皮モノ


 
 「皮」………
 
 破れないように、丁寧に、ゆっくりと剥がしていった。
 勿論、破れるような心配はないのだが、そこは気分の問題だ。
 背中に一本入った筋を起点に左右に剥がしてゆくのだ。
 
  
 
 名前も知らない女子高生。
 単に「可愛いから」とこの娘に決めたのだ。
 この娘にしては運が無かったとしか言い様がない。
 たまたま、俺の隠れ家の前を独りで歩いていただけなのだ。
 辺りに人影がないのを確認すると、俺は催眠ガスを彼女に吹き掛け、倒れる所を抱き抱えて隠れ家に引きずり込んだ。
 靴を脱がし、服を脱がし、下着も脱がして全裸にした。
 袋状の「皮」分離機を被せてスイッチを入れる。
 しばらくすると、袋の中の空気が抜けて彼女の肌にピタリと密着した。
 そして三分が経過して、彼女の背中に筋が現れた。
 彼女の「皮」が彼女の肉体から分離したのだ♪
 
  
 
 右肩からゆっくりと腕全体を抜いてゆく。
 指先の爪の先まで綺麗に剥がれていった。
 彼女の肉体を転がすようにして頭の「皮」を剥がす。
 綺麗な黒髪が「皮」にくっ付いている。
 彼女の顔も瞳の形も綺麗に残してくれる。
 左腕も抜き取ると、胸から腹にかけて剥がしていった。
 最後に腰から下の脚を左右同時に抜き取った。
 
 床の上には「皮」を剥ぎ取られた女子高生が転がっていた。
 そのままでは可哀想なので、俺がストックしてあった「皮」の一つを被せてやった。
 体格差がけっこうあったので苦労したが、着け終わると「皮」本来の大きさに戻ってゆく。
 目印の為にGPS付きの真っ赤な首輪を着けてったところで、催眠ガスの効果が切れた。
 「にゃー!!」
 と鳴き、四つ足で器用に机の上に駆け上ってゆく。
 彼女(?)は少しだけ開いた窓から飛び出していった。
 
 俺は手にした「皮」に意識を戻した。
 そう。今度は俺がこの「皮」を被るのだ。
 俺もまた服を脱ぎ、全裸となる。
 そして、背中の筋に指を掛け、「俺の皮」を押し広げる。
 頭、肩、腕…脚と剥ぎ取ると、今度は逆の順序で新しい「皮」を着込む…
 少々きつめだが、問題はない。「皮」は破れる事なく伸びてくれる。
 そして着け終わると「皮」は一気に元の大きさに戻る。
 
 その際に俺が痛みを感ることはまったくない。
 「皮」が自分のモノとなった感じがするだけだ。
 
 床に散らばった「あたし」の服を拾い集め、身に着けてゆく。
 全てをき終わると、鏡の前で乱れがないか確認した。
 (問題なし♪)
 そこには女子高生の「あたし」が写っている。
 部屋に散らばった「男」を隠しに放り込むと、茶色のローファーを履いて外に出た。
 
  
 
 人気のない、見通しの悪い道…
 (変質者に出会わないように)
 と祈りつつ、あたしはあたしの家に向かって歩きだした♪
  
 


 
  
 
  
 
 (おまけ)
 
 「にゃー♪」
 家の前に猫ちゃんがいた。
 真っ赤な首輪をしてるから、だれかの飼い猫には違いないんだけど…
 (あたしが気に入ったの?)
 猫の瞳があたしの奥にいる「俺」を見つめていた。
 「あたしの言う事を聞いてくれるなら、この家に入れてあげても良いわよ♪」
 猫ちゃんは「にゃー♪」と嬉しそうに鳴いていた。
 
 「あん♪ソコ…イイわぁ♪」
 あたしの股間を猫ちゃんがざらざらの舌で舐めあげてくれる。
 あたしは一気に快感の高みに飛ばされていった…
 
 
 

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