雨宿り


 
雨が降ってきた。
僕は駅前のアーケードまで辿りつけずに、とあるお店の軒下で雨宿りする事にした。
 
「そこだと濡れちゃうでしょ?中に入らない♪」
店のドアが開き、お店の人が声を描けてくれた。
お言葉に甘えて…
 
と、店の中に入ってから後悔するハメになった。
とにかく、目のやり場に困る…
店内のそこかしこにはカラフルな…女性用下着が並べられているのだ。
 
このお店がランジェリーショップであることにもっと早く気づくべきだったのだ。
「うちの商品ってそんなに魅力ないですか?」
それらから目を逸らすことばかり考えていた僕にお店の人が心配げに聞いてきた。
「魅力以前に、女性の下着には無知なもんで…」
「なら、教えてあげましょうか?雨はまだ当分降り止みそうにないわね♪」
「そ、そんな…男の僕がこんな所で…」
「じゃあ女の子だったら良かったのかしら?」
そう言って彼女が指を鳴らすと、お店の中が光輝いた。
眩しさに目を閉じ
 
…再び目を開いた時、あたしは得体の知れない違和感に教われた。
「立ち眩みかしら?奥に座れる所があるから♪」
とお店の人に促されてお店の奥の小部屋のソファに腰を下ろした。
 
目の前に鏡があり「あたし」を写している。
(あたし…よね?)
あたしは、鏡に写る制服姿の女子高生が「自分」であると理解することがなかなかできないでいた…
 
 


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