ミッション5



 ふぅ、と溜め息が漏れる。
 俺はクローゼットに詰まった衣装を眺めていた。これらは俺のためにと船長が買い揃えたもの達だ。もちろん、今の俺の姿にふさわしい女性用のコスチュームである。有名女学校の学生服、著名飲食店の制服、特徴のある業種の制服、ウェディングドレスなどの祭事の衣装、アイドルのコスチュームなどがぎっしりと詰まっていた。俺は某航空会社の客室乗務員の制服を選んでいた。
 
 俺も元は男である。いや、今も外見以外は男のままであると思っている。そして、俺はこの船の船長だった。船長とは言っても今の船長と同じく生身の乗組員が自分一人の名前だけの船長である。船の運航は船内コンピュータが完全自動でやってくれる。人間が乗っているのは入出港時に居なければならないという規則に縛られてのことなのだ。会社にしてみれば生身の人間を乗せておくことは大変なお荷物でしかない。生き物である限り飲み食いさせなければならないのだ。だから、とんでもないアイデアもまかり通ってしまう。『規則で決められていない航程の間は人間で無くなっていれば良い』と。
 船には最低一体のアンドロイドが同乗していた。これも人間の乗組員を長期に渡り独りにしておくと精神に不調を来すため、そのケアの為にと配備されていた。そのアンドロイドに精神を移し、肉体を低代謝状態に置くことで懸案事項を解決しようとしたのだ。俺も巡航航程に入ると、その肉体を生命維持カプセルに押し込まれたのだった。目覚めると俺はアンドロイドになっていた。この船にはアンドロイドは一体しか配備されていなかったので、当然の如く俺は女の身体を持つ事になったのだ。
 そのミッションは最終航程に入るまで何の問題もなかった。俺は計器をチェックするだけの単調な日々を何とか切り抜けることができた。会社指定のピンク色のミニスカートを履きサインボードを手に船内を巡り終えると、最終航程に向けて俺は俺の肉体の覚醒処置をコンピュータに指示した。
 
 しばらく経ったところで警告音が鳴り響いた。生命維持カプセルからだった。
 覚醒処置が緊急停止していた。いくら操作盤をいじっても覚醒処置は再開しない。ブリッジに管制官からの呼び出しが入っていた。最終行程への進入確認の呼び出しである。慌てていた俺はアンドロイドの姿である事も忘れ呼び出しに応じていた。
 管制官のチェックが甘かったのか、俺はアンドロイドの身体のまま船は入港を果たしてしまった。が、覚醒した乗員がいないという事が発覚し、そこからの出港が禁止されてしまった。その後、会社から派遣された技術員が俺を元に戻すべく、あれこれと調査したが覚醒は不可能ということになった。船体に異常のない船を遊ばせておく会社ではない。船には新たな船長が配属されてきた。俺はアンドロイド乗組員として船に残り、新たな船長を得た船は時を置かずに港を後にした。
 
 
 
 この船には新しい船長のための生命維持カプセルがない。従って、船長は従来通り生身のまま航海することになる。と同時にアンドロイドも俺一人のままに据え置かれていた。当然のように船長の精神のケアは俺の仕事となる。ところで何故にアンドロイドが女性型で配備されていると思う?アンドロイドに男性型が無いということはないのだ。それでも配属されるアンドロイドのほとんどが女性型なのである。正解はほとんどの乗組員が男だから、である。いくら美形とはいえ男にケアされるよりは可愛い女の子の方が断然癒されるのは間違いない。
 それ以上に重要なのがSEXである。俺がその事に思い至ったのは船が出港してしばらく経ってからのことだった。男性を受け入れるのは女アンドロイドの任務である。つまり、俺が船長の相手をしなければならないのだ。もちろん『女』として船長を受け入れるのだ。
 出港してしまったからには他のアンドロイドと替わって欲しいとも言えず、かと言って船長が欲すれば拒絶することは許されない。そして、船が巡航航程に入るなり船長が俺に声を掛けてきた。
「さぁ、これからはフリータイムだ。早速ヤろうぜ♪」
 船長は俺の腕を引いてベットに向かった。船長に命じられるまま服を脱ぎ、命じられるままベットに横たわる。彼の手が俺の脚を押し開いてゆく。未知の恐怖に身体が強張っていた。「初めてなのかい?」船長の質問には正直に答えなければならない。「はい。」と俺は首を縦に振っていた。「大丈夫。優しくシてあげるからね♪」俺は自分が男であることも告げられず、黙って彼に抱かれるしかなかった。
 彼の前技で俺の股間は十分に濡れていた。そこに彼のペニスが近付いてきた。俺の股間にペニスの先端が触れている。そして、それはスルリと俺の内に入ってきた。俺の内に異物があるのが判った。それは彼の腰の動きに合わせて俺の内で動いている。そして、そこに悦感が生まれる。悦感は波紋のように広がり、俺の全身を染め上げてゆく。「ああん♪」と、俺は女のように喘いでいた。
 
 
 
 警告音が鳴っていた。俺は腹の上で果てている船長の下から這い出した。船内コンピュータに問い合わせると詳細な情報が送られてくる。こんな時はコンピュータと直接繋がれているアンドロイドであることを便利に思う。警告音の原因は第三エンジンへの燃料供給管の閉塞だった。これは閉塞を誘発しやすい構造上の欠陥に質の悪い燃料によりちょくちょく発生する。
 もっとも、これには前兆があるので日々のチェックで気が付けばエンジンの空吹かし2〜3回で解消する。俺が船長をしていた頃はこんな事にはなったためしがない。しかし、今の船長はSEXに明け暮れ、日々のチェックでさえ怠りがちである。今でさえ疲れ果て警告音に起ようともしない。俺は船長の指示を得るのを諦め、警告音を切ると船外作業着を着て配管の修理を行った。
 
 この宇宙船は元々俺が船長を務めていたのだ。この宇宙船が「俺の船だ」という気持ちは今も変わらない。このまま彼に船を任せていてはどうなることか判ったものではない。俺は自ら船のチェックをすることに決めた。船の方は順調に航程を進めていたが、別の問題が浮上してきた。それは俺が自分自身で行動する機会が増えたためか、無意識の内に船長を見下してしまっているのか、彼との会話の中で時々自分のことを「俺」と言ってしまっていた。普段は敬語を使っているのだが、気が付くと言葉が乱れている。
「お前、ただのアンドロイドではないな?」とうとう船長から詰問される事となった。それは船長からの命令であり、俺のアンドロイドの回路は正直に答えるしかなかった。これまでの経緯を聴き終わると船長はひとこと「俺はオトコを抱いて喜んでいたのか…」とつぶやいて自室にこもってしまった。
 
 宇宙船が港に着くと船長は脱兎の如く船を飛び出していった。その後、何の連絡もなく次のミッションが始まろうとしていた。刻々と出港時刻が近付く。もう船長は戻ってこないと確信した直後、出港時刻ぎりぎりで彼が転がり込んできた。持ち込んだ大荷物を始め聴きたい事は山ほどあったが、「出港だ!」の一声で俺の意識は操船に向けさせられた。
 
 
 
「お前がいてくれれば楽ができるからな。」船長は戻ってきた理由をこう述べていた。「楽して稼げるなら多少のことは我慢しなくてはね。」持ち込んだ大荷物について聴くと、「ああ、あれはお前のためのものだ。早速開けてみてくれ。」そして箱の中から出てきたのは数々の女物の衣服、それも用途が限定された制服などのコスチュームだった。
「お前の事情も判らないではない。しかし、SEXの間くらいは自分が男であることを忘れてもらいたいんだ。しかし、そう簡単に忘れることは出来ないと思う。そこでこれらの服だ。君にはこれを着て女に成り切ってもらう。
 これらのコスチュームがあれば成り切るのもそう難しくないだろう?」俺はどう答えて良いか窮したが、彼の提案を拒絶することはできるはずもなかった。
 
 
 
 俺はセーラー服を着せさせられた。設定は家庭教師とその生徒で、家庭教師の部屋で勉強するのを口実にSEXするとなっていた。俺の実年令からすれば高校生という設定は喜劇でしか成り立たないところであるが、アンドロイドの身体に制服を着せれば高校生に見えなくもない。更に顔の表情を童くすると、俺は完璧な女子高校生になっていた。
 ドアをノックする。「あたしです。」声を掛けると「開いているよ。入っておいで♪」優げな先生の声がする。それだけであたしのアソコが濡れてしまう。ドアを開けるとそこに先生が待っていた。「良く来たね♪じゃあ、教えた通りにご挨拶してご覧?」あたしは「はい。」と頷くと、先生の前に跪いた。目の前のズボンは先生のモノではち切れそう。あたしがチャックを下ろしてあげると勢い良く飛び出してきた。男のヒトの匂いがする。あたしは先生のモノを口の中に入れた。
 これが先生への「ご挨拶」。あたしは喉の奥に届くまで飲み込むと、思いっきり吸い込んだ。「ううっ、イイぞ。」先生が呻く。あたしは先生の股間に手を差し込み、タマタマをさすってあげた。「お、おぉ。いくぞ。」と先生。あたしの手の中でタマタマが跳ね上がると、竿の中を塊が押し上げてくる。ゴクリとあたしはソレを飲み下した。口を離すと先生のモノの所々に余りが残っていた。あたしは唇を尖らせてそのひとつひとつを吸い取っていった。
「OK♪」先生はそう言うなり、あたしを抱き上げた。そのままベットに降ろされる。「じゃあ、ご褒美をあげよう♪」あたしのスカートの中に手を入れると、あっという間にショーツを剥ぎ取ってしまった。それがあたしの愛液に濡れきっているのを思い出し、恥ずかしさに押し潰されそうになった。
 先生の手が再びスカートを捲り上げる。「さあ、脚を広げて♪」あたしの脚が先生に抱えられ、その間に先生の腰が割り込んでくる。「ご褒美だよ♪」アソコに先生の先が当たる。濡れきったアソコがヒクヒクしている。先生が入ってきた。「ああんっ♪」あたしが媚声をあげると先生の動きも一段と激しさを増す。先生のセーエキがあたしの中に注がれる度に、あたしは嬌声をあげアクメを迎える。
 
 
 
 船長は俺の上で果てていた。ヤることは同じだが彼なりのシチュエーションでの行為が彼にこれまでにない満足感をもたらしたようだ。それからはコスチュームでのSEXが定番となり、寄港する度に新たなコスチュームが追加されていった。
 
 俺は窓ガラスを鏡にして化粧の具合を確認すると、ブリッジ…いえ、コクピットのドアを開いた。あたしはスチュワーデス。機長に呼ばれてきました。「あたしです。」声を掛けると「良く来たね♪」と機長。「じゃあ、教えた通りにご挨拶してご覧?」あたしは「はい。」と頷くと、機長の前に跪いた。目の前のズボンは機長のモノではち切れそう。あたしはチャックを下ろして機長のモノを口の中に入れた。
 「ご挨拶」を済ませると、あたしはショーツを脱ぎ去り機長の上に跨った。「ああん♪ああ〜ん♪」あたしが悶えると、あたしの中で機長が震える。
 
 船長は俺の腕の中で果てていた。俺は胯いでいた船長の上から降りた。ブリッジの窓には星空が広がっていた。窓ガラスに俺と船長が映っていた。俺は振り返り船長の寝顔を見た。なんとなくだが、俺と船長の付き合いはしばらく続きそうな予感がした。
 
 
 

−了−


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