男がベースのふたなりSS



 ステージ上では踊り子たちが決めポーズをとって幕が降りた。そこここで追従の拍手が鳴っている。俺はグラスを揺すり、ガラスと氷の奏でる音に耳を傾けていた。
「ジョウさん。お待たせ♪」
 ステージの衣装のままユウジがやってきた。豊満な胸を揺らしているが彼は男性である。そう、この店の踊り子達を始め従業員の全ては一見、美しい女性に見えるがその戸籍は全員男性なのである。男性とは言っても、男性機能を全て切り取って替わりに疑似女性器を造りあげている者から、薬で胸を膨らませただけの者までその男性度合いは千差万別である。
 しかし、この店には本物の女性だけは働かせることはできない決まりだった。だから、ユウジはこのステージを最後にこの店を辞めなければならないのだ。なぜなら、この後ユウジはこの俺の手で女になるのだから。
 
 クライアントの要求はかなり珍しいものであった。肉体改造…それも生殖器をターゲットとした手術…もちろん非合法である…のエキスパートである俺への注文である。単純なサオ取りや穴開けである筈もない。
 クライアントの提示した要求はこのユウジにクライアントの娘の子宮他を移植させるという事であった。もちろん生体間移植であるからには双方の適合条件は大変厳しいものであった。が、奇跡的にユウジの細胞はクライアントの娘と高い確率で適合するものであった。
 子宮他を移植するという事は単にそういう臓器を身体の中に入れるというだけのものではない。ユウジの肉体と一体となり、正常に機能する事が求められる。極論を言えば、移植された子宮で妊娠し胎児を育て出産まで正常に行える事である。そのためには女性と同様に定期的な排卵、生理の周期が必要になってくる。
 この手術でユウジは生物としての女となるのだ。
 
 が、クライアントはもう一つの要求を付け加えている。
 もともと、ユウジの身体にはメスは入れられていない。その豊満な乳房はホルモン薬によるものである。彼の股間にはまだ男性性器が残り、驚くことにホルモン薬を服用しているにも関わらずその機能は一切衰えていないのだ。
 クライアントがユウジを選んだのは彼のその特異な体質があった。クライアントはこの移植手術に際して、彼の男性器には一切手を触れないようにとの要求を出していた。もちろん文字通りの意味ではない、手術に際してペニス他に触らないで済ますことはできない。クライアントの要求はユウジの男性機能を損なうことなく移植を行えとのことである。
 それは、もちろん単純にペニスと睾丸を残して置くことを意味するものではない。性的刺激で勃起し、射精することができなければならない。と同時に生理があり、妊娠・出産できなければならないのだ。
 
 もちろん、ユウジには全てが説明されている訳ではない。今日で店を辞める事にしてもクライアントに身請けされたという理由になっているし、手術にしても、単に造膣手術としか聞かされていないのだ。もともとユウジは本格的に女になる気などなかったし、今現在もホルモンを辞めれば男に戻れると信じている。これからの手術にしても、男性器には手を付けず単に股間に穴を開けるだけだから、放っておけば男性として何ら支障がないと信じている。
 通常、ホルモンも投与したてであれば後戻りも可能である。が、これだけ膨らんだ胸はホルモンを辞めたからといってそう簡単に元に戻る訳ではない。普通は男性機能を失いかけて気付くものであるが、ユウジのそれは立派に役目を果たしていた。それがユウジをホルモン漬けにしてしまったのだろう。
 ユウジは全身麻酔を打たれ、あどけない顔で手術台の上に横たわっていた。
 俺は悪魔の笑みを浮かべ、メスを手にした。
 
 
 ***
 
「あ、お父さん。いらっしゃい♪」僕はドアの開く音を聞くと、窓から離れた。戸口には僕を身請けしてくれたシノダさんが立っていた。シノダさんからは自分の事を「お父さん」と呼ぶように言われていた。
「ユウ。もうすぐ退院だそうだね。」当然、病院の中で僕はシノダさんの「娘」ということになっている。ベッドのネームプレートもシノダ ユウ(♀)と書かれている。
 シノダさんが金持ちであることは聞いていたが、こう毎日見舞いに来れるとはどういう職業なのだろうと訝ってしまう。僕は花瓶の花を活け替えて部屋に戻るとベッドの上に数着のドレスが広げられていた。仕事で着ていたドレスとは違い清純な乙女を強調する可愛らしいデザインのものばかりだった。
「退院の時の服を選んでおきなさい。」つまり、この内のどれかを着て、僕はシノダさんの家に「帰る」ことになるのだ。
 
「いよいよ退院ね。」看護士のおばさんが僕にプレゼントをくれた。紙袋の中にはショーツとビニールに梱包されたモノが入っていた。「女の子なら毎月必要になるものよ。」彼女には僕の正体は明かされている。が、僕が単に穴を開けただけでしょう?と言うと、一瞬うろたえた表情を浮かべた後、奥歯にモノが挟まったかのように答えた。「先生は完璧を追求される方で、ふつうの女の子と同じような生活ができるように工夫されていらっしゃるのよ。」
 僕は余計なことしてくれたものだ…とは思いつつも今更どうこうできるものではないと諦め、退院の荷物の中に紙袋を入れた。
 鏡の前に立ち身支度を確認する。お店ではボディコンで股間の膨らみを強調していたが、襞の多いドレスはそれをまったく目立たなくしている。入院生活で伸び放題だった髪も可愛らしくカットされ、僕はどこから見ても女の子だった。
 
 ***
 
 シノダさんの家で僕は一人二役をこなさなければならなかった。身請けの条件を聞いたときから想像はしていたが、昼間の僕はあくまでも清純なシノダ家の娘となった。そして夜が訪れ、主が帰宅すると同時に僕は彼の愛人となった。愛人とは言ってもシノダさんの嗜好は特異なものである。
 シノダさんは女性を抱くことはない。彼が抱くのは乳房を持った男性だけなのである。股間にはペニスを宿し、彼の手で精液を放出させる。その芳香の中で飛び散った精液を啜るのを極上の快楽としているのだ。肛門を貫かれ、感度を増した乳房を弄ばれるとそれだけで僕はイッてしまう。更にシノダさんの手技が僕のペニスを萎えさせることなく次の頂きへと導いてゆく。
 僕は夜の間中快楽に翻弄され、嬌声をあげ、精液を迸らせて過ごすのだ。
 
 
 その日は突然にやってきた。
 下腹部にシクシクと痛みが来た。トイレで用を足した後、股間が紅く染まっていたのに動揺した。
 造り物の女性器でここまでリアルに生理を再現したジョウさんの腕に感心すると同時に、この先毎月訪れることになるイベントを思うと憂鬱になった。その日、赤飯が炊かれた。シノダさんは「おめでとう。」と声を掛けてくれたきりその夜は僕を抱くことなく自室に籠もってしまった。
 翌日、僕は病院に呼ばれていった。婦人科の診察台に昇らされ、僕の股間が入念に調べあげられていた。「順調だね。生理が終わったら使っても良いよ。」「使うって?」
「そうか、シノダさんは男の子専門だったね。じゃあ、独りの時に自分でやってみると良い。ちゃんと感じる筈だよ♪」ジョウさんの言葉に僕の股間が熱くなった。
 ジュンと膣壁から湧き出てきたものがあった。
 
 僕は男だ。たとえ薬で胸が膨らんでいても、股間に毎月血の滲む人造膣をもっていようとも。僕の本質は男なのだ。女の格好をしているのはひとえに生きる為である。お店で働いていたときも、一番儲けが良さそうのので選んだし、チップが上乗せされるので薬を飲むようになった。女の服を着るのだって、それがこの店の制服だと思えば何てことはない。シノダさんの所に来ても同じである。シノダさんの家が新しいお店であり、シノダさんはたった1人のお客である。お客が1人になったとて僕の収入は増えこそすれ1円たりとも減ってはいない。
 生きる為にはお金がいる。お金を稼ぐには自分を元手に最大限の利益を目指す。これが母から教えられた処世術である。だから、どんな状態になっても僕は僕以外の何者でもないのだ。
 
 ***
 
 シノダの家での生活も慣れて来た。僕はシノダさんを「パパ」と呼び、昼間は娘として甘え、夜は愛人として凌辱される毎日が続いた。ある日パパが「今日が丁度良さそうだから」と僕を外に連れ出した。出かけた先はいつも賑わっている某テーマパークだった。まわりの雰囲気がそうさせるのか、僕は小さな子供のようにはしゃいでいた。ジェットコースターのチェーンに引き上げられながら「パパー♪」と手を振っていた。一瞬の静寂の後、僕は「キャー!!」と悲鳴を上げてバーにしがみついていた。
「パパ、今日はありがとう。」夜になりベッドの上でそう言うと、「お前も今日だけは私の娘なのだからね。」そう言って僕を抱き締めてくれた。
 その夜、パパは始めて僕の人造膣に挿入した。快感よりも充足感が僕を支配していた。パパは僕の中に精を放つと、彼自身で栓をするかのように僕を抱き締めたまま動かなかった。
 
 
 その日を過ぎるといつもの毎日が再び繰り替えされた。
 あまりに単調な毎日であったので、ここ2カ月程生理がなかった事に気が付かなかった。ここ数日身体がだるく、時々吐き気を催したため風邪かもしれないとパパに言ったところ、ジョウさんを呼んでくれると言った。病院に行くにしても今の僕の身体は普通の病院で普通に診てくれるとは思えなかった。しかしジョウさんの病院に行くには身体が重く感じられていたのだ。
「この前の生理は?」と聞かれてようやく生理がなかった事に気が付いたのだった。ジョウさんは幾つかの試薬を使って調べてくれた。そして、
「順調だよ。3カ月だ。」その言葉の意味するところに辿り着くと同時に僕は気を失ってしまった。
 
 
 ○○○
 
 ユウジの体内の子宮は順調に活動を続けていた。シノダさんは俺のアドバイス通りのタイミングで彼の精子を投入したようだ。ユウジの胎内では卵子が受精し、着床を果たしている。傍目にはどう写っているのだろうか?金持ちの男が養女にした娘を妊娠させたというのが通りが良いだろう。しかし、その娘は「女」ではないのだ。彼の股間にはちゃんと射精する男性器が鎮座しているのだ。
 そればかりではない、彼の体内にあるのは男の実の娘の子宮なのだ。膣も卵巣も全て男の娘のものなのだ。彼は実の娘を孕ませたことになる。その倒錯さ加減は俺の理解の範疇を超えていた。
 俺はユウジの男性としての性機能に異常がないことを確認したところで、彼に妊娠の事実を告知した。彼にはこの胎児を確実に育ててもらわなければならないのだ。ユウジはショックで失神したようだ。俺は彼の上に毛布を掛けシノダ邸を後にした。
 
 彼は日に日に大きくなってゆく娘のお腹を眺めていた。
 彼の望みは妊婦とのSEXだった。いや、彼は女を抱けないので妊夫となる。彼はユウジを妊夫とするために様々な手だてを講じてきた。巧妙な罠を仕掛け、金と人脈に物を言わせ、現時点で考えうる最高の医師を招聘し、機材を揃え、全てが順調に動いていった。
 彼は娘となったユウジの腹部を見ながらじっと堪えていた。これまでの経過を見れば医師の助言は正鵠を射ている。彼は医師から許可が降りるのを一日千秋の思いで待ち焦がれていた。
 そして月が満ちるようにユウジの腹部が膨れた時、主治医のジョウから吉報が届いた。
 その夜、彼は最高のシチュエーションで彼の大切な創造物に臨んだ。
 
 ○○○
 
 
 お腹の中の胎児のことを考えると、許される体位が限られてしまう。パパは僕の下になり、僕はロウソクのように上体を起こしていた。パパは僕のお腹を撫でながらもう一方の手で勃起した僕のペニスを弄り廻していた。先端から飛び出した精液がパパの顔に掛かると、パパはそれを美味しそうに舐めとってゆく。僕が射精すると同時にパパも僕の中に精を吐く。年の割りに体力・精力とも充実しているようだ。僕と同じだけ達すると、僕の中にも尽きることなく精液が注がれてくるのだった。
 最後には僕の方がバテてしまい、いつの間にかパパの上で眠ってしまっていた。
 
 朝が来た。
 目を覚ました僕の下でパパが冷たくなっていた。
「パパ? パパ!!」僕の呼びかけに何の反応も返って来なかった。
 
 ***
 
 パパのお葬式も終わったので、僕は開放されると思っていた。
 しかし、お腹の子を産んでしまうまでは開放されそうになかった。この子は確かにパパの子供なのだ。僕なんかより余程パパの遺産を引き継ぐのに相応しい。この子を産んだとしても男の僕では母として育てきれるものではない。第一、僕の胸からは母乳をやる訳にもいかない。物心付いた後、僕の身体の異様さをどのように説明すれば良いというのだろうか。もちろん、僕は女に成りきるつもりはない。
 いろいろな事を考えている内に僕は臨月を迎えていた。
 他の医者には任せられないとジョウさんが取り上げてくれた。
「女の子だよ。」とジョウさんに告げられた。
 赤ん坊の泣き声が僕の耳から離れなかった。
 
 
 病院から去るときは僕独りだった。
 赤ん坊はいつの間にかパパの親族が引き取っていってしまっていた。手切れ金としてかなりのお金が僕の口座に振り込まれていた。僕はマンションを買って移り住んだ。短い間ではあったが女として生活していたせいか、すぐには男モードに戻れそうもなかった。ちょっとした所作が明らかに女の子している。トイレなど意識していないとついつい便座に座ってしまうのだ。
 そんなある日、1人の女が僕の部屋を訪ねて来た。
 彼女は開口一番「返して頂戴!!」と詰め寄ってきた。僕は彼女とは初対面の筈だが、どこか見覚えのあるような感じがした。問いただすと、彼女はキッパリと言った。
「あたしはシノダの実の娘よ。」
 
 パパに子供がいたとは聞いたこともなかったが、彼女の顔だちはパパと良く似ている。無下に拒絶することもできずに、僕は彼女を部屋に招き入れた。
「返して欲しいと言われても、僕には何の事を言っているのか見当も付かないだよね。」その言葉を聞いた途端、彼女の気配が殺気立つのを感じた。僕は努めて友好的な態度で彼女と向き合った。
「あたしの身体から奪っていったものよ。」彼女の手が僕の肩に掛かった。僕は首を左右に振った。「本当に知らないの?」僕は床の上に押し倒された。「ココにあるモノ」彼女の掌が僕のお腹を摩る。その手がスカートの中に潜り込んできた。僕は抵抗することが出来なかった。「女の証」ショーツ上から指でなぞる。「これは元々あたしのモノだったのよ…」膣口に指が立てられた。
 
 
 +++
 
 いつの間にか二人は全裸で絡み合っていた。
 子宮を得た男と、子宮を失った女。女は女で無くなった反動で女を求めていた。これまでも幾人の女の子と睦事を繰り返し、手技だけで女をイかせる術を身に着けていた。ユウジはシノダに様々な性技を施されていたが、女としての感覚は殆ど開拓されていなかった。女を嫌悪していたシノダであればそれも当然の事ではあったが、シノダの娘は逆に女を悦ばす技に長けていた。
「ぁあん♪ あん、ああん。ぁあ〜〜〜〜〜!!」ユウジは女の快感に翻弄された。快感の上昇とともにユウジのペニスも誇張していった。そして、絶頂に達したと同時にソレが爆発する。
「男」を嫌悪していたシノダの娘は自らの裸体に付着する粘液を睨み付けると、ユウジへの責めを中断し、彼の股間のモノを縛りつけた。彼のペニスは精液の放出を阻止されてしまった。
「さぁ、お姉さんを楽しませてちょうだいな。」妖艶な笑みを浮かべ、女は徹底的にユウジを弄んだ。
 
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 お姉さんはこの部屋居すわってしまった。僕は彼女の与えてくれる快感に溺れ彼女を拒むことができなかった。さらに彼女は僕に妹であることを強要した。お姉さんが命令し僕が動く。もちろん家事全般を言いつけられている。お姉さんより早く起きて朝食の仕度をする。お姉さんを仕事に送り出すと洗濯が待っている。繊細な下着は手洗いしなくてはならない。質素な昼食の後、買い物に出かける。お姉さんの帰る時間に併せて夕食を準備する。風呂を沸かしてお姉さんの帰りを待つ。帰りの時間はけっこうばらつきがあるので、最も早く帰ってくる時間に併せているので、待ち時間は結構長いものになる。
 って、僕主婦している?
 何時になったら男に戻れるのだろうか?
 
 
 お姉さんはペニスバンドを着けて伸し掛かってきた。彼女の股間は子宮を摘出した時に塞がれてしまって、レズの定番アイテムを使う事ができないのだ。だから彼女は常に男として女の子達とSEXしている。けれどお姉さんだって女である。乳房を責めれば相応の快感を得ているようだ。
 僕はお姉さんにももっと女の快感を教えてあげたくなっていた。やはり女の快感は被挿入感から始まる。彼女の股間は男のように塞がれている。しかし男であっても被挿入感が得られる方法を僕は知っていた。同じことはお姉さんにも当てはまる筈だ。
 僕はそこに指を立てた…
 
「ひゃんっ♪」思いも寄らぬ刺激にお姉さんはあられもない声を上げていた。「や、やめなさい。」そう言われたが、僕は始めてお姉さんの命令に背いた。更に指を差し込んで刺激を与える。お姉さんの抵抗はやがて形だけのものになっていった。
「ふぁん♪ ダメよ… ぅあっ、あん♪ やめて…」お姉さんの股間が湿り気を帯びてきていた。「ほら、濡れてきたよ。」僕が指摘してやると、「そ、そんな…」自分が女であることを否定できない証拠に動揺していた。
 僕はペニスの縛めを解いた。自らの愛液で充分に濡れた菊座にその先端をあてがった。「い、いやぁ!!」口では拒絶しているが彼女の菊口は物欲しそうに開閉している。
 僕は挿入した。
 
 
 
 
 
 快感の虜になったのはお姉さんなのだろうか、僕なのだろうか?
 睦事は毎夜のように繰り返される。入れたり、入れられたり。僕たちは男であり女であった。あらゆるバリエーションで快感をむさぼっていった。
 ある日お姉さんが言った。「ねぇ、結婚しない。そして二人の子供を作るの。」「二人…の?」「そうよ。あなたのお腹にあるのはあたしの子宮と卵巣なのよ。あなたの精子とあたしの卵子が結びつけば二人の子供が産まれるわ。」
「…て、また僕が産むの?」「そうね、あなたは経験者だったわね。良いでしょう?もう一人くらい。産まれたら母親はあたしがするわ。ちゃんと刺激を与えればオッパイだってでる筈よ。」
 
 ***
 
 赤ん坊の泣き声が聞こえた。
 僕の隣で彼女の母親があやしている。僕は彼女達と別れると手術室に向かった。これから僕は男に戻るための手術をするのだ。執刀医はもちろんジョウさんだ。麻酔が掛けられ意識が遠退いてゆく…
 
 
 
 
 
 庭では母娘の笑い声が響いている。
 僕はトイレの中でお腹の痛みに堪えていた。そう、僕のお腹にはまだ子宮が残っているのだ。あの手術は単に乳房を切り取っただけだったのだ。ジョウさん曰く「3人目も俺が取り上げてやるからな♪」
 汚れたナプキンを始末して庭に戻ると娘が声を張り上げた。
「パパ〜〜〜〜♪」
 
 
 

−了−


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