最強の剣



 夢の中に俺はいた。
「棒」を抱いて眠った俺は夢の中でも棒を持っていた。そして、俺の前には女が立っていた。
 
 目の前の女はドラゴンの力で女に変じさせられた俺の想い人であった。
 どんな姿になろうとも俺は彼を愛し続けるのだ。たとえ彼が女になったとしても変わりはない。俺は凍り付いたように立ち尽くす彼に近付くと優しく抱き締めた。「女になったことに戸惑っているのではないか?」俺は彼の唇に自らの唇を押し付けた。「大丈夫だ。怖くはない。リラックスして全てを受け入れてしまえば何もかもが楽になる。」俺はそう言って女になった彼の胸に自分の胸を押し当てた。首筋に手を延ばし、彼の着ているドレスの留具を外す。滑らかな薄布はスルスルとほどけて彼の足もとに落ちた。
 俺も同じように自分の着ているドレスを脱いだ。俺は彼の後ろに回り両腕で抱き締めた。乳房が彼の背中との間で圧し潰される。そして前に回した手で、自分のもののようにして彼の乳房を揉み上げた。硬くなり始めた乳首を刺激すると「あぁ」と女の吐息を上げていた。ゆっくりと肌を這ように片手を降ろしてゆく。彼の股間に触れると、そこはしっとりと濡れていた。「だ、駄目…」愛らしい声で彼が拒絶するが、俺の手を抑える彼の手には殆ど力は入っていなかった。
 俺は彼を床の上に押し倒した。大腿を彼の股間に割り込ませると、彼は自ら膝を立て互いの秘所を刺激し合えるようにしていた。互いの陰唇がこすれ合い、互いの女汁が混ざり合う。股間の発てる隠微な音に二人の女の喘ぎ声が重なる。俺は「棒」を取り出した。ペニスの形であったものが倍の長さに延びていた。剣の把の面影を残していた片端も、もう一方と同じ形に変わっていた。俺は一方の端を自らの膣に挿入した。俺は股間だけが男に戻ったように感じた。
 そして、もう一方を彼の膣に嵌てゆく。未だ処女の彼には痛みを伴うであろう。彼はその美しい顔を歪めていた。「もう少しがまんしてね。そうしたら、今まで味わったことのない、素晴らしい快感が訪れるから♪」と声を掛けながら挿入してゆく。そして棒はその両端を子宮口に置いて彼と俺を結び付けた。
 俺を犯しているのは彼のペニスであり、俺のペニスが彼を犯している。俺は彼であり、俺は女だった。膣の中で蠢くペニスに快感が高まってゆく。
 女の嬌声がハモるようにして俺達は絶頂を感じていた。
 
 
 
 夢から覚める。俺は股間に細身の剣を挟んでいた。刀身は鞘に収まり、把は俺の胎に収まっていた。ゆっくりと抜き取った把には満遍なく俺の女汁が絡み付いていた。
 
 
 
 俺は最強の剣を手に入れていた。
 剣は本来の姿ではないが、鞘に入れたままで使えない剣よりは多少力強さには欠けていても使える剣の方が良い。何より細身ではあっても、こいつは最強の剣なのだ。この剣は生きているとも言える。俺の技とともに鍛えられてゆくようだ。もしかすると、俺がそれを扱える力と技を得た時には、剣も本来の姿を取り戻すのかも知れない。
 
「この剣こそが姿を変えたあたしの彼自身なのかも知れない。」
 
 それが俺の、吟遊詩人への答えだった。
 
 
 
 
 
 
 
 
 俺が最強の剣を抱き締めると、鞘の中で剣もまた刀身を震わす。
 夢の中で俺は「彼」を待っていた。鞘から刀身を抜くと「彼」が現れた。
 俺は「彼」を迎え入れる。
 最強の剣に貫かれ、嬌声を上げる。
 
 そして俺は実感する。俺こそが剣にもっとも相応しい鞘であると。
 

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