのオプションコースが待っていますから、私の言う事に従ってついてきて下さい。」
「は、はい。」
僕は返事をしたが、どこか違和感があった。
そう、『声』だ。
「あ、あッ」と小さく喉を鳴らしてみた。
が、それは僕の『声』ではなかった。
どこか、か細く、高く…… まるで、女性の『声』のようだ。
「あなたは女の子は始めてなのよね。最初は男性と女性の体格の違いから体験してもらいましょうか。じゃあ、立ってちょうだい。」
僕は言われるままに立ち上がった。
胸が引っ張られる感じがした。
下を向くとそこにはある筈もないもの… おっぱいがあった。
「鏡をみて。」
お姉さんに肩を掴まれて向きを変えた。
そこにある筈の鏡の中に『僕』はいなかった。
鏡の中では裸の女の子がお姉さんに肩を掴まれて立っていた。
女の子はカタログの写真の娘だった。
彼女は僕に見られているのに恥ずかしい素振りも見せず、僕と同じように唖然と立ち竦んでいた。
「さぁ、良く見てご覧なさい。」
お姉さんに背中を押された。
彼女もまた、押し出されるようにこちらに向かってくる。
二人とも同じように両手を前に出す。
互いの掌が触れ合った。
ヒヤリとガラスに触れたような感触が掌から伝わって来た。
否応なく突きつけられた事実…
鏡の中の女の子は『僕』だったのだ。
「目、鼻、口… 基本的には何も変わらないでしょう? でも、触れてご覧なさい。柔らかいでしょう? それが、女性の肌よ。」
お姉さんに言われるまま、身体のあちこちに触れてゆく。
「そして、バスト。存在感があるでしょう? じゃあ、ブラを付けてみて。」
差し出されたストラップに腕を通す。
背中でホックが止められた。
カップの中に手を入れられ、形が整えられる。
「いかが?」
「ちょっと苦しいような気がします。けど、胸が揺れなくなって何だか落ち着きます。それに背中が引っ張られるような感じがして、気が引き締まるような気がします。」
「そうね、女性はいつもこういうものを身に付けているのよ。覚えておいてね。」
「はい。」
「じゃあ、ショーツとキャミを着けて。ブリーフやランニングとあまり違わないから大丈夫ね?」
そうは言われても、女性の下着だ。こんな間近で見るなんてほとんどなかったものだ。パステルカラーのプリントと縁のレースが『女』を強調している。
「さぁ、とっととやっちゃいましょう。」
促され、ショーツに足を通した。
キャミソールを着けると、次のものが手渡された。
ブラウス、スカート、カーディガン…
ブラウスは左右逆のボタンに戸惑いながらも、ブラジャー越しにオッパイに触れる感触、オッパイが触れられる感触を味わった。
スカートは腰の位置が判らず、お姉さんに見てもらった。
裾が脚に触れる度にスカートを穿いているんだ…と刷り込まれてゆく。
女物のサンダルを履かされて、部屋の中を歩いてみた。
「じゃあ、次のステップね。」
「はい。」
僕は次の部屋に連れて行かれた。
そこには巨大なベッドがあった。
「次は女の子の『カラダ』を体験してもらうわね。」
そう言うなり、僕の身体をぎゅっと抱き締めた。
唇が合わさる。
彼女の舌が割り込んで来た。
二人の唾液が絡まる。
しばらくして彼女の抱き締める力が弱まった。
片方の掌が背中から降りてくる。
ゆっくりとおしりが撫で廻される。
スカートの裾がたくし上げられ、ショーツの中にまで入ってくる。
お尻の割れ目で指先が蠢いている。
その先端が秘裂の端に触れる。
彼女の唇が離れ、耳元で囁いた。
「カ・ン・ジ・ル・デ・ショ♪」
肛門に指が突き立てられた。
「あっ!!」
女の子の声がした。
それは小さな喘ぎ声だった。
そして、それは『僕』が発していたのだ。
「カワイイわよ。カオルちゃん♪」
再びお姉さんが耳元で囁く。
抱き締めていた腕を解き、ブラウスのボタンを外してゆく。
キャミソールをたくしあげ、ブラジャーからおっぱいを取り出した。
今度はその先端を口に含む。
舌先が僕の乳頭を弄んでいる。
その敏感な所に歯が立てられた。
「あぁっ、あんっ♪」
膝から下に力が入らない。
その場に崩れ落ちそうになる所を、抱えられベッドに運ばれた。
こんどはもう片方のおっぱいが責められる。
気持ちが胸に集中している隙に、ショーツが脱がされていた。
お姉さんの掌が太股の内側を撫でている。
次第に股間が熱を帯びてくる。
「あっ」小さく声を点いて、彼女の動きが止まった。
そして、何かを探るように指が動かされる。
「濡れてきたね。」
言われて、股間が汗をかいたように湿っているのに気がついた。
「さぁ、男と女の違いが判ったかな?」
「えっ?」
突然の問い掛けに戸惑う。
その間にも、ブラウスが脱がされ、キャミソールもブラジャーも外された。
「見てご覧。」
言われた先に鏡があった。
お姉さんに組み敷かれた女の子=僕の姿が映っていた。
「これで『女のコ』の準備はOKね。次にいくわよ♪」
僕が鏡を見ている間に、お姉さんも着ているものを全て脱いでいた。
「次はエクササイズです。今度は私の方の準備をしてください。」
彼女は僕の上に覆いかぶさるとぐるりと半回転した。
今度は僕がお姉さんを組み敷く形になった。
お姉さんの誘導に従い、彼女のおっぱいに吸い付いた。
「そうよ、良い感じ。」
舌を動かし、その先端に歯を立てた。
「もっと強く!!」
「下の手も動かして!!」
最初のうちはいろいろ指示されたが、自分ならどうされたら気持ちが良いのだろうと考えながらやっていると、コツが掴めてきたようで、
「クフッ。ンン。アフッ♪」
と、お姉さんも喘ぎだしてきた。
指先を彼女の股間に這わすとねっとりとしたモノが絡み付いてきた。
「さぁ、この事を普通何と言うでしょう?」
突然の問い掛けに一瞬動きが止まった。
その隙にぐるりと半回転させられる。
僕は再びお姉さんの下になった。
「答え。女の子同士でエッチすることをレズるって言うのよ。」
言われて、自分が女の子になっている事を思い出した。
「そして、その時にはよくこういうモノが使われます。」
彼女が取り出したのは、皮のベルトの中央両面に男根を模した黒い棒が付いているものだった。
その棒の片方を彼女は自分の膣に挿入し、皮ベルトを腰に巻いて固定した。
「さぁ、あなたの処女を頂戴ね♪」
彼女の指が僕の股間を撫で上げた。
すると、堰を切ったように僕の膣から溢れ出てくるものがあった。
「感度良好ね♪」
片足が持ち上げられ、彼女の腰が股間に当て交われる。
棒の先端が、股間の割れ目をなぞっている。
入り口の前で立ち止まる。
そして、
深々と黒い棒が差し込まれた。
「あ〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!」
快感と痛みの入り交じった強烈な刺激に、思わず叫んでいた。
ピストン運動が繰り返される。
「あん、あん、あん♪」
僕は声を上げて応えていた。
快感の湯船にどっぷりと浸かり、のぼせるのも忘れて漂っていた。
幾度となく訪れる絶頂と、その間をつなぐ余韻の心地好さ。
僕は言われるままに、身体を動かしていた。
幾度目かのインターバルを迎えたとき、お姉さんが言った。
「さぁ、最後のステップよ。お待ちかね、本物の登場です。」
チリンチリンと鈴が鳴った。
自動扉が開き、ゆっくりとロボットのような動きで一人の男が入ってきた。
スポットライトが当てられる。
男は眩しさに顔をしかめることもなく、能面のような顔をこちらに向けた。
(?????)
その男は…… 『僕』 ……だった。
「もう、彼が誰だか判っていますよね。これが、新しいオプションプログラム『自分とヤろう』です。彼を動かすには、このリモコンに音声入力します。」
お姉さんは小さなハート型の装置に向かって言った。
「さぁ、いらっしゃい。」
『僕』がこちらに向かって歩き出した。
「かなり大雑把に言っても、適当に判断して行動するようにしてあるの。」
『僕』が僕達の前で止まった。
彼女は再び命令する。
「お姉様にご挨拶なさい。」
左足を前に差し出す。
すると、『僕』は跪いて差し出された彼女の足の指先に接吻した。
「な、なにを『僕』にさせるんですか!!」
「ごめん、ごめん。あまりにも私好みに可愛かったので、つい…」
そう言いながらも指先で『僕』の顔を弄んでいる。
「やめて下さい。すぐに立たせて!!」
「ハイハイ♪ じゃあ、立って。」
『僕』が立ち上がる。
改めて自分を見た。鏡に映った姿ではない『自分の姿』とはこういうものなのだろうか?
今の自分は小柄な女の子の視点なので、見上げる形になる。
「じゃあ、始めましょうか♪」
お姉さんは『僕』をベットの端に座らせた。
「この機械でいくら身体を動かせても、どうにもならない事があるのよ。さぁ、彼の股間を見てご覧なさい。」
そこには『僕』のまだ童貞のおちんちんがだらりと垂れ下がっている。
「いくら『勃起しなさい』と言っても全然だめなのよね。こればっかりは私達がやってあげないと使い物にならないようなの。ねっ♪ カオルちゃんやってごらんなさい♪」
彼女は『僕』の股を開かせると、その中に僕を座らせた。
「手とお口でやるのよ。やり方は判っているわよね。」
まぁ、これまで何年も自分の手だけでやってきたのだ。自分のモノだから判っている筈なのだが…
いくら手で扱いてもなかなか反応してくれない。
「お口も使ってごらんなさい。」
お姉さんに言われ、意を決した。
垂れ下がった自分のモノを口に含んだ。
その途端、ビクリ!! とソレが反応した。
舌先で先端を刺激するとソレはどんどん大きくなっていった。
吸い込むようにして頬張ると、ソレは天を向いて硬くなった。
「手も使ってごらんなさい。」
僕は片手で玉袋の裏から撫で上げてみた。
すると、そこから塊が沸き上がってきたような気がした。
かたくなったおちんちんの中をその塊が昇ってくる。
ドクン!!
僕の口の中に『僕』のセーエキが飛び込んで来た。
むせかえり、思わずソレから口を放した。
「良い感じじゃない。じゃぁ、時間まで自由に過ごしていてね。」
お姉さんはそう言うとリモコン装置に付いた紐を僕の首に巻いた。
「頑張ってね。」
そう言ってドアから出ていってしまうと、部屋の中には僕と『僕』だけになった。
『僕』の股間はいつの間にか元気を取り戻してきた。
こんな状況ではやる事はひとつしかない。
「立って。」
僕が言うと『僕』が立ち上がった。
頭一つ大きな『僕』が逞しく見えた。
「抱いて。」
『僕』の腕が背中に廻る。強い力で抱き締められた。
下腹部に熱いモノが挟まれ、押しつけられている。
これが飾り物でない事はさっき確認されていた。
「キスして。」
『僕』の顔が迫ってくる。
唇が塞がれた。
お姉さんとの女同士のキスとは違い、激しく力強かった。
身体が蕩けそうになる。
股間が熱く煮立っている。
僕はベッドの上に倒れ込んだ。
「きてっ♪」
『僕』がベッドに這い上がる。
僕は膝を開いて彼を迎えた。
「入れて♪」
しかし、彼は動かない。
焦らされる。
「頂戴っ♪」
まだ動かない。
命令の仕方が悪いのだろうか?
もっと具体的に指示しないといけないのか?
「あなたのおちんちんを僕のおまんこに入れて頂戴。」
自分で言っていて恥ずかしさに紅潮する。
しかし、彼は動いてくれた。
僕の脚を抱え、真っ直ぐに突き進んでくる。
「あっ、ああっ、あ〜〜〜〜〜〜〜〜!!」
快感に絶叫を上げる。
「突いて♪」
「捏ねて♪」
「掻き回して♪」
幾度となく『僕』は爆発し、僕の膣にセーエキを注ぎ込む。
幾度となく僕は絶頂を迎え、彼に抱かれる。
果てしなく繰り返される……
気がつくとシャワーで全身を洗われていた。
そこはイメージ・カプセルの中だった。
カプセルの扉が開くとそこは更衣室の中だった。
カプセルから出て、鏡に自分の姿を映す。
全裸の『男』がそこに立っていた。
いつもの『自分』だ。
思い返してみる。
僕は『童貞』を卒業できたのだろうか?
それとも『処女』を失ったのだろうか?
複雑な気持ちが胸の中を渦巻いている。
しかし、一つだけ確かな事があった。
(次の給料が出たら、また来よう♪)
そう決心した自分がそこにいた。
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