女の子



 僕はベッドに縛りつけられていた。
 それも、フカフカのベッドではなく、病院で診察を受ける時に寝かされる硬いマットの幅の狭いベッドだった。更にベッドの両脇に台があり、そこに両脚が固定されると、僕の股間が丸見えになってしまう。
 今、まさにむき出しの股間がビデオカメラに映されていた。
 僕はその画像を強制的に見せられていた。
「ここ、玉袋の真ん中に縫い合わせたような筋があるでしょう? 女の子なら丁度膣のあるところね。」
 画面に半透明のビニール手袋に包まれた指先が現れた。
 それが、問題の箇所に触れる。
 と、同時に僕の股間に触れられた感触が伝わる。
 画面に映されているのが僕自身の股間であることを再認識させられる。
「元々、お母さんのお腹の中では男の子も女の子もここが開いていたのね。」
 筋を辿って指先が動く。
「でも、生まれる前に男の子のここが塞がってしまったの。」
 指先が画面から消えた。
「だから、この奥には男の子も膣の痕跡が残っているのよ。」
 代わりに、スポイトの先端のようなものが現れた。
「そこで、この薬液で縫い目を解いてあげましょうね。」
 僕には一瞬何を言われたのか理解できなかった。
 その間にも、薬液が合わせ目に沿って垂らされていった。
 ヒンヤリとした薬液の触れる感触。
 その後、股間がムズムズと痒みを伴って疼きはじめた。
「ほら、見ててごらんなさい。」
 ゆっくりと合わせ目が解かれてゆく。
「女の子のヒダヒダそっくりでしょう?」
 僕は画面の中に展開する劇的な変化に見入っていた。
 それが自分の股間で起きていることとはまるで思えなかった。
 画面にガラス棒が現れた。
「ヒダヒダだけじゃないのよ。」
 そういってガラス棒がヒダヒダの中心部に押し当てられた。
 ヒヤリとした感触が股間にあった。
 ガラス棒が更に押される。
 僕の下半身に異物が挿入される感触があった。
 画面の中ではガラス棒がヒダヒダの中に挿入されていった。
「これが膣の入り口ね。この奥に膣が続いて、その先には子宮があるの。」
 ガラス棒が僕の身体の中を掻き回していた。
「これで、もうあなたも女の子ね♪」
 
 
 
「これが何か判るかしら?」
 僕の目の前にリアルに作られたペニスの模型があった。
「そう。男の人のおちんちんね。あなたもまだ持っているけど、こんなには大きくないでしょう?」
 今度は正面に向ける。
「大人の人が勃起すると、皆このくらいにはなるわね。女の子はこれを受け入れるのよ。」
 僕は何をされるか気が付いた。
「いいえ、直ぐには入れないわよ。」
 一瞬ホッとしたが、入れられることには変わりはない。
 僕は必死で拒絶の意志を表明した。
「大丈夫。痛いのは最初だけだからね♪」
 全てを無視して進められてゆく。
「先ずは準備をしないとね。そう、充分に濡れていないと痛いものね。」
 画面に再びゴム手袋の指が現れた。
 それが、僕のペニスを摘んだ。
「もう、ここからおしっこが出ることはないけれど、刺激すればちゃんと勃起するのよ。」
 先端の皮が剥かれ、亀頭が露出する。
 刺激が与えられると確かに硬くなっていた。
 が、いつもなら先端から先走りの透明な液体がでてくるのだが、どうも様子が違っている。
 先走りは別の所から漏れだしていた。
 ペニスの根元というよりは、新しくできたヒダヒダの内側全体から滲み出しているようだ。
「感じているわね♪」
 画面には別の方角から新たな指が現れてきた。
 それはヒダヒダの内側から出てきた先走りをぬぐい取っていた。
「判る? これはあなたの愛液なのよ♪」
 その指はさらにヒダヒダの奥に差し込まれた。
 刺激が与えられると更に体液が溢れてくる。
 クチュクチュと淫しい音が聞こえてきた。
「さぁ、準備は良いようね♪」
 ペニスから、ヒダヒダから指が離れていった。
 画面の中に先程の模型の先端が現れた。
 ヒダヒダの上を2度3度往復する。
 そして、ゆっくりと挿入されていった。
「抵抗しないで!! 息を吐きなさい。」
 それは僕の下半身を圧迫してゆく。
 画面の中ではヒダヒダをかき分けてペニスの模型が侵入してゆく。
 僕は自分の腹の下にその存在を感じていた。
「良い娘ね。ちゃんと根元まで入ったわ。じゃぁ、いくわね♪」
 スイッチが入れられた。
 ペニスの模型が蠕動を始めた。
 ウニウニとモーターの回る音がする。
「ぁ、ぁぁ…」
 僕は痛みが来ないように呼吸を調整していた。それが、小さな喘ぎ声となって漏れてゆく。
 次第にそれは性的な快感に変わっていった。
 それが女の快感なのかは僕には判る由もない。
 ただ、僕のペニスが再び硬さを増していった。
 ペニスの付け根に精液が溜まってゆく。
 次第に高まりを迎えようとしていた。
 
 今、堰を切って精液が放出された。
 
 
 
 
 
 僕は気を失っていたようだ。
 まだ、マットの硬いベッドに寝かされていたが、縛めは解かれていた。
 もちろん、脚も降ろされている。
「あ、気が付いた?」
 僕は上半身を起こした。
「ぼ、僕に何をしたんだ?!」
 ようやく、それを口にすることができた。
「あなたを女の子にしてあげただけよ♪」
「だれがそんな事を頼んだ?ぼ、僕は…」
「大丈夫。女の子とはいっても、もともとあなたが持っていたものを活性化させただけだから。」
 僕の前に鏡が出された。
「あなたはあなた以外の何者でもないわ。ペニスも睾丸も残っているわ。それに女の子とは言っても卵巣があるわけではないから妊娠することもないし、面倒な生理も来る事はないわ。あぁ、妊娠したかったら何時でも言って頂戴。立派な受精卵をあげるから。」
「いるか!!」
「そのうち欲しくなるわよ。それに、あなたには大量の女性ホルモンを作り出す器官がないから、このままだと胸も大きくならないし、身体も少年の体型のままになってしまうわ。妊娠すればそれも一気に解決できるわよ。そうでないと高いホルモン注射を打ち続けないと女らしい体型は維持できないのよ。」
「…」
「まぁ、それまでは外見は男の子のままだからね。あぁ、おしっこだけは座ってするようにね♪」
 僕は彼女を突き飛ばすようにしてベッドを降り、カゴに入っていたパンツとズボンを穿き、その下にあったスニーカをつっかけてドアから飛び出していった。
 
 
 どこをどう走ったのか判らない。
 気が付くと僕は自分の家の前にいた。
 息を整える。
「ただいま…」
 ドアを開けた。
 誰もいない。
 そのまま2階の自分の部屋に入った。
 
 
 
 
 
 
 小さな鏡を手に床に腰を降ろした。
 ズボンとパンツを脱いだ。
 股間を広げ、問題の場所に鏡を向けた。
 
 ヒダヒダがあった。
 
 ペニスの付け根にオシッコが出る小さな穴があった。
 そして、ヒダヒダの中心にもう一つの穴があった。
 指先を近づける。
 まるで、別の生き物かのように息づいている。
 そっと触れた。
 触れられた感触があった。
 指先に力を入れると沈み込んでゆく。
 異物が侵入する感触があった。
 指先が入り込んでゆく。
 指先が押し包まれる。
 まだ濡れていないせいか、痛みも感じる。
 しかし、それも少しの間のことだった。
 じわじわとヒダヒダが濡れ始めた。
 指先の動きがスムーズになる。
 更に挿入する。
 第1関節、第2関節、…そして根元まで埋まってしまった。
 指をもう一本追加する。
 愛液が滴り落ちる。
 指先を動かす。
 息が荒くなる。
「くふっ、ぅぅん♪」
 気持ちが良い。
 チュパチュパと指先が音をたてている。
 ペニスが硬くなっていた。
 
 
 
 もう鏡を持っている必要はなかった。
 開いた手でペニスを握る。
 シコシコといつものように刺激するが、そこから届く快感はいつもに増して敏感になっている。
 乾いた亀頭に股間に溢れている愛液を付けた。
 さらに濡らした手で包み込む。
 女の子の中に挿入したところを想像する。
 ヒダヒダの中にペニスが包み込まれる。
 膣がペニスを圧迫する。
 女の子の中をペニスが往来するのだ。
 
 そう、今、僕の指がやっているように…  
 
 僕の意識はペニスから股間の女の子に移っていた。
 僕の指はペニスだった。
 女の子の中に突っ込み、ぐるぐると掻き回す。
 ペニスとはまた違った快感が生まれてくる。
 愛液にまみれたペニスが膣の中で蠢いている。
(あぁん♪)
 女の子は愛らしい声で喘いでいる。
 力強く、リズミカルに攻めたてる。
(あんっ、あんっ、あんっ♪)
 喘ぎ声もリズムに合っている。
 今度は、ゆうたりと大きなストライドで攻めてみる。
(んん〜〜ん♪ ぁあぁん♪)
 また違った声で喘ぐ。
 
 今度はクリトリスを攻めてみよう。
(ぁあっ!!)
 ちょっと触れただけでも敏感に反応する。
 慎重に、優しく触れてみた。
(ああっ♪ あ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!)
 
 
 
 
 気が付くと、僕は床の上に倒れていた。
 股間のペニスは既にうなだれている。
 確かに射精した筈なのだが、ペニスの先端にはその痕跡はなかった。
 代わりに股間がぬるぬるとしている。
 そこを拭うと、愛液にまみれて白い粘液が拭き取られていた。
 
 床の汚れを片づけていると尿意を覚えた。
 トイレに向かう。
 便座を上げて、ふと思い出した。
 
 便器に座ると股間から勢い良くオシッコが吹き出てきた。
 ペニスの中の尿道を通るのではなく、股間の出口から放水される。
 
 トイレットペーパーを手に取った。
 もう、先端を振るうだけで済ませることはできないのだ。
 太股に飛んだ飛沫を拭った。
 
 僕の目から涙が溢れていた。
 

−了−


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