(24)アーサー


 「さあ、ラスボスですね。今回はリンがサポートしてくれたので順調にここまで来れましたよ♪」
 アーサーに誉められると殊に嬉しくなる。
 「アーサーのためですもの♪」
 あたしは双剣を構え直した。
 
 目の前にラスボスが現れた。
 アーサーの施してくれた魔法防御で致命傷を受ける事はないが、それでもラスボスの攻撃圧力は半端じゃない。
 間合い等を取れる相手じゃないと判る。
 隙を突いて懐に入ろうとするが、即に跳ね返されてしまう。
 結局は動き回り、フェイントを重ね、隙を作らせ、飛び込んでゆくのを繰り返すしかない。
 奴があたしに構っている間はアーサーが魔法に集中できるのだ。
 
 「リン!!」
 アーサーの声が聞こえた。
 奴の腕を掻い潜り、再びできた隙を突こうとした所だった。
 このまま攻撃を続けるか?
 だが、迷いは致命傷になる。
 あたしは飛び上がってアーサーの射線から離れた。
 
 一瞬後、アーサーの放った雷が奴の急所に吸い込まれていった…
 
  
 
 アーサーの魔法で、飛び上がったあたしは紙片のようにゆっくりと降ろされた。
 降りていった先は、アーサーの腕の中だった。
 「ご苦労様。リン♪」
 アーサーの笑顔に全てが癒される。
 「じゃあ、ご褒美♪」
 とあたし…俺はアーサーにキスをねだっていた。
 アーサーは俺=リンの身体を抱いたまま、俺…あたしの期待以上に熱いキッスを返してくれた♪
 
 もう全身が蕩けてしまう♪
 リンには悪いけど、あたしはもうこの身体から離れないわ。
 この先もずっと…
 あたしが「リン」よ!!
 
 あたしはもう一度、アーサーの唇にキスをした♪
 
 
  ー 了 ー
 

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